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映画感想〜FAIR PLAY/フェアプレー〜


■前置き〜情報を得ないという楽しみ〜


今回は前情報なくネットフリックスの中から適当にサムネを見て興味を持った作品を視聴。
どんなストーリーか知らずに観るっていうのは、予測が全くつかず余計に見入ってしまうもので、映画を観るにはこの方がいいかもなと感じた。
情報社会のアンチテーゼとかではないけど、現代的には映画を観るっていうとあらすじや登場人物は知っている前提というのが多いと思う。
しかもコスパやタイパを謳ってネタバレを見て面白いかどうか判断してから見るという風潮もあるらしい。もはや作品を観るというより映画の情報をインストールしているに近い気もする。
その点、前情報なく映画を観れば、これがハッピーな話しかもしれないしホラーな話になるのかもしれないしと話の流れを注意深く見るようになる。こういうライブ感みたいなものを持って作品を見たほうが人間っぽい(?)なと感じるが、現状そうはなっていなく、人類はすでにアンドロイドになっているのかもしれない。。。

まぁそんなことはどうでもいいとして。

■現代的サイコサスペンス


今回はネットフリックスオリジナル映画の「フェアプレー」を鑑賞。ヘッジファンドに勤めるバリバリのビジネスマンカップルの恋愛模様を描いた作品。明るく楽しい恋愛映画ではなく、結婚を決めていた二人がお互いにドンドン嫌いあっていく様を描いたサイコな作品。

きっかけは彼女の方が社内で昇進し、彼氏が部下の立ち場になったことで徐々に2人の中の歯車が狂っていくという流れ。案外物語の核になっているのではと感じたのは、途中彼氏が自己啓発的な勉強をし始めた時に出てきたナラティブ(主観的な物語)というワード。結構ビジネスシーンでも出てくる言葉だが元は心理学の領域で使われていたらしく、要は自分の立場や環境をストーリーとして捉えることで物事を客観視できるというアプローチらしい。ビジネスシーンでは物語という点に着目して、個人と企業が共に商品やサービスを作り上げていくというストーリー性をもたせることで顧客のエンゲージメントが高まるという手法として使われているらしい。

だそうです

■主観の中に生きる現代人

ただナラティブという言葉の元々の意味はその「自分の物語」そのもの。つまりそれを客観視できれば自分や他人の立場を冷静に理解し取るべき対策が明確になるが、一方で自分のナラティブにどっぷり浸かってしまうと主観が強くなり現状を正しく認識できず、認知のゆがみが生じてしまう。

映画の大枠のストーリーラインは、これまで当たり前のように受け入れられてきた男性側が仕事に励み女性側はサポートに回るという役割が逆転したとき、男性側はこれを受け入れることができないという問題。女性の社会進出の難しさみたいなものを描いているようだが、自分は作品を観て両者ともに自分の価値観で物事を見すぎだと感じた。

彼氏は自分は優秀で会社にとって必要な人材のはずだという固定観念を最後まで捨てきれず、自分ではなく会社や周りが悪いという結論に向かっていくし、彼女の方は優秀な自分の意見に彼氏が従うべきだという価値観があるので彼氏が何に悩んでいるのかを理解できていない。

結局のところ双方自分と相手の考えを客観視できず自分の物語に無理やり当てはめようとするのでそりゃ上手くいかないよなっていう、どっちもどっちな2人だなという感想。まぁ恋人同士に限らず人間関係において相手の考えが汲み取れないというのは「あるある」なので、その後の暴走っぷりを抜きにすると非常にリアルな人間模様を描いた作品だと言えるのではないだろうか。

主演のフィービー・ディネヴァー。美人!

■壊れていく様を楽しむ作品

小難しい感じで書いてしまったが、この作品の面白いところはその暴走し始めてからの無茶苦茶っぷりなのでそこに期待してエンタメとして楽しむのもいいんじゃないかと思う。
ここまでぶっ壊れるのはアメリカンならではな気がするが、人間自分の思い通りにことが進まないときが一番辛いのでまぁ双方気持ちはよく分かるよって言ってあげたい(笑)

仕事はほどほどに、プライベート優先で生きていくのが結局幸せなんじゃないかと思う今日この頃でした。

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