「四季折々」、超個人的解説のコーナー〜楽曲編3〜
本日は「四季折々」について語り尽くすシリーズ最終回、楽曲について最後まで語り尽くしております。
毎度のことですが今回も新井の超独断と偏見もものを申しております。バンドを代表しての意見ではございません。「底なしの青」ヲタクの一意見だと思ってご鑑賞くださいませ〜
6. slow down
この曲はぼくは底なしの青のテーマソングだなと思います。
なんというか、バンドを続けていくこと、音楽を続けていくことを噛みしめたくなる曲なんですよね...
下田さんがこのバンドを始める時に作った曲というのもあって、「どんなことがあっても」から始まる未来を歌った曲になってます。
既に聴いてくださっている皆さんはお分かりの通り、「何かが始まる予感」をただ楽しげに明るく歌うような未来の曲ではありません。
歌詞にも、1番で早速「向かい合って座り込んで話していた未来」が「不可抗力に押し出され消えてしま」ってますからね。
この曲で歌われているのは、たしかに未来であり、前に進む決意なんですが、常に「終わり」や「また諦めてしまう可能性」が付き纏うという圧倒的リアルもまたセットで描かれています。
でも、だからこそこの曲が人の心に沁みるのかな、と思います。
「あきらめないで」「きっと未来は明るいよ」「やまない雨はないよ」
というポップソングに「うるせぇよ」と返したくなる日だってあるわけで。
そういう日にこそこの曲が寄り添ってくれるんじゃないかなと思います。
最後の最後に「終わり」が「どんな未来も愛せるかな」になる締めくくりもまた、前を向けますよね。
そして、この曲のドラムやレコーディングのお話を。
前述の通り最初期からある曲なのもあって、実は収録されている音源は、僕が正式メンバーとして加入する前どころか、まだ初めてのライブをする前に録音されたものなんです。
それもあって現在ライブで叩いてるフレーズと異なる部分が多々あります笑
音源となっているものよりも、さらにシンプルに、レイドバックしたノリを噛み締めて今のライブでは叩いていますね。
この曲は下田さんの伸びやかな歌声にたっぷり寄り添えるように特に意識したアレンジをしました。
slow downをライブでやっていると、バンドしてるな〜という気持ちになります。20歳の若造が生意気いってすいません。
でもサビがくると、なんか生理的に没入できるんですよね、バンドやるぞ〜みたいな。
だからこの曲から始まるセットリストが好きだったりします。
7.青い太陽〈少年少女ver.〉
この曲は、底なしの青の始まりの曲です。1番初めに公開したそんな始まりの曲を、ヨワノツキからNanas◎n氏(以下、ななそん)を迎えてremixしたバージョンとなっております。
ちょうど一年というタイミングで、始まりの曲の新たな魅力に気づいてもらえるような、そんな素敵な再録になってるんじゃないかなと思っております。
ななそんの透明感があって、芯があるんだけどどこか危うい感じの声が、この曲の切なさを1.5倍増し(当社比)にさせています。推せる。
特に好きなのが、「溢れ出したんだ」の部分。切なさが溢れ出してるどころの騒ぎではありません。溢れ倒してます。
ヨワノツキのレコ発に出演した際にななそん氏一緒に青い太陽を演奏したんですが、あれも楽しかったんですよね〜
下田さんとはやっぱり歌い方が違うわけで、いつもと違う合わせ方というか、呼吸感を感じながらの演奏だったので新鮮でした。また機会があればやりたいな、なんて。
あと、この曲のドラムは、底なしの青の他の楽曲の中でも特に自分っぽいドラムだな〜と思います。
1番始めにアレンジを付けたというのもあるかもしれません。下田さんにイメージや細かい要望は聞きつつ作ってはいましたが、「底なしの青」っぽいというよりは「新井 怜」っぽいドラムだなと自分で思います。
自分のドラムはよく「重い」「安定」といった言葉で評価していただくんですが、そういう自分の良さが全面に押し出されているなと思います。
