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「光る君へ」 第44回 望月の夜

>扉絵
お、望遠鏡?ずいぶん高性能っぽいやつ!
…あー。先端についてるのレンズじゃないみたいだけど…まぁいいか!

*・*・*・*・*・*・*・*・*

いや〜!駆け足っぷりもすごかったけど、なんといっても今日の目玉は
演出 黛りんたろう
予想はしてたけど、その斜め上を行ったな。

まずは本編行く前にスルーされた主な出来事から。

【スルーされた出来事】(+隙あらば行成)

  • 長和4年
     資平蔵人頭に(前回反故にされた)

  • 長和5年
     隆家同母弟 隆円入滅。36歳(2月4日)
     敦康親王に王女嫄子誕生(7月19日)
     土御門殿焼亡(7月21日)

  • 寛仁元年(長和6年4月23日改元)
     道雅、前伊勢斎宮当子内親王に密通
     太皇太后藤原遵子(公任姉)薨去(6月1日)
     再建なった土御門殿へ移徙いし(6月)
     行成、敦良東宮立坊の儀で宣命使を勤める(8月9日)
     行成「不食ふじきを悩み煩う」(小右記11月13日条)
     東宮を辞した敦明親王と藤原寛子結婚(11月22日)

  • 寛仁2年
     行成女、道長男長家と結婚(3月13日)


さて見ていこう。

主上、頼通にやす子内親王の降嫁を持ちかける

頼通が平安時代とは思えぬセリフを。
「隆姫を連れて都を出ます。藤原も、左大臣の嫡男であることも捨て二人きりで生きてまいります」
どこかで聞いたなこれ。
昭和のメロドラマじゃあるまいし平安貴族の嫡男がそんな御伽話言うか?
…もしや脚本家の「無茶なことをする」表現ストックはこれしかないのかも。

こんな時代にそぐわない陳腐なセリフ言わせるなら、平安らしく「悩んで寝込み枕元に怨霊が現れた」っていう栄花物語の再現でよかったじゃん。
栄花物語では隆姫父の具平親王だけど、今日は小右記から伊周説を採った模様。
呪詛といえば伊周!
でも小右記とは違い、道長が及び腰の頼通を叱咤・無理強いしたのはなかったことにされ、伊周の怨霊による病というを流したことに改変されてた。
隆姫父の具平親王出現はわかるけど、伊周は何で?
道長一家を苦しめるためならいつでもどこでも出てきたのかな。

そういえばガイド本ではしめす偏がころも偏になっててそれを「やす」と読ませてたけどそんな漢字はないし、前話のあらすじでも禎子内親王誕生が「長和3(1014)年」(正しくは長和2年)になってた。校正してんの?

道長、頼通の婚儀拒否を彰子に相談

まずこのスリーショットは何なんだ。
ここにまひろがいる不自然さよ。
彰子も入内したばかりの小娘でもあるまいし「名ばかりの妻」だの「女子の心」だのなんか甘っちょろいこと言ってんな。
妍子はこれまたこのドラマの定番描写「荒れる=酒浸り・浪費」
禎子内親王が生まれてもまだこの設定やってんのかい。

で!道長はまひろにお前はどう思うか?と聞く。てか聞くな。
「左大臣様のように倫子様も明子様も等しくいつくしむお方はそうはおられぬと存じます」
これ、ものすごく不敬かつ嫌味かつ上から発言じゃない??
彰子の立場からしたら、左大臣(父)の個人生活についてなぞ「お前が言うな」だし「なんでお前がそんなこと知ってる?」な話。
また見てる我々からすれば「どこが等しくよ?」だし、道長が常に気にかけてるのは自分だと十分知ってるくせによくもぬけぬけと!なんだよな。
彰子も道長も特に驚いたり怒ったりする描写なかったけど。
「この婚儀は誰も幸せにしないから断れ」って、なんで愛だの幸せだのの話にするんだ?
権力者にとって子孫を残すことが最重要なのを一番わかってるのは彰子でしょ。
歴史ドラマが感情、お気持ちに走り出すと途端に薄っぺらくなるんだよな。

道長、公任に詰められる

公任、道長に直談判する。
「陣定で皆の意見を聞きたい。それがなければ政はできない。
道長の中では筋が通った考え方なのだろう。
だがはたから見れば欲張り過ぎだ。
内裏の平安を思うなら左大臣をやめろ」

…なんか幼稚な言い回しでひらがなで聞こえる
筋もなにも単に権力掌握のため。
摂政はより権力が強いとはいえ、これまでだってほとんど独裁を通してきたわけだし、今さら権力集中だの欲張りだの言われましても。

前も書いたけど、学園ドラマじゃないんだからいくら幼少期から見知った相手とはいえ時の権力の頂点にいる相手に向かって、臣下がそんな口調もしないしそんなことは言わない。
そのくせ道長と彰子・妍子・威子の間はとってつけたような敬語なのが謎。

そして道長の心の声。
「何度もさきの帝に譲位を促したが、今度は俺がやめろと言われる番なのか…」
これもひらがなだな。
「え、そんな風に思われてたなんて…」とかナイーブな神経してたら独裁者やってられんて。幼稚。
辞めたところで「大殿」として影響キープだし。
摂政左大臣兼務より、周りが一番ムカついてたのは自分の子供達をあからさまに出世させたことだと思うけど。

傷心?の道長、まひろに会いに行く。
真っ昼間、御簾オープン!
「摂政と左大臣を辞そうと思う」
そんな国家機密を丸見えの縁でペラペラ。
公任に言われたらすぐ辞めるこの道長はほんと主体性ゼロ。

そして、今日もきました!
「何かうまいこと言ってる風だけど意味がわからないセリフ」コーナー!!

