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「光る君へ」 第32回 誰がために書く

そういえば前回書き忘れたこと。
「いずれの御時にか…」を「御時おおんとき」と読ませてたけど、そんなところ(とあえて)に拘るなら(以下文字数超過)と思ってしまった。
清    少納言って呼び方もそう。


【今日の行成】
今日はいた。でも今回は特になんだかなーな回。
相変わらずの道長褒め要員。
こんなモブが敦康立坊問題の時、主上を説得する重要な役するの無理がない?
敦康といえば、完全にスルーされたけど脩子様の裳着の儀の前にあった主上との正式な御対面の儀。
行成は敦康家別当として尽力したのに儀自体触れられず。
この時の打ち合わせメモが残ってると言うのに!!
「敦康親王初覲しょきん関係文書」

来月廿七日 御対面事

御装束一襲
 赤色御袖一領 蘇芳御下襲一領、 加半臂
 表御袴一腰  御袙一重
 大口一腰
 御本結  御帯  可申左大臣殿、糸鞋
  行事明順朝臣

御膳  為文朝臣 行成
上達部・殿上人饗 行成 為文朝臣
女房衝重卅前 為義朝臣
理髪禄白細長一重・(茜染)袴一具  修政朝臣

  寛弘二年二月十日

きぬと乙丸のうつけシーンとか、実資・公任の正二位、従二位ラップバトルとかに使う時間があったらさ…。

内裏火災の後のシーン。主上に彰子アピールはうざいと言われイラついてたのか、行成にキレ散らかす道長。あ、ここはリアル道長のリアル描写なのでヨシ!
行成はもう蔵人頭じゃないのになんでキレられてんの?
そもそも行成、敦康家別当の立場でなんでそんな弁明をしてんの?
道長がキレるべきは中宮大夫の斉信にでしょうが!

そしてなぜかこの場面に隆家が乱入。そこで行成が
「今、私が左大臣様と話しておったのだ!勝手に入ってくるなぞ無礼であろう!」といつになく声を荒らげていたけど、隆家の方が年齢は若くても官位は上(隆家は権中納言、行成は参議になったけど左大弁)。
隆家のアピールは確かによくわからんけど、あんな口はきかんでしょ。。
そして道長に「下がれ」と言われて「エ…」という顔。
あれは道長様は俺より隆家を取った!?っていうショック顔…?
隆家「あのお人は左大臣様のことがお好きなんですかねw」
道長(目が泳ぐ)
…なんなんだこの展開?なにを見せられてるの…?


さて例によって雑な感想を。

  • 冒頭から燃料投下に余念がないナレ。
    「一条天皇の亡き定子への執着は強く」…執着ときたか。
    ドロドロ恋愛ドラマ脳だとこういう表現しかできなくなるのかね。
    ナレーションで断言されると「解釈」の余地がなくなるんだよ。
    事実と思われちゃうんだよな。

  • 3/27、女一宮脩子内親王裳着の儀。敦康親王の御対面の儀式の後に行われた。小右記によれば「腰結は道長、結髻は女御藤原尊子(あの!)、理髪は橘徳子」だった。
    この後の場面で「伊周の参入は表向きは脩子様の裳着だが実は道長への牽制」ってナレがあるけど、冒頭の「定子様への執着」はどこ行った?
    牽制云々を言うんなら、なおさら冒頭のナレを「敦康の後見人として相応しい立場に戻すため、この頃帝は中関白家の復権に意を注いでいた」(倉本先生御本より)とかにすればよかったのに。
    わざわざ「執着」とか嫌な言葉を使ってまだ傾国の皇后の呪縛が解けてないっていう印象操作がしたいの?

