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「光る君へ」 第45回 はばたき

>扉絵
このグラついたところで乗るのがより⚫︎ ⚫︎効くんだよね!
破片よ、大宰府に届け!

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全編ほとんど創作パートだったのでだらだらと長く感じた(眠)。
あと残り3話でさらに刀伊の入寇も控えてるというのに。
詰め込み・駆け足の前回とは真逆なのに「何を見せられているのか感」は同じ。
いつものように気になった箇所を見ていこう。


望月の詠の解釈

冒頭、前回の場面が出たけどなぜか初句「この世、を、ば」が省略されてたな。
俊賢
「栄華を極めた今を謳い上げておられるのでありましょう。何もかも思いのままであると」
公任「今宵はまことによい夜であるな…くらいの軽い気持ちではないのか?道長は皆の前でおごった歌を披露するような人となりではない」
行成「私もそう思います。月は后を表しますゆえ3人の后は望月のように欠けていないよい夜だということだと思いました」
ひとり斉信は懐疑的。
四納言の口を借りての諸説解釈乙!
ガイド本ではここで俊賢が職を辞する決意をしたと明かすんだけど本編なし(辞職は寛仁3年10月20日)。
それにしても公任は道長に弱みでも握られてんの?
道長LOVE設定は公任に移行してどうぞ。
行成はまたDV彼氏と復縁ですか。。

敦康親王薨去(寛仁2年12月17日)

なんと本編開始5分でナレ死!
褥でのご臨終でさえなく、廊下でウッと胸を押さえたところにナレが被さって終わり。
彰子、頼通と談話シーン含め2分くらいしかなかったのでは?
あれだけ彰子との意味不明な創作場面に尺取っといて最期がこれ。
そしてまたこのナレがイラっとするんだよな。

ナレ「道長によって奪われ尽くした生涯だった」

…確かにそうなんだけどお前(脚本)が言うな。同類じゃん。
捏造彰子恋慕に尺使うならそこ、本編で描けただろうが。
今さらナレで帳尻合わせしたつもり?
史実よりゴシップ的ネタ重視(創作)なとこがほんと下世話で嫌。
ガイド本には敦康親王家別当だった行成が「内裏の政から退きたい」と頼通に申し出る場面があるんだけど本編なし。
そういえば敦康親王妃祇子女王がやっと「宮様」(敦康は式部卿宮)呼びしてた。

実際は、この日は土御門殿で兼家・時姫の追善供養「法華八講」の二日目。
さらに東宮を辞退した敦明親王(小一条院)の妃寛子の産んだ儇子けんし内親王の七夜の産養の日でもあった(こちらは高松殿)。
敦康危篤の報により、頼通、行成が慌ただしく退出し病床(高倉殿?)にかけつけた。意外な同行者として頼宗。
頼宗室が伊周女(大姫)という縁かららしい。
この関係者が慌ただしく法事から抜けていくところを映像で見たかったし、道長出家の場面なんかじゃなくここで行成の涙を見せるべきだった。

まひろ旅立つ

なんか唐突感が否めないんだけど、物語が完結したのと連動して一区切りしたくなったってことなの?
道長、倫子の前で職を辞し旅立つことと賢子を紹介するまひろ。
局に戻ったところにハイ来た!こういう時は御簾を下す。
そしていきなり「行かないでくれ」、直球。
次のまひろのセリフにびっくりよ。

「これ以上手に入らぬお方のそばにいる意味は何なのでございましょう」

…知らんがな。
音声解説)拗ねた目でまひろを睨む

久々登場、怒りのインジケーター

え?てことはずっと道長を「手に入れたい」と思ってたってこと!?
唐突な被害者モード。
むしろそれ倫子の心の叫びでしょうが。
道長=「手に入らぬお方」…手に入らぬ、とは??
「北の方」として道長を自分だけのものにしたかったってこと…?
まだそんな生臭い気持ちがあったように描かれてたっけ?
とっくにソウルメイト兼ビジネスパートナー関係で安定してると思ってた。
少女時代ならいざ知らずそこそこ歳を重ね、倫子や土御門殿での暮らしを間近で見てもまだそんなことを望んでたなんてアホ脚本すぎない?

物語執筆や出仕だって道長からの熱望に応じた形であって、まひろ側から「手に入らないならせめて役に立ちたい!少しでもそばにいたい!」って気持ちからではなかったし、倫子と仲睦まじいところを目にして「…」な場面もなかった(それはむしろ倫子側)。
源氏物語もその思いを昇華させるために書いたわけでもないし、密通で不義の子を儲けるも夫には理解され、当の道長には事あるごとに頼りにされ嫡妻のいる前でも平気で逢ってる……。
「手に入らない人のそばにいる哀しみ」など全く伝わってこなかったんだけど。
むしろめちゃくちゃ「手に入れてる」じゃん!
まひろがそこまで悩み、逡巡する過程・場面なんてあったっけ?

