【無料|投資レヴィ】米国株投資のリターンを予測する方法とは?
投資猫レイです。
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米国株投資の期待リターンの推定
米国株への投資によって手にできるリターン、そのリターンを予測することはできるでしょうか。
今回は、最もオーソドックスな方法を解説します。
まず、一部の研究によると、株価を予想することは「全くの無駄」です。
理論的に、「完全に効率的なマーケット」では、その時点で入手可能な全ての情報が株価にプライスインされています。
つまり、株価は常にフェアバリューです。その時、株価の将来の値動きを予測することに意味はないのです。
米国株式市場は、「完全に効率的なマーケット」ではないです。
とはいえ、その効率性は高いことから、短期的な株価の予想はとても難しいものです。
しかし、株式投資の長期的なリターンを予測することはそれほど難しくはないかもしれないのです。
なぜなら、株式購入時点のPERには、その後の長期リターンと明確な相関関係があるからです。
PERと期待リターン
次のチャートは、米国株式のPERとその後の10年間のリターンをプロットしたものです。
株式購入時点のPERが低ければ低い程、トータルリターンが高くなることが読み取れますね。
この記事の執筆時点では、S&P500のPER(Bloombergのコンセンサス予想ベース)は18倍程度です。
このPERの水準を上のグラフに当てはめてみます。そうすると、18倍程度のPERは、今後10年間で年率5%程度のトータルリターンを意味すると言えそうです。
PERとは
PER(Price Earnings Ratio)は、株価が企業の利益に対してどの程度評価されているかを示す指標です。
例えば、S&P500のPERは、この指数を構成する500社の株価と利益の比率を平均したものです。
PERの計算方法
PER = 株価 ÷ EPS(1株あたりの利益)
EPSとは、企業の純利益を発行済み株式総数で割ったものです。
S&P500のPERの歴史的推移
S&P500のPERは時間とともに変動し、経済の状況や市場のセンチメントに影響を受けます。
過去のデータによると、S&P 500のPERは15〜20の範囲が平均とされていますが、経済状況によってはこの範囲を超えることもあります。
PERを用いた投資判断
PERを用いて市場全体の割高・割安判断の目安になります。PERが高い場合は市場が過熱している可能性があり、低い場合は市場が割安であると考えられます。
CAPEと期待リターン
また同様の相関関係は、CAPEにも確認できます。CAPEとは、ざっくり言うと、景気循環の影響を除いたPERです。
PERは、当期の利益のみから計算するため、景気循環の影響を受けやすいのです。この点を修正したのがCAPEです。
下のグラフは、購入時点のCAPEとその10年後の株価の実質上昇率をプロットしたものです。
足許の米国株のCAPEは28倍程度なので、今後10年間の株価の実質上昇率は極めて小さくなることが示唆されています。
CAPE(シラーPER)とは
CAPE(Cyclically Adjusted Price Earnings Ratio)、またはシラーPERは、株価が企業の利益に対して割高か割安かを判断するために用いられる指標です。
この指標は、ノーベル経済学賞受賞者であるロバート・シラー教授によって考案されました。
CAPEの計算方法
CAPE = 現在の株価 ÷ インフレ調整後10年間の1株あたり純利益の平均値
この計算により、PERより景気循環の影響を受けにくい、より安定した指標となります。
CAPEの意味と使い方
CAPEは、単年度の利益ではなく、過去10年間の利益の平均を用いることで、一時的な市場の変動や景気の波を考慮に入れた指標です。
一般的に、CAPEが25倍以上である場合は株価が割高であるとされ、それ以下であれば割安とされます。
CAPEレシオは、市場全体または特定の株が長期的に見て割高か割安かを判断する目安になります。
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