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新潟市「新潟県立万代島美術館」久しぶりの新潟 復路編③ より道 in THE ドラえもん展 NIIGATA 2020

新潟県立万代島美術館
場所 新潟市中央区万代島5-1 万代島ビル5階
電話 025-290-6655
バリアフリー ◯
URL https://banbi.pref.niigata.lg.jp


より道ほど

楽しいことはない。どこかに行ったついでに少しだけ廻り道して、なにか面白いことはないかとふらふらする。学校終わりに、自宅と反対方向の友人宅まで行ってしまい、極端に遅い帰宅となり心配した母親から大いにどやされたり。仕事の行き帰りの道中で、前から気になっていたものを確認したくなり、まぁいいや行ってしまえとゆっくり見物していたら、上司同僚部下に下請けさんからヤマほど連絡が入っていて、これまた大騒動となった。


なんて事を

幾度も繰り返しているから、おれってつくづくダメ人間だなぁ。とはいえ、行って帰ってくるだけではつまらない。よそ様に迷惑をかけるのはいけないが、空き時間に少しだけ。わずかなひと時が豊かさにつながるのだ。

新潟は

広いし長い歴史のある地だから、あちらこちらに観るべきもの、接しておくべきもこが多く点在している。しかも、長野と違い地形が寸断されていないから『あそこに行きたい!』と思えばパーッと行ってしまえる。こういうところが嬉しくてたまらない。もちろん、現実はさほどシンプルなものではないのだろうが。

さて新潟にいる。

息子を送り届けるというミッションは終わったのだからとっとと帰ればよいのに、より道グセがむくむくと沸き起こってくる。調べてみたら近くでよいものを開催しているではないか。さぁ行ってみよう。


「新潟県立万代島美術館」
新潟市万代島にある複合施設 朱鷺メッセ内にある美術館だ。企画展専門の施設として2003年にオープンしたというこちらは、小さいながら攻めた企画を実現してくれるから好きなのだ。昨年は『人気絵本のひみつ展』でほんわりさせてもらった。そして今回は

「THE ドラえもん展 NIIGATA 2020」

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『あなたのドラえもんをつくってください』
国内外で活躍する28組のアーティストたちに、こんなお願いをしました。1970年の誕生以来、日本中に夢を届けてきたドラえもん。みなさんの心の中にも、思い出のドラえもんや、いつでもそばで優しく助けてくれるドラえもんの姿が、刻まれているのではないでしょうか。変わりゆくこの時代の中で、アーティストたちに「あなたのドラえもん」を表現してもらったら、どんな世界が生まれるだろう。何を願い、未来へ何を伝えてくれるだろう。この展覧会のために、様々な発想や技法によって生み出された作品をお届けします。


というテーマの企画展。いつものドラえもんが現代アーティストたちにはどのように見えているのか、あるいはどのように変えていくのか、再構築していくのか。とてつもなく刺激的なものになりそうだ。


村上隆「あんなこといいな 出来たらいいな」

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のび太、ドラえもん、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫、お父さん、お母さんその他ドラえもんたちと藤子F不二雄先生がにこにこご機嫌な姿でわれわれを迎えてくれる。シニカルではあるが最後まで人間を信じ続けたF氏を真正面から捉えた作品だ。


蜷川実花「ドラちゃん1日デートの巻」

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写真家で映画監督、そしてあの蜷川幸雄の娘さんがドラえもんとデートをする、というコンセプトで作り上げた作品。ドラえもんと実花ちゃんは2歳違いのほぼ同世代。よくお似合いのカップルだ。あぁオレもデートしたい。


福田美蘭「レンブラントーパレットを持った自画像」

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17世期の巨匠レンブラントが残した自画像(未完ともされている)とドラえもんのコラボレーション作品。背後に描かれた謎の円は現生の象徴だとか、彼の師へのアイロニーとか言われていたが、福田は臆面もなくドラえもんの手にしてしまった。こういうすっとぼけたあり様が好き。


Mr.「重力ちょうせつ機」

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原作の1エピソードを描いた作品とのこと。のび太の部屋が無重力状態と化してという場面。これはとても楽しい、現実に行ってみたい風景だが、お母さんに怒られるなぁこれは。それにしてもしずかちゃん似てないな。


そもそもこんなに写真撮っていていーんかい?
と思われる向きもあろうが、この展覧会は作品によっては撮影OK。どんどんSNSで拡散せよ。という企画なのだ。カラフルでインスタ映えもするからじつによい。…のではあるが、展覧会そのものが8月23日までのこと。終わったあとで拡散しても意味がない。ドラえもん、ごめん。


山口晃「ノー・アイアム・デー」

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大和絵、浮世絵のタッチで現代建築物や人物を精緻に描きこむという特殊な技法を持つアーティスト。藤森照信との共著が大好きなのだが。
彼のドラえもんはそのまんまイメージ通り。シュールなまでにすっとぼけたのび太&ドラえもんが面白くてならない。


町田久美「星霜」

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人生ではじめて描いたおともだちドラえもんをシンプルに造形として捉えた作品。ドラちゃんはいったいどこをみているのだろうか。


コイケジュンコ+森村泰昌
「時を駆けるドラス」

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「空を駆けるドラス」

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おおおお!この間、ハラミュージアムアークで出会ったセルフポートレートアーティスト!そういう事だったのか!ドラえもんだったのだなこの作品は。なんだか変な感じが過ぎるがこれは楽しい。コイケジュンコのドレスはドラえもんの名場面、名セリフのコラージュというとても凝った作品。いやいや迂闊に見過ごせない。

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奈良美智
「ジャイアンにリボンをとられたドラミちゃん」

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「依然としてジャイアンにリボンをとられたままのドラミちゃん@真夜中」

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きたーーーーーーーーーーッ!奈良美智!
いつもの奈良テイスト炸裂だ。そもそもモチーフがよいではないか。とくに後者の赤い顔して悔し涙を浮かべているドラミちゃんが可愛い(のか?)。ドラミちゃんフィギュアもプリティ(なのか?)。

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「おい、この人『おごってジャンケン隊』に出てた人だぞ」
「ナラミチ」
「ああ、CoCo壱で10辛食べた人ね」
「八巻の買った300万円の絵はどんなだかね?」「八巻の買った300万円の絵はどんなだかね?」

などというマニアな会話の成立する親子なのだ、わが家は。どーだ、参ったか。


後藤映則「超時空間」

映画「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」にインスパイアされたという造形物。ナイロンを織り込んだものにプロジェクションでドラえもんやのび太、その他の登場人物が浮かび上がる幻想的な作品だ。不思議、とても不思議な風でこういう解釈もあるのかと展覧会中でもっとも忘れられない作品であった。


他にはしりあがり寿「劣化ぼうしスプレー」というアニメ作品が面白かった。いつものきれいなドラえもんがどんどん崩れていき、しりあがり寿になっていくというシュールなもの。これは撮影出来なかったのが残念。


という事で新潟より道旅は終了。次はどこにより道しにいこうか。

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