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長野市「秋山食堂」しっとりおにぎり、パリパリ焼そば

店名 秋山食堂
場所 長野県長野市小柴見375
電話 026-228-8431
ジャンル 食堂
バリアフリー ◯
駐車場 あり

おにぎりとは日本本来のものなのであろうか。民俗学を学んだわけでもないし、調べたこともないからよくはわからない。よそ様はともかく、日本人とはよほど長いつきあいとみえ、弥生時代遺跡から出土された例もあるという。もっともこれは状況からして祭司に用いられたもののようだが。しかし、文献に登場するのは奈良時代というから間違いなく1200年以上のおつきあいとなる。

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元はといえば残ったご飯を保存するための手法だったり、お弁当用の携行食として発達したものなのだろうが、そこはそれ母親や配偶者といった特別な存在が調じてくれることが多いものであるだけに反射的にもの凄く神聖な、尊いものと思えてしまうのは私だけであろうか。

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だからつい、コンビニで昼食を買う時(あまりないけど)におにぎりを手に取ってしまうのは仕方のないことだし、それ以外のところで出会ったりすると、逆上するほど嬉しくなってしまうのも、受容するしかないことでもある。

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「秋山食堂」

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いつものレジェンド食堂だ。このところ、日曜日に開いていることがなくて残念でしかなかったのだが、この日はたまたま前を通りかかったら【営業中】の札がかかっていた。おおおお!これはいくしかない。お!今日はすごいものがある。カウンター上にある黒板、すごいものからは凄まじいばかりの光彩を放たれている。

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「鮭おにぎり」150円

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おおおおおおおおお!おにぎりだァァァァァァァァ!!これは注文するしかなかろう。いや注文させてください!食べさせていただきたいのです!大将!鮭おにぎりひとつお造りいただけませんか?

小皿にコロンと無造作に置かれたおにぎりひとつ。ほぼ全面が海苔に覆われ、つやつやと美しい黒い光を放っている。昔のセブンイレブン風にいえば『直巻きおにぎり』となるであろう。

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そんな名称が出来たから、なにか特別なものに感じられるようになってしまったが、昔はご家庭おにぎりなんてこれが当たり前だった。お母さんが手早くにぎり、海苔をまきアルミホイルでぱぱっと包んでくれるおにぎりはしっとりペタァとしていたものだ。パリパリ海苔のおにぎりなんてコンビニあってのもの、これもコンビニが変えた歴史の一コマだ。

秋山食堂の丸いおにぎりはデカいデカい。ご飯茶碗で2杯分くらいはありはしないだろうか。にぎりが少し甘くてふた口くらい食べると崩壊してしまう。にぎってからいくらも経っていないから海苔が締まらない。まぁこれも『らしさ』という事でよいだろう。最後は小皿にのせて箸で喰らう。鮭がデカくてよろしい。

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しかし、これだけでは寂しいのだ。黒板の隣には『半ラーメン』なる記載もあったが、ラーメンも今ひとつ。あ、そうだ。あれがあった。いつもはあまり注文しないものだからちょうどよい。


「パリパリあんかけ焼そば」780円

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いわゆるかた焼きそばだ。パリパリがあんで次第にしっとりとしてくる過程がよいのだが、時間がかかるのと食べづらいのが閉口であまり注文しない類のものではある。秋山食堂のかた焼きそばはいったいどんなものであろうか。

まず登場するのは小皿にのった洋がらしの山。卓上の酢を加えて好みの味わいにせよ、という事らしい。酸っぱいもの好きな私は、大量に酢を加えひたすらクリクリとかき回す。そうしているうちに本隊がやってくる。ああああ、秋山食堂こういうタイプなのか。通常とは違い、麺と具が別になったセパレートタイプ。これは冷やし中華と同じ手法だが、焼そばの方が効果的といえる。

大量のキャベツ、にんじん、もやしが入ったとろりとしたあんの上にはメンマ、ゆで玉子、チャーシューが積載されている。これを麺にかけて食すのだが、この麺がハイグレードなのだ。

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私がかた焼きそばを好まないのが、麺のあり方による。大概は太くて『パリパリ』ではなく『バリバリ』に仕上がっているのが嫌でたまらない。食べづらくて面倒だ。その点こちらのはじつに軽くおさまっている。使用する麺にもよるのだろうが、揚げ方がまた絶妙なのだ。あんと麺とをサクサクと混ぜ合わせる過程がまた素晴らしく心地よい。

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というわけで、レジェンドでおにぎりランチを堪能した。やはりここには何かがある。秋山食堂通いがやめられない止まらない。

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