見出し画像

「光る君へ」 第41回 揺らぎ

>扉絵
・BS早見時、再び跳躍系のエクササイズでひと汗かきました。
・その汗も乾く間もなく本放送を見ねばならず暗い顔。
(選挙特番による放送時間繰り上がりのため)

*・*・*・*・*・*・*・*・*

今回もまた下世話、低俗な場面が多し。
正直、主上崩御で今回からはイラつきのタネがひとつ減って少しはマシな状態で見られると思ってたんだけど、即時別の燃料が投下されて火力は衰えずに済んだ(?)。
やはり放送終了まで鎮火は無理かもしれん。
よくもまぁ次から次へと。。

さて。燃料の皆さんを見ていこう。


賢子

「私は怒ることが嫌いなの」
…ハイハイ、道長のDNA、DNA。
「子」に全く同じセリフを言わせて「血」の濃さを表現、って安直すぎでしょ。
そんなのより道長(役)にそっくりな俳優さんをキャスティングした方がいかにもこのドラマらしいわかりやすさで良かったんじゃない。
それに賢子、つい数回前まではまひろにめちゃくちゃ怒ってなかったっけ?
前回一度会っただけなのに、双寿丸とやたら親しげ・いきなりのタメ口。
母親が皇后に仕える女房で祖父は国司。ガバガバ身分設定にも程がある。
このまひろ宅でのシーン、合わせて10分近くも尺取ってたけど、意味あるの?
まひろが賢子ー双寿丸に自分と三郎を重ねて見てるってのを描きたかっただけ?

道長

  • 対 公任
    三条天皇が内裏遷御の儀を任されるも一旦辞退。その後道長と密談する。
    「帝は俺を自分の側に取り込んで我らの結束を乱そうとしておられるのではないか?」
    我らの結束…前回結成した応援団ね。学園ドラマか?
    道長は「ならば振り回されぬようにやってまいろう」と答える。
    あくまでも加害者は三条で道長&フレンズは被害者。
    この構造は、あとのシーンで三条が自分の側近として教通を選んだ時にも表れる。
    なぜ自分でなく教通が?と訝しがる頼通に向かって道長「帝に取り込まれなかったことをむしろ喜べ」
    取り込まれる
    …これまた悪意ある表現だよな。そしてやっぱり自分らは被害者。

  • 対 まひろ
    相変わらずフラっとまひろ局に現れる。まひろに敦成を東宮に立てたのはなぜかと問われ「お前との約束を果たすためだ」
    出た!まひろの望む世のため!
    そんな取ってつけた様な詭弁誰が信じる?
    あれでも肯定的な視聴者は「何年経っても約束を忘れてない!」とか喜ぶの?
    次期東宮選定という国家の一大事を「お前との約束を果たすため」なんて言われてまひろ嬉しいんだろうか?道長さんステキー!になるの??
    自分なら「アホかこの男は?」と思うけどな。
    彰子入内は「主上を正気にさせるため」、敦康立坊阻止は「まひろのため」、相変わらずこの期に及んでも道長(46歳)は私利私欲なく「世の為、人(まひろ限定)の為」の人らしい。

  • 対 敦康、対 行成
    敦康については後で書くけど、行成から敦康が御簾の中に入ったと知らされ「二度と内裏に上がれぬようにいたせ。万が一のことがあっては一大事だ」
    はぁ!?ソウルメイト作の物語に毒されすぎでしょ。
    「万が一のこと」なんて起るか!
    なんでもそっち方面に持っていくよねこの脚本家。ほんとお好きねー。
    ここで珍しく行成が反論。
    「恐れながら左大臣様は敦康様から多くのことを奪い過ぎでございます。敦康様がお気の毒でございます。左大臣様がおかしくおわします」
    前回、主上に敦成立坊を進言する場面の前後、もっと行成の葛藤を描いてたらこの行成のセリフにも納得するんだけど、ちょっとね…。
    道長に感謝されて喜んでたじゃん。
    もちろんリアル行成の葛藤や現実との折り合い、その後の後悔と忠誠などには理解も同情も(多少の憤りも)するけど、このドラマの浅い行成だけを見てる人にそこまでは届かないんじゃないかな。