  • 実際は、裳着の儀に先立ち、伊周は寛弘2年2/25の仁王会にんのうえ 「大臣下大納言上 」と座次が定められ、脩子内親王着裳前日(3/26)に昇殿が許されている。
    自分のすぐ上に割り込まれた道綱はカチンと来たに違いない(小右記)。
    つまり裳着の儀のひと月も前に席次は決まってたの!
    伊周の「譲られよ」ってセリフ、なんかヘン。

  • 公卿たちの席次、3年前に権中納言に復任してる隆家が俊賢の左隣にいる。
    権中納言になったのは隆家の方が先だったから本来なら右隣にいるべきだけど、復任だから??
    それに隆家のすぐ左隣が行成っていうのもおかしい。行成はもっと下位。
    たぶん同じ画角に収めたかっただけだろうけど!
    でもわざわざ伊周を割り込ませて序列(席次)の重要さを描いてるのに、それと矛盾してないか?
    この辺を雑に扱うから行成が隆家に暴言吐くような脚本になるんだよな。

  • このシーン、ずっと見たかった束帯の下襲の裾の後ろ姿がやっと見られた!
    できればもっと長く高欄に掛ける感じの絵が見たかったな。

  • 3/29に土御門殿で作文会さくもんかい(ドラマでは漢詩の会)が催され、伊周の詩に参加者皆が感動したらしい(小右記)。
    「花落春帰路」というお題で読んだ伊周の詩は(『本朝麗藻』収録)「儀同三司ぎどうさんし」と署名している。
    三司(=太政大臣・左大臣・右大臣)と同格であるという意味だけど、これ伊周の自称なのがやるせない。

  • 素晴らしい詩だったのにその事実さえ、悪役認定(創作)されたこのドラマではねじ曲げて描かれてしまうんだよなぁ。
    主役に「敵対」する人物がやることは何でも裏があることにされる。
    斉信はそのまま受け取るけど、公任と行成は本心は違うと疑う。
    そして!!
    「大したものだ道長は」「敵を広い心で受け止める器の大きさだ」??
    そこから道長称賛に繋げるか!?(不意打ち)
    ほんとに360度あらゆる角度から漂白剤が飛んで来るんだな!
    公任、小野宮一門のプリンスが主役持ち上げbot化するとは。
    もはや立派な太鼓持ち(行成も)。
    せっかくの初大河でこんな役回りじゃご本人は草葉の陰で泣いてるよ。

  • 主上が道長に「伊周を陣定に復帰させたい」と言う。
    諸卿の説得を渋々了承した道長、退出しようとする主上にまひろの物語のことを尋ねる。
    結構緊迫したやり取りの後のここでそんなこと聞く?

  • 藤壺。敦康、彰子、道長3人でいるところに不意に主上が現れる。
    道長に「物語」の作者を尋ね、まひろと知った主上が「あの女であるか」!?
    だいたい以前会ったのって長徳元(995)年(19話)だよ。10年前!
    まぁ初対面で一席ぶつような珍しい人間として記憶の片隅にはあったかもしれないけど「また会ってみたい」はいくらなんでも。
    この場面は主上にこれを言わせるためだけどさ。
    主上まで主役を持ち上げるモブ扱いにしないでほしい。
    「ただし続きを読んでから」と主上に言われた道長、手応えを感じウッキウキでまたまひろ宅へ向かい、彰子付き女房にならないかと誘う。

  • 自分は「囮か」と言うまひろ。執着、乱心、たぶらかす、いけにえ、そして囮だの、この脚本家は負の印象を与えるボキャブラリーはほんと豊富だな!

  • 倫子になぜまひろを知ってるか聞かれた道長。
    澱みなくスラスラと説明する。きっと頭でロープレ済みだったんだろうなぁw
    倫子がよいなら、と責任転嫁させ『切り抜けた〜』顔。
    「その女子」なんて他人行儀に言ってるけど、実は子供までいるんだよ倫子!

  • 藤壺で前に倫子、道長、赤染衛門の前で彰子に挨拶するまひろ。
    考えたらすごい光景だよなー。まるで妻妾同居ではないか。
    その新入り女房は中宮様の異母妹産んでますよー!
    でも道長もだけど、まひろも自分は宣孝の女問題であんなにキレたのに倫子への後ろめたさとか全然描かれないよな。まひろの方が先だからセーフなの?