道「摂政まで上っても俺がやっておっては世の中は何も変わらぬ」
ま「頼通様にあなたの思いは伝わっておりますの?」
道「俺の思い?」
ま「民を思いやるお心にございます」
道「ああ…どうだろう。俺の思いを伝えたところで何の意味があろう」
(中略)
ま「道長様のお気持ちがすぐに頼通様に伝わらなくてもいずれ気付かれるやもしれませぬ。そして次の代、その次の代と一人でなせなかったことも時を経ればなせるやもしれません。私はそれを念じております」
道「そうか…ならばお前だけは念じていてくれ」

う〜ん。…何言ってんの?
今日も相変わらず煙に巻くようなセリフ。
この「思い」っていうふわっとしたやつがほんと嫌い。
終わりが近いからかこのところ思い出したように初期設定の「民」出してくるな。
倫子の「思い」すら考えてないキミらが「民ガー」なんて笑止千万。

ここ「あれ?公任は左大臣辞めろと言っただけでは?摂政も辞めたら無職…?」と思った視聴者いるのでは?
ドラマでは端折られてたけど、摂政と左大臣を同時に辞めたわけじゃない。
そして摂政辞任後、後一条天皇元服(寛仁2年1月)の加冠役のため短期間太政大臣になっている。
時系列は以下の通り。

・長和4年 准摂政兼左大臣
・長和5年 摂政兼左大臣。6月准三宮(倫子も)。12月左大臣辞任
・長和6年 3月摂政辞任、従一位に
・寛仁元年 12月太政大臣
・寛仁2年 2月太政大臣辞任

ちなみに倫子が去った後のまひろの顔(音声解説:眉がぴくりと跳ねる)、あれ、閃いちゃったんだよね?
ハイハイ「栄花物語」執筆を赤染衛門に勧めたのもまひろです。。

三条天皇譲位・崩御、敦明東宮辞意

寛仁元年4月29日三条院崩御。あっさりし過ぎ。
ナレ譲位、ナレ崩御。周りには娍子と敦明だけ。
あの有名な詠もなし。
心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな
譲位直後の娍子に膝枕される場面でなぜ詠まない?

敦明の東宮辞退(寛仁2年8月)もナレ。
ナレ)後ろ盾を失った敦明親王は自ら申し出て東宮の地位を降りた
最終的には「自ら」かもしれないけど、壺切の剣を与えなかったりした道長の圧力はなかったことにするの?
小一条院(准太上天皇として処遇)になったのも寛子との婚姻もスルー?
もしかしたら敦明も延子ももう出ない?顕光の怨霊化もなし!?

望月の詠

まず頼通が威子に後一条天皇への入内を頼む場面。
歳の差を気にして嫌がる威子に言う母倫子のセリフがキモい。
「帝が一人前になられるのを待って最初の女子となり帝のお心をしかとつかむのです」
…いかにも脚本家らしいセリフだ。ブレない。

寛仁2年10月16日。威子が中宮立后し一家三后が叶った日。
その本宮の儀の宴席の場面。
※実際は、公任と行成は四条宮(太皇太后藤原遵子)喪中のため参加していない(公任:太皇太后宮大夫、行成:権大夫)。

頼通と教通の舞を眺める公卿、女房。そこに遅参するまひろ。
道長と視線を合わせる(さっさと座れ!)。
その後も衆人環視の中で熱視線(キモ…)。
道長が実資に目配せし、頼通に盃勧め、それが公卿間を渡る。
そこで道長がおもむろに立ち上がる…!(唐突感)
え、全然酔ってる風じゃないんだな。
酔っ払って調子こいてでかいこと詠んだイメージ(雑)だったんだが。
来るぞ来るぞ…(ドラムロール)

「この世 を ば…」…????

…えぇぇ?そういうの!?…抑揚がなんかちょっと、その、、、。
…学芸会っぽくてムズムズぞわぞわ…いたたまれなかったわ。
コレジャナイ感が。
もう手の甲つねりながら見たよね。。
この記事書くために見直したけど…無理。消音。。。

で、それを眺めるまひろがなぜかうるうる。
ソウルメイトの晴れ姿にジーンと来て?別れを決意?
詠の解釈はいろいろあるみたいだけど(このドラマ独自のも含む)、少なくとも民を第一に思う人間の詠ではないよな。
そこは特に不問と。

そして、そして、来たーーー!!
演出黛さんお得意のキラキラエフェクト&サウンド!
まず荒屋のカット。見上げた視点ってのが意味深?
なぜかキラキラが降り注ぐ中、まひろを振り返りニヤリ顔の道長(うわぁ)。
サムズアップしそうな顔!
…これ笑うとこだよね?
音声解説)月光の中にまひろを振り返る道長
     二人の目が合う
     道長の頬が緩む

…いったい何を見せられているの。。

一家三后の「望月」がまさかあんな演出にされるとは。
トンデモ大河認定へまた一歩前進。。
ひとしきり笑った後、にしても演出家のカラーが出すぎるのって脚本家にとってはどうなんだろ?と真顔に(今回の大河に限らずだが)。
たぶん今日のはクレジットがなくても「あの人だ」と気づいた。
演出家によってその回のトーンが変わるのは微妙だよな。
内容の整合性(のなさ)も一部は日替わり演出家制の影響なんだろうか。


第45回予告 「はばたき」
・ガイド本では四納言が「望月の歌」の意味をあれこれ解釈する場面あり(映像化されるかは不明)。今日は解釈どころじゃなかったもんねw
・まひろ、長年の夢(初耳!)であった旅に出る
やっぱり×100億!知ってた!!…例の宋人再登場
 →公式サイトに普通に写真出してたのには驚き(予告動画にも登場)

(ガイド本パラパラ)…次回、確実に荒れる予感。。


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