ききょう

ガイド本にも、公式あらすじにも「まひろ発案の和歌の会」とあったのに本編ではスルー。
御簾の中の彰子だけが鈍色の装束で、外の女房や頼通たちは華やかな普通の服装。
彰子と二人だけのシーンではまひろがまた鈍色になってたので予算問題か?
でもそもそも主人(彰子)が服喪中なのにイベントしたり仕える側が普通の服装だったりなのは(ききょうに怒りのスイッチを入れさせるための演出にしても)無理ない?

そこへ喪服姿のききょうがアポなしで登場。
一応敦康の使いでつばき餅を献上するというテイだけど、彰子や周囲に怒りと嫌味をブチまけ退場。
憤ったまひろはその夜、おもむろにききょうの悪口を書きつける。。。
「清少納言は得意げな顔をしたひどい方になってしまった」
は?
あの場面を「得意げな顔をした」っておかしくない?
それ漢文使いに対しての悪口でしょ?
これまでのまひろの描き方では原文悪口の忠実な再現は難しいから「悪口を書かざるを得ない状況=ききょう下げ(一石二鳥)」を創って原文をそれに合わせて改変。
でも「得意げ」は漢文の話があってこそなのでピントがズレた悪口になってるし、そもそも無理やり創った場面なのにたった一行(一言)。
状況創作するなら原文のアレンジじゃなく悪口も創作すればよかったじゃん。
「中宮様に失礼だ」とか「あんな人じゃなかったのに」とかいくらでもある。

それにしてもあの弁護しようがない悪口まで「そうさせたききょうが悪い」って方に持っていくパワフル漂白脚本すごい。
実際、美術展ナビさん@art_ex_japanのポストでこうだもんな。

まひろに「日記」を書かせたききょうの怒りでした。”
(ちょっと文おかしいけど)
書かせた⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎、ときたか。
もう清少納言は出さないでいいよ。
道長家の満月ぶりだけを描けばいいじゃん。まだ中関白家下げが必要なの?
こういうしつこさもこの脚本の嫌なところなんだよな。
(でも予告では来週も出る模様…)

それはそうと和泉式部が頼通に秋波を送る様子を何度も入れてくるのはなんなの?
恐妻で有名な?隆姫との昼ドラ修羅場でもやるつもりか(やりかねん……)。

敦康

彰子の社交辞令を真に受け、敦康家別当の行成を引き連れ藤壺を訪れる敦康。
御簾越しの会話中「中宮様…お顔が見えませぬ。せっかく参りましたのにお顔が見えねばつまりませぬ」と言い放ち、突如御簾の中に入り込む。。。
平安人がそんなこと言うか??
御簾の「制限性」を都合よく利用しようとしても、まったく整合性が取れてないんで「それがいかに大胆な行為か」が全然実感できない。
前回、主上と普通に同じ空間にいたじゃん。
もー、いかにも敦康が源氏物語のヒントになってると言わんばかりの捏造演出、いい加減にしてくれ。
あの公任が「帥宮そちのみやの才智、はなはあきらかにして、尤も感歎に足る、感歎に足る」と言った皇后腹の第一皇子をそういう面はいっさい描かず、ただただ継母を慕う幸薄い皇子でさらにちょっと気持ち悪い演出までされて本当に気の毒。

妍子

敦康と並ぶ今回の被害者だな。
義理の息子にあたる敦明と対面中、御簾から飛び出し「好き!」と迫る。。
そこに娍子が現れ、大声でふたりを制する。
まぁ娍子は大人なので敦明を叱責した形にしたけども。
…なんなのこれ?何を見せられてるの?
男が浮気相手の女を引っ張り込んで帰宅した妻と鉢合わせしたみたいじゃん。
この場合、女は夫の新しい若い妻、男は息子だけど。
まったくどこまで下品にすれば気が済むのか。
あの手この手のお下劣描写パターンの豊富さには感心するわ。

前にも書いたけど妍子を彰子と対比させるために「派手好き」「軽薄」と描くとしても、こんな色ボケ方面で描くなんて普通思いつかないよな。
そんな必要もないし。ただただこういうのが好きなんだろうな。
後三条天皇の祖母をこんなに悪様に描くのは摂関政治を終わらせた恨みを道長に変わって晴らしてるつもり??