最近の曲が自分を殺しているというつもりはありませんよ。むしろ最近のドラムはそこに「底なしの青」っぽさと「下田さんの歌のクセ」が加わって立体的になっているイメージです。
これからも底なしの青のドラマーとして、もっと志は高く日々精進。自分を見失うことなく。
そう思わせてくれる曲です。
8.冬は遠く
さて、きてしまいましたね。最後の曲が。
最後の曲にして僕が個人的に普段1番聴いてしまっている曲、それがこの「冬は遠く」です。
あんまりライブで回数やってる曲じゃないんですけど、とってもお気に入りの一曲です。
アコギのあたたかみのある音と涙腺を刺激するリードギターを聴いてると、なんか「秋田の冬」を思い出すんですよね。
地元のあたたかさみたいなのが、下田さんはもちろん狙ってないだろうし、一切テーマとは関係ないんですけど何故か自分の中に宿るんですよね。この曲を聴くと。
僕の中でやっぱり冬っていうのは、まだまだ地元の冬であり続けると思うんです。
僕の中に、そんな秋田原風景を呼び起こしてくれるんです。この曲は。雪国から今は違うところから出てきてる人、同じ感想持ってくれたりしないかな。
そして歌詞もこれまた良い。
個人的に好きなポイントがいくつかあって、まずは1番Bメロ
あなたは何ていうかな
どんな顔をするかな
想像してみたけど
冷たい風に押し戻されるの
僕はこの曲はあなたに代入されるのは恋人だけではないと思っていて。
そういうところもまた、地元感に結びついてるのかもしれませんけど、しばらく会っていない友達とか、先生や家族のことが、ふっと思い起こされるセクションなんですよね。
でも、そんな情景を詳しく辿ろうとすると「冷たい風」に「押し戻されて」しまう。
ここは僕にとって「仙台の風」なんですよね。雪国の風というより、乾いた太平洋側の、体を刺すような冷たい風。
思いを馳せようとしても、慌ただしい日常にあっという間にかき消されてしまうような感じです。
ラスサビ直前
乾いた空に吸い込まれてゆくの
もお気に入りで、ここまで書いてきたようなエモさが同じくあります。乾いた空が広がっている冬は、やっぱり仙台の冬なんですよね。
そして最後のサビ。
さよなら 何度だって見送るの
あなたは 冬になりました
何故だろう涙が溢れ出したんだ
穏やかな気持ち
この「何度だって見送るの」もまた、今となってはしょっちゅう会えなくなってしまった友達や家族が思い浮かぶんですよね。
会うたびに別れを惜しむ時がくる、そういう関係。
単純にこの歌が持つ恋愛ストーリーに重ねて合わせてもエモいですよね。
きっと何度も自分の中で決別しようとしてるんだろうなぁ、と。
だからこそ映えてくる次の一行
あなたは冬になりました
これは別れではない、エモい一行です。
冬になったってことは嫌でも毎年思い出す、ってことですよ。こんなに悲しい精神的決別があるでしょうか。
僕は毎年やってくる帰省がこの一行と重なったりします。
そして未来に思いを馳せたりもする。
これからお世話になった人や友達、家族を亡くしてしまったりすると思うんです。
そういったときにも沁みる一行なのかな、と思います。
その人が冬になるとき、やっと素直に泣けて、本当の穏やかな別れがやってくるのかなと思います。
あ、ここまで語ったらまた愛おしさが増してきた...
サウンド的にはですね、かなりドラムは壮大さを意識して叩いてます。
曲全体のスケールの大きさというか、時間軸的な深みみたいなものが音色で出せてるんじゃないかな〜と思います。
特に自分のスネアの音の魅力がストレートに味わっていただける曲かと。
どしんと胸に響きつつも、出るとこ出てくれる。安心の音でございますね。
そんなこんなで今日も以上でございます。
この「四季折々」解説シリーズはマガジンを作りますので、まだCDを手に取っていない方も、ぜひETして聴きながら読み返したりしてくださいね。
ではまた!
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