千利休から学ぶ 最強のビジネスマインド
みなさんは、千利休と聞くとどんなイメージを持ちますか?
お茶の人だから、静かで、おしとやかで、穏やかな人?
お茶が得意な、小柄なおじいちゃん?
性格の真偽はわかりませんが、実は政治もビジネスもばりばりのやり手だったのが千利休です。
あの織田信長と豊臣秀吉、二代に渡り仕えた凄腕の実力者です。
そんな、歴史に名を残す2人の武将に従え上り詰めた千利休からは、現代にも通ずるビジネスマインドが多くあります。
千利休ってどんな人?
まず、本編に入る前に簡単に千利休の生い立ちをご紹介。
千利休はお茶の人のイメージが強いですが、堺の商人の生まれで、本名は田中与四郎と言います。
教養を身につけるために17歳から始めた茶道により、51歳のときに織田信長に茶頭として重用されるようになりました。
そして本能寺の変で信長が死去した後は、豊臣秀吉に仕えました。
ちなみに「千利休」という名前は、秀吉の関白就任を祝う席でお茶を頼まれたものの、一介の商人では宮中に入れなかったため、天皇公認の高僧とし形式を整えるために与えられた名前です。
そんな商人の出から、お茶を大成し、ここまで上り詰めた千利休から学べるビジネスマインドを3つのエピソードとともに紹介します。
利休七則
七則とは、お客様をおもてなしするときの7つの心構えのこと。
おもてなしが大事な茶道において根底となる考え方のことです。
七則
一、茶は服の良きように点て
ニ、炭は湯の沸くように置き
三、冬は暖かく夏は涼しく
四、花は野にあるように入れ
五、刻限は早めに
六、降らずとも雨具の用意
七、相客に心せよ
それぞれ簡単にいうと、
一、茶は飲む人にとってちょうど良くなるように点てなさい
ニ、炭は上手く熾ようにして置きなさい
三、飾る花は、花本来の美しさ、生命力を十分に生かすように
四、夏はいかにも涼しきように、冬はいかにも暖かなるようにしなさい
五、決められた時間に遅れないよう何事も早めを心がけなさい
六、何事においても準備をおこたらず、さまざまなことを想定しなさ
七、この場の全員が楽しく過ごせるよう、互いに尊重し思いやりなさい
お気づきかの人もいるかと思いますが、意外にも何も難しいこと言ってないんです。
ごくごくあたりまえのことしか言っていません。
弟子が「茶の湯の極意を教えて欲しい」と願ったのに対し、千利休はこの七則を答えたそうです。
これを聞き、「そんなことは誰でも知っている」と言った弟子に対し、千利休はこう言いました。
「この当たり前のことがいつでもどこでもできるのであれば、わたしはあなたの弟子になりましょう。」
あたりまえの重要性を痛感するエピソードで、はっとさせられます。
わたしも、ビジネスにおいて「極意」や「裏技」を知りたがったり、すぐに新たなことを学びたがってしまいます。
そしてそこで、当たり前なことを言われたり見たりすると、「そんなこと知ってるよ!もっと新しいことが知りたいの!」と思います。
しかし、では、わたしはそのすでに知っているあたりまえができているのか?いつでもどこでも??
できていません。
まず当たり前のこと、本質をひたすらあたりまえに行うことが結果につながる。
小手先だけのスキルだけでは、お客様にコミットすることはできません。
いつでも大事なことは、ごく基本的なこと。
茶で天下を取ったと言われる千利休がいうのだから、間違いないですね。
いつでも初心を忘れず、大事なことを見失わないようにすることがいかに大事かを学びました。
降らずとも雨の用意
これは、七則の1つですが、特だししてあるエピソードととも紹介します。
客人をもてなす際、千利休はいつでも必ず折り畳み傘を準備していたそうです。
たとえ晴れていたとしても。
しかも、その準備する傘は、客人の好みに合わせた柄だったそう。
そして席に来てくれた客人が帰るとき、雨が降っていたら、それを差し出していたそうです。
ここで学べることは、「他者との差別化」だと思います。
豊臣秀吉でも似たようなエピソードで、信長の草鞋を、履く前に温めておいて、履いたときに冷たく感じさせないようにしたというものがあります。
秀吉は、戦いが強くないからこそこういう最大の気遣いを工夫し、他と差をつけていきました。
お客さまが自分を選んでくれる理由は何なのか?
もちろん、スキルがずば抜けていること(戦国時代で言うと戦いが強いこと)も差別化にはなりますが、こういう面では、基本的には上には上がいます。
だからこそ自分にしかできないことは何か、それを見つけることが重要。
相手のことをどこまで考えることができ、どこまで行動することができるか。
その結果が、自分を選んでもらえる理由になる。
わたしにできる最大の差別化要素を見つけていかなきゃないけないと、改めて思いました。
あえて落ち葉を落とす?
ある日、茶の師匠となる紹鴎から庭の掃除を命じられた千利休。
しかし利休が庭に行ってみると、きれいで塵一つない。
それを見た千利休は、木を揺らし、落ち葉を数枚落とした。
紹鴎が千利休を認めたきっかけとなったエピソードです。
ここから得られる教訓は、ただ言われたことをやるだけでは、解決にならないということ。
なぜなら、指示を出す側が必ずしもその「本質」を捉えているとは限らないから。
たとえ指示された内容が正しい結果だとしても、言われたことをやっているだけでは、成長できません。
大事なことは、常に「本質は何か」を考える。
そしていつでも「自分の意見」を持っておく。
それによって初めて、お客様の「期待以上」を叶えることができます。
ときには、自分の考える本質が間違っていることもあるかと思います。
始めの頃は特に。
でも、たとえ失敗しても、自分なりの本質を持った上で自分の考えを実行したのであれば、それば自分との答え合わせになり、結果としてアップデートにつながる。
こういうことをたくさん乗り越えてきた人が、ビジネスパーソンとして成長できるんだろうな、と思います。
常に本質を見極め、自分の考えを持って仕事に向き合う。
成長への近道だと思います。
最後に
いかがだったでしょうか?
茶道が日本の侘び寂びであり、おもてなし道であることは知っていました。
それを大成した千利休から、これほどまでの最強のビジネスマインドを教えてもらえるなんて…
千利休、恐るしです。
仕事のあり方においてロールモデルになる人物ではないかと思います。
さて、このマインドとともに、これからもお仕事がんばります。