「身分違いで結ばれはしないけどソウルメイト、同志として共に歩んでいく」が今作のメインテーマだと思ってたけど、それが実は最後まで望んでたのは北の方の人生だったってオチで大丈夫なの…?
一気に「振り出しに戻る」気分。
ソウルメイト設定も崩壊じゃないのこれ。「川辺の誓い」とか何だったの。
今作でのソウルメイトって手に入る、入らないを超越した関係というか、むしろ手に入らないからこそドラマ的に盛り上がる関係って認識してたんだが。
…うーん?わからなくなってきた。
いつもの「考えるな感じろ」案件か?
「手に入らぬ」、北の方としての人生と思ったけど、違う解釈もあるのかな。
だって北の方以外でまひろが「手に入れてないもの」なんかないし。。
旅立つための言い訳って感じでもないしな。。
こうなったら最終回、道長が死の床で「真のソウルメイトは倫子だった…!」と気づくシーンで「完」でいいよもう。

最後に賢子が道長の子だと明かす。
今さらなんで?道長への復讐?
あんたの娘だから手を出すなという釘刺し説を見た。
でも今作の道長はそういうやつじゃないし(大納言の君、どこへ?)たぶん脚本家はそこまで考えてないんじゃないかな。
ただ“ドラマチック”な場面を作りたかっただけなんじゃ。

やっとメイクがうっすら老けモードになってきたと思ったら、須磨の浜辺を激走するまひろさん50歳。。
これが美術展ナビさんの手にかかると
“「光源氏が人生を再出発させた須磨の地から、新しい世界へと羽ばたいたまひろ。無心に走る彼女の姿に「自在に空を飛んでこそ鳥」という第1回の三郎のあの言葉が蘇ります”
となるらしいけど、、、すごいアクロバット擁護。
解放感の描写なのはわかりますよ。
でも浜辺を全力疾走するなんていう解放感の表現はあくまでも現代人のものであって、長旅の中年平安女性にそれを当てはめるのはやりすぎでしょ。
…待てよ、もしやあれはまひろの脳内“解放”イメージ(望月のキラキラ的)!?
それなら紛らわしいんで画面スモークとかのエフェクト入れるか、次コマで「はっ!」と現実に戻るシーン入れてくださいw

大宰府に着いた瞬間、20年以上ぶりに周明にバッタリ出会う(メロドラマ風スロー再生)。
知ってた。二人で宋に行けば?
まひろよ、周明なら「手に入る」ぞ!

道長出家(寛仁3年3月21日)

これまで全然道長個人の信心深さや浄妙寺(木幡堂)建立など描いてこなかったから唐突感あるよな。金峯山詣と同じく。
倫子のセリフ「いまわの際でもありませんのにご出家なぞありえませぬ」??
臨終出家の方が珍しかったとどこかで読んだ気が(うろ覚え)。
道長は病弱だったし、頼通を独り立ちさせる一区切りとしては特別おかしなことじゃない。
為時の出家の時は「お疲れ様」って感じだったじゃん。
そもそも定子様の大立ち回り出家や穢の扱いの適当さなど脚本家にはもともとこの時代の宗教観をきちんと描く気ゼロだもんな。
現代人の葬式仏教の感覚なんじゃないの。
だから道長の出家がまひろが去ったゆえの傷心みたいな描き方ができるんだろう。道長の行動はすべてまひろ起点。
そういえばリアル剃髪までして、なぜ髭はそのままだったんだろう?
あれじゃ「外道」(by権記)じゃん。

【剃髪後の道長を三納言(あれ俊賢は?)が訪ねるシーン書き起こし】
音声解説)袖口で頬を抑える行成
公任「泣くな」
行成「出家されて道長様のお心がお楽になるのであればそれでよいと思っておりました。されどお姿を拝見しましたら込み上げてきてしまって…」
斉信「昔も今も行成は道長一筋だからな」
行成「何のお役にも立てませんでした」
道長「何を言うか。お前には随分と助けられた。いくら礼を言っても足らぬ。いろいろとすまなかった」
音声解説)うるうるの止まらない行成
公任「泣くな。俺まで泣けてくるではないか」

はぁ…文字にするとキツい。今日も絶賛ひらがな会話。
行成、卒業式に来た親ですか?
この時、行成くん47歳なんですけど
いつまでこの設定を引っ張んの?
この分だと最終回?行成が長患いの道長を思って泣くシーンもありそうだよな。
なのに自分も同日に頓死ってオチ、悲しすぎる。。


もう最後も近いので気になってたことを。
主にまひろの人だけど、利き手を変えてまで書のシーンに大変なご苦労をされたのはすごいと思う。
でも手元のシーンが大写しされるたび緊張感が走るんだよな。
字の「形」の再現にすごく注力してるのはわかるけど、あれはサラサラ書くからこそ生まれる書体なわけでしょ。
文字の再現より所作(サラサラ)の方に注力した方が平安ぽさは出たよなと。
引きでサラサラ演技して、手元映す時はプロにお任せだって全然よかったと思う。
そこに拘る意味というか、俳優さんに相当なストレスかけてまでやるほどのこと?
見るたび「そんなとこ(とあえて)に拘るならさ…」と思ってた。
どうしても書の場面を入れたいなら能書で有名な行成だけで十分だったのでは?
“中身より外面”、平安時代はあくまで風味っていうこのドラマの特徴がよく表れてる気がする。

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12/7の土スタに行成(役)が出るらしい。
でも公式の番宣ポストの「共に歩んできた藤原道長への思い…」って文言を見て視聴を迷う。
krmt先生が差し入れる前に自ら「権記」を読んでいた(きっと人物叢書も)彼が創作行成をどういう気持ちで演じてきたのかには興味あるけど、俳優さんが本音を言えるはずもない。
道長賛美者としてだけ存在する行成は本編だけでたくさん。
そんな虚構の中の虚構の話・場面を見せられてもなぁ…と思ってしまう。


第46回予告 「刀伊の入寇」
ついに刀伊の入寇!隆家は髭を蓄え“武将”らしく
・次回予告にもたくさんの武士の名前が
・きっと戦国・江戸時代感満載の“いくさ”描写なんだろうな
・一方、何やらオリキャラがうろちょろする模様(すっこんでろ)

おまけ
いろいろびっくり&納得のP氏のインタビュー



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