御匣殿騒動 その二 続・行成と繁子のバトル
ここからの展開は下玉利 百合子先生に解説していただこう。
(少し長いけど)
なんですかこのコント? 大河「行成の1日」のひとコマにどうでしょうw
まず、繁子が「ひそかに」行成が来るのを暗戸屋で構えている絵がもう可笑しい。
きっと得意満面で女装束も被けるばかりに手に取って、今か今かと外の足音に耳を澄ませていただろう。
でもさすがは行成、その気配を察知してUターン。
と、普通ならここで諦めるところだが、繁子はそんなタマ(?)じゃない。
侍女に持たせて行成の小舎人童の苔雄丸に渡そうとするが、これまたさすが(2回目)行成の従者だけあって、受け取り拒否。
侍女はすごすごと暗戸屋へ引き下がる。
行成は夕刻から顕光邸を訪れている。そこに妻から文が届く。
さすが(3回目)は行成の妻だ。
「何か変な人がズカズカ入って来て、止めるのも聞かず東の欄干に装束をかけて逃げて行ってしまいました。どうしましょう?」
妻は昼間の出来事を知っていたんだろうか。
行成は顕光邸に行く前にいったん帰宅して着替えた際に妻に「今日こんなことがあってさ〜」などと話したんだろうか。
それとも、妻は何も知らなかったけど(行成は「温樹を語らず」の人だから)、何やらややこしいことが起こっていると察知し、即、行成の元に急報したんだろうか。
いずれにしても、帰ってから話すのではなく、出先に書状を送るというのがいかにも機転が利く賢い妻という感じ。
そりゃ行成も妻自慢したくなるわけだ(再掲)。
さて、書状の内容を見て誰の仕業かすぐわかった行成は、繁子に叩き返すべく女装束を説孝の車に押し込んだ。行成に恩がある説孝はこの件を任せる(押し付ける?)のにちょうどいい人物だったんだろう。
さすがの繁子も3回目にしてやっと諦めた模様。
が、転んでもタダでは起きない繁子は、何とか自分の行いを正当化しようと詮子と道長に「行成には人情がない」と訴えたらしい。「人がせっかく…あげるというものを素直に貰っておけばいいものを」って感じか。
叔母の文句を二人の姉弟はどういう顔で聞いていたんだろう。
特に道長は「…まぁまぁ。行成もあれで結構頑固なところがありますからね。叔母上お気になさらず」などとなだめつつも、こうも思ったかもしれない。
「行成、またかよ…」
行成は行成でこの日の日記を「馬鹿げきった話だ」と、いつになく強い表現で結んでいる。
それにしても、繁子のしつこさも異常だけど、行成の拒否ぶりもまた頑なな気がしないでもない。
行成はなぜ繁子からの纏頭をあそこまで拒否したのか?
なぜ道長は「またかよ…?」と思った(かもしれない)のか?
次回はそのヒントとなる出来事を見てみよう。
続きます。
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