【詩】パレード

ふれあわす手の甲に
きみがいない夜に

草臥れた僕らはパレードをする

瞬きもできない
ニッキーマウスが
くるくると廻る
金がない僕らのための
偽者だとばれないように


新聞は教えてくれる
きみがいた場所を
紙の、こすれる音で

靴下は教えてくれる
脱ぎ棄てられた時間を
くるくると丸まったままで

僕が隷属してゆくのは
言葉ではなく
身体のせいではないか

ブルーライト製の文字が
パケットで切り刻まれて
盤面に降り積もっていく

きみの正義の
受益者になれないまま
土に帰ってゆくひとたちのように

そうして
僕は見つける
きみの袖口に
ごはん粒をひとつぶ

僕は
きみのスウェットのそれを
そっとつまむだけ
いつかは
非常口に突っ込む車のように
戻ってくるといい

きみがひとり
またひとり
戻ってくるといい

きみの手の甲に

その、ぬれた手の甲に

2020年2月22日

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