  • 伊周を「朝議に参預させるように」との宣旨が出されたのは裳着や作文会の約8ヵ月後、11/13の敦康読書始めの後で、実資は小右記で憤慨してるけど、道長が渋ったという記録はなし。
    別の作文会や内裏にも参入してたし、道長も伊周の復権には協力してたのにこのドラマの道長は「ぐぬぬ…」顔になるわけだ。

  • それはそうとなんで敦康の読書始めスルーなの?
    主上がこっそり渡御して見守るシーン見たかった。

  • 11/15皆既月食が終わった時刻、内裏が火事に。
    またも本能寺並みに燃えてたな〜。
    主上が駆け付けてたけど(敦康の安否のため)、実際はその時主上は藤壺(飛香舎)で彰子と一緒にいた。
    自ら彰子の手を取りドラマチックに避難。途中スローになって、転ぶ(お約束)彰子を気遣う主上の声にエコー…恋愛ドラマ定番の「危機が仲を一歩進める」ってやつ?

  • 居貞親王の居室で報告する道長。なぜこのドラマの東宮はああも好戦的なの?
    あなたの物言い、あとで全部自分に返ってきますよ?
    ラストの東宮のあのお顔はなんなの、笑うとこ?
    どうも演出の意図がわからん(※今日の演出は明子呪詛・咆哮、石山寺キラキラエフェクトの黛さん)。


【今日のソウルメイト】
道長はまたもまひろ宅を訪ねる。道長が読んでる横でサクサク量産体制まひろ。
よく人がいる横で書けるよな〜と思いつつブレイクタイムだなと画面を離れたら聞こえて来たよ!キモい心の声がー!!
「俺がほれた女はこう言う女だったのか…」ゲゲゲゲ。
もーーー今日イチ、いや過去イチキモい発言なんですけど!
いちいち言葉のチョイスがキモい。
あれば落胆なの?それとも「ほれ」直し?(どっちでもキモい)


先週のほぼ全編ソウルメイト回だけど、感想ポストやnote、絶賛してるものが多かった印象。
誰か⚫︎ ⚫︎(←自分)みたいに「実際は〜」とか「ここでこれはおかしい」とかいう“邪念”(とあえて)がなくてほんとに楽しそうなんだよな。
ドラマだけを見てそこに描かれてる人間関係に集中できればそうなれるのか?
来週が待ち遠しいとか、録画を何度も見るとか、自分もそういう風に見たかった。
これは皮肉でも何でもなく、本心から。
自分も初回放送日まではそうなるもんだと思ってた。
いや、兼家時代まではまだ(辛うじて)そうだったかもしれない。
でも今は(以下1万字略)

主上(役)がついにクランクアップされた由(ということは.…)。
また一つ視聴動機が消えるのか。でも思ったより長かった?
こりゃやっぱり道長の死までやらないor途中かなり飛ぶ感じだな?
行成は道長が生存の限り出番があるかもしれないけど、現状のモブ&道長♡設定を見るのはだんだん辛くなってきた。

ガイドブック完結編(10/4発売予定)で最終話までのあらすじを読んでしまったら(読む前提)見る気がかなり失せてしまいそうな気がする。。
そうそう、今のガイド本(後編)収録が35話(9/15)までなので、完結編発売までまた36、37話(9/22、29)の2週開く(たぶん敦成誕生という大事件の頃)。
後編もそうだったけど、これってなんか意図あるの?

第33回 「式部誕生」
・興福寺別当定澄、強訴?
・いよいよまひろ出仕、寝坊?いびられる?
・まひろ、主上とご対面…
・命名「藤式部」!

ソウルメイトだけのシーンなら心をミュートすれば被害は最小限に抑えられたけど、朝廷では主上との場面が多くなるのがキツい。
主上の方から会いたがる(!)というのがまた。。


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