『祇:Path of the Goddess』遊んだよ
『祇:Path of the Goddess』おもしろかった~~~。仕事柄ゲームを遊ぶときにはGOTYを意識してしまうのだけれどこれはもう年末にどう語るか考えちゃう。すごいよかった。
『祇:Path of the Goddess』はカプコンによる新作アクションストラテジーゲーム。穢れによって浸食された禍福山と、禍福山に点在する集落を解放するため、巫女の世代と共に主人公の剣士・宗は戦うぞ、というストーリーだけどセリフはほぼない。発売と同時にカプコンの名作アクションRPG『大神』とコラボしていた事からもわかる通り世界観はいわゆる和風のもので、ビジュアルが一番このゲームを大きく特徴づけている。登場人物や敵キャラのデザインはもちろんのこと、特に驚くのはUIの部分で、装備品とかをエクセルの表みたいな一覧で見るみたいなのはマジでない。セーブは御朱印帳だし、強化画面は三方(お月見団子をのせるやつ)から選ぶ。とにかく、ゲームそのもの(インゲームもアウトゲームも)を統一されたアートスタイルでまとめてやるぜ、という意気込みがすごい。
ジャンルとしてはアクション+ストラテジー(タワーディフェンス)ということで、いちばん印象が近い最近のゲームだと『ピクミン4』かなあ。宗と世代は禍福山の集落を順番に訪れて穢れに捕らわれた村人をまずは解放していく。この村人をユニットとして配置し、夜の時間帯に来襲する敵・畏哭から世代を守り抜く。青ピクミン赤ピクミンみたいに村人はさまざまな職業に転職でき、マップの特徴や出現する畏哭の傾向によって戦術を組み立てて夜のステージに備える、というのは典型的なタワーディフェンスだけど、宗を操作してガンガン自分から戦っていけるのが『祇:Path of the Goddess』のもう一つの大きな特徴だろう。火力や体力は実は強い職業の村人よりも弱いけど、タワーディフェンスでどうしても勝てない~このウェーブだけ突破できればクリアできるのに~というときは、宗の立ち回りを変えておっきい畏哭に対処するとか、そういう力技の解決策だってできるようになっている。とにかくレベルデザインが秀逸で、難易度設定はないのに当該ジャンルが苦手でも頑張れば最低限クリアできるようにはなっているし、歯ごたえのあるゲームプレイを楽しみたい場合はいろんな縛りをプレイヤー側で設定できる。集落で世代を守るパートの他に巨大なボスを村人と協力して倒すパートもあり、こちらは地形を使った攻略があんまり効かないしボスの能力もそれぞれ全然違うので死に覚え感がある。ただ、火縄や大筒などの遠距離攻撃ユニットを最大強化して揃えれば火力でごり押しできたりもするので、そのあたりのバランスも好印象。スマートじゃないやり方でもゲームの全貌が自力で見えるというのはすごくありがたい。宗単独で挑まなきゃいけないボスもいるのだけど、攻撃パターンを覚えればちゃんと倒せる。大変だったけど。
個人的には宗のデザインも良いなと思った。最近のゲームはわりとプレイヤーキャラクターの見た目をマスキュリンかフェミニンか選べる奴が多いけど、顔まで含めて全身を覆っている宗は、どっちでもありえそうなシルエットでもちろんかっこいい。デザインそのものがキャラクター性にもつながっている。
アクションの手触りとかはたぶんアクションが得意な人には物足りないのかもしれないし(弾きはともかく、カウンターが最後までうまくできなかった)、UIにこだわりすぎて不便になっている魔像の選択画面とかいろいろ気になる点はもちろんなくはないのだけど、間口の広さと素晴らしいアートスタイルは、昔のコンシューマーゲームのてざわり。海外向けの和風の世界観で既存ジャンルをなぞるというのはコーエーテクモゲームスがEAと『WILD HEARTS』でもやってたけど、あちらはモンハン風のアクションゲームというどうしても大きくならざるを得ないスケール感がやっぱり大変そうで、その意味でもコンパクトな世界観で細かい部分を作り込んでいくスタイルっていうのは正解なのだろうなあと感心しました。