トリニクがなんの肉か面白く論理的に説明してみろよ馬鹿！

2019年11月27日 23:05

一人暮らしになって全くと言っていいほどテレビを見なくなりました。

寂しいときにテレビつけないの？

とよく聞かれたりもしますが、Youtubeの方がまだ自分に寄り添ってくれるので、別にスマホを開けばいい、と思ってしまうんですよね。先日もうYoutubeおもんない、みたいな記事を書いておいて恐縮ですけど。

でもこないだ、ひさしぶりにテレビをつけてみたことがありました。割と久しぶりにバタバタから解放された日があって、なんとなく実家暮らしの時を思い出して、ふとテレビをつけたんです。

その時にやっていた番組をみていろいろ思うところがあって、今日はその話をしようと思います。

トリニクって何の肉？

皆様、「トリニクってなんの肉？」というクイズ番組をご存知でしょうか。

簡単に説明すると、

昭和生まれの芸能人のパネラーが、平成生まれの解答者チーム30人と昭和生まれの芸能人チーム5人に誰でも分かる的な一般常識クイズを出題して、対決していくみたいな番組です。

それこそ番組タイトルみたいな、そういうレベルの一般常識を聞いていくわけです。

ぼーっと見ながら、わかりやすい「おバカちゃん」を発掘して楽しむ、「ヘキサゴン」の負の遺産的クイズ番組がまだあるもんだなと思ってたら、正解発表のときに、ハッと気付かされるワードが。

回答が終わったら、平成チームの正解発表に移るんですけど、その正誤の呼び方が、
「正解」と「不正解」じゃないんです。

「正解」と「考えたことなかった」なんですよね。

これは大変時代性だな、と思いました。

平成、という時代は「個人尊重」の時代だとしきりに言われますが、もっと噛み砕いていうと「みんなが同じものを見なくなった時代」ということだと思っています。

インターネットがグッと身近になったこと、より強い個性やオリジナリティがもてはやされるようになったからこそ、したいことや見たいもので身を固めることが容易になったんじゃないかと思います。

つまり、何がいいたいかというとこの番組のおバカちゃんいじりは、「物知らずの若者が増えた」というベクトルからは一段階脱しているということです。

「おバカちゃん」に見える(見せる)平成生まれのタレントの横にはわざわざ「大学名」やら「職業」やら書いています。

つまり「この人いい大学出てるのにこんなことも知らないのね」を演出しつつ、

「この大学に行くような人、こんな職業になる突出した個性を持つ人こそ見たいものしか見ないで成長している世代です」

という実は巧妙な風刺なのではないか、と思ってしまいました。

またこの番組は「間違った平成生まれに言い訳をさせる」という場面に多くの面白さを託しています。

一般常識を間違えたら、昭和生まれは「こんなことも知らないのか！」と一蹴。それに必死に「自分の持てる知識を総動員した『論理的な』言い訳」を平成生まれが返すという構図。

これも世代を象徴している気がします。この構図は
「みんなが持ってる知識をちゃんと取り揃えつつ他の知識量でマウントを取り合って」いく時代から、

「少ない材料でいかに論理的なハッタリをかまして個性を売るか」という時代へのうつり代わりなのです。

冒頭で僕は「テレビをつけなくてもYoutubeを見ればいいじゃない」と言いました。

ここまで考えた内容を踏まえると、それこそが「考えたこともなかった」を生むんだと思います。

好きなものに取り囲まれ、興味を推し量られてレコメンドされ続ける、「フィルターバブル」と揶揄される時代で育った僕たちは、これからも「考えたことなかった」を馬鹿にされながら生きていくと思います。

でも、「ぼーっと」生きている無知な若者に見えて僕らは「ぼっとう(没頭)」して生きています。

見たいものを好きなだけ見れるからこそ「誰も考えたことなかった」をこれからどんどん生み出していく、「狭く深く」こそ価値を生んでいく時代になっていくのではと僕は思います。

だから僕はこういう番組をみて若者を馬鹿にする人たちに真顔でこう返していきますよ。

「トリニクがなんの肉か筋道立てて面白く説明できますか？」と。

どもった皆さん、俺たちは「ぼーっと生きてるんじゃない」の。

ではまた。

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