顕信、明子

三条が娍子の弟、蔵人頭通任を参議に昇進させ、空いたそこに明子腹の顕信を入れようと申し出るが道長は辞退。顕信はこれに不満を持ち出家。
彰子が枇杷殿に移り、その後の藤壺に妍子が入ったとナレがあったけど、長和元年正月(前年寛弘8年12月改元)に妍子は立后し中宮となったその同じ時期のことらしい(今日立后シーンはなかった)。
出家した日は月蝕だったけど、月がよく出てくる割にこの描写なし。
人事に不満で出家は事実だけど、顕信の「私はいなくてもよい息子なのでございますね」とか明子の「あなたが顕信を殺したのよ!」とか、幼稚で大袈裟だよな。

顕信の昇進を断った理由が「天皇に借りを作りたくないから」じゃ倫子腹の兄弟と自分たちの出世スピードの差の説明にならんよな。
実際は小右記によれば素行問題も関係してるらしい。
それにしても、このドラマでは明子はことあるごとに倫子腹の子供と自分の子の扱いの差を訴えてて子供達の対抗意識もちらほら描いてるのに、なぜその筆頭(?)の能信を出さず、あっさり出家した顕信なんだろう?
道長の「満月」を最終的に破壊したのは一段低い扱いをされてた明子腹の能信だったなんて最終回のいいオチなのに。
…あっ、逆に「だから」か?漂白道長に強烈な皮肉になるもんね。。。
妍子を悪く描くのと根は同じか。


結局、一条院の葬送いっさいやらなかったな。
道長がド忘れして主上をうっかり火葬にした、なんてやるわけないか。
さらには10月16日の三条天皇即位式もスルー。行成が得意の宣命使やったのに!
葬送や即位式は一応「大河」を名乗ってる以上はちゃんと描くべきじゃないの?
昼ドラ未満の義理の息子に迫るシーンだの、賢子と直秀二世のなんだかわからないまひろ邸でのドタバタだのやる暇あるなら。

そういえば「権記」はまとまって残っているのがこの寛弘8年の12/29追儺の記事で最後なんだよな。あとはちょこちょこ逸文が残ってるだけ。
だからこの先は自分にまずいことは省くテキトーな御堂〜か、ちょっと癖の強い小右記からしか史実を辿れない(日記=史実とはいえないけど)。
どこかの蔵でひっそりと眠ってないだろうか。

この感想記事も41回目。残すところあと7回か!
11月も目の前だもんなぁ。
週イチ実写「平安」とももうすぐお別れか〜。
毎週のルーティンがあった今年は例年以上に早く過ぎた。
終盤の今の心境、19話終了時点(5月)の記事のままなんだよな。。。
(まだ今後に希望を持ってるところ以外)
…え。てことは、その後の22話(約5カ月間)見たのは無駄だった…!?怖!!


第42回予告 「川辺の誓い」
最初予告を見た時は死にかけた道長が三途の川を対岸でまひろに会うからこのタイトルかと思ったんだけど、ガイド本によればなんとまひろが道長が伏せっている宇治の別業を訪ね、リアル川辺で語らうらしい!ありえねー。

・娍子立后日に妍子内裏参入の儀ぶつける
・道長病悩を喜ぶ5人の話
・実資、幼女にデレデレ。あれは紛う方なき千古!
 
千古を出す関係上、その母の召人も登場らしい
 ※そういや、道長の召人はキャスティングだけで終わりそうだな




いいなと思ったら応援しよう!