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大河ドラマ「光る君へ」を振り返る

48話完走記事投稿の締めとして備忘録的に振り返り・まとめをしておこう。


下は全48話の設定年、主な出来事をまとめた一覧表。
(第30回記事に載せた表の完成版)

↓ スマホには下記PDF、画像拡大とも小さすぎですが、とりあえず両方貼りました(同じものです)。どちらか少しでも見やすい方を🙏

いろいろありました

【箇条書きまとめ】

◆期待したが描かれなかった

  • 伊尹流の面々の交流(花山、義懐、行成)

  • 実方

  • 義懐と惟成の連れ出家

  • 中関白家の明るく華やかな全盛期

  • 一条天皇と猫の命婦のおとど

  • 一条天皇と御匣殿

  • 行成と俊賢の仏法の霊験

  • 行成と清少納言

  • 行成と繁子のバトル

  • 敦康親王読書始めの様子をこっそり見守る一条天皇

  • 実資と隆家、お隣さんとしての交流

  • 敦成の百日の儀

  • 実資専任取次役としての紫式部

◆ありえないあれこれ

  • 道兼の殺人(1話

  • 公任、イケメンで遊び人(俳優に寄せすぎ)

  • 義懐の佞臣描写・酒盛り・独裁

  • 円融天皇の描き方

  • 直秀一行7人をソウルメイト二人素手で埋葬(9話

  • 行成、道長♡設定

  • 夜中の廃屋での逢瀬(数回)

  • 「まひろの望む世を目指す」(11話

  • 皇子を産め~(道隆&伊周)

  • 伊周が定子様を「素腹の中宮」と言う(18話

  • 武士ドラマのような言葉遣い(うつけもの、執着至極など)

  • 「女子たちと密なつながりを持っている」行成(by公任)(19話

  • 廊下に鋲(19話

  • 詮子の描き方(俗っぽいセリフ連発、呪詛自演)(20話

  • 定子様髪を下ろす場面の大立ち回り(20話

  • ききょう・まひろの変装+木の枝(20話

  • まひろがききょうに書くことを勧める(21話

  • 二条北宮、本能寺ばりに燃える(21話

  • 道長・倫子発案で土御門殿に主上を招き元子と引き合わせる(23話

  • いけにえ(26話

  • 石山寺で受胎(27話

  • 「一帝二后」は晴明の発案(27話

  • 定子様崩御時の遺詠『煙とも雲ともならぬ…』なし(28話

  • 詮子、敦康を人質に例える(29話

  • 伊周9年間に渡る呪詛開始(29話

  • まひろ、「物語」が降りてくる(31話

  • 主上自らまひろ局を訪ねる(33話)※初回

  • 再訪した主上に「書いているうちに私は帝のお悲しみを肌で感じるようになりました 」(34話

  • 「源氏の物語」製本作業中、まひろが行成に清書を依頼(37話

  • 敦康、彰子を過度に慕う(39話

  • 主上御遺体を道長うっかり火葬事件スルー(40話

  • 道長の誤字「萌給」が「崩給」に捏造修正(40話

  • 紫式部日記の清少納言の悪口改変(「清少納言は得意げな顔をしたひどい方になってしまった」)(41話

  • 妍子、敦明に迫る(41話

  • 一条院葬送、三条天皇即位式スルー(41話

  • ソウルメイトの宇治ランデブー(42話

  • 三条院辞世の詠『心にもあらで…』スルー(44話

  • 「この世をば」の唱和(44話

  • まひろ、須磨の浜辺を激走(45話

  • 道長「外道スタイル」によるファッション出家(46話

  • まひろ・周明2人一緒のシーンが25分間も(46話

  • 実資「もはや前例にこだわっておっては政はできぬと存じました」(47話

  • 公任、嫉妬で道長に暴言(47話

  • 絶叫乙丸(47話

  • 頼宗を押し倒す賢子(48話

◆キモいセリフ

  • 「俺がほれた女はこう言う女だったのか…」(32話

  • 「私ではなくて中宮さまに会いにいらしてください」(34話

  • 「殿御は皆かわいいものでございます」(34話

  • 「お慕いしておりますッッ!!」(35話

  • 「瑕とは大切な宝なのでございますよ」(36話

  • 「俺のそばにいろ」「そういうことだ」(43話

  • 「帝が一人前になられるのを待って最初の女子となり帝のお心をしかとつかむのです」(44話

  • 「これ以上手に入らぬお方のそばにいる意味は何なのでございましょう」(45話

  • 「帰りたい帰りたい帰りたい(中略)帰りたーーーーーーい」(47話

  • 「道長様…嵐が来るわ」(48話

◆怒髪天ナレーション

  • 「たった一人の悲しき中宮のために『枕草子』は書き始められた」(21話

  • 「この日から一条天皇は政務もなおざりで連日、中宮のもとに通い続けた」(24話

  • 「一条天皇はこの正月、事もあろうに中宮を秘密裏に内裏に呼び寄せた」(26話

  • 「一条天皇の亡き定子への執着は強く」(32話

  • 「後ろ盾を失った敦明親王は自ら申し出て東宮の地位を降りた」(44話

  • 「道長によって奪われ尽くした生涯だった」(45話

◆わざわざ出してあれ?

  • 婉子女王

  • 大納言の君

  • 元子

  • 道雅

  • 千古

◆あれはなんだったの

  • 北の方、妾問題

  • 私財を投入した救い小屋

  • 敦康、彰子に会えなくなるから元服、御簾ヤダ

  • 御簾、穢

  • 「まひろの存在に鬱屈が溜まっていく」明子の設定

  • 直秀、周明、双寿丸

◆まとめ

  • 配役は素晴らしい。一条天皇、兼家、三条天皇が特によかった。
    “推し”行成は当初はイメージとは違ったけど結果よし。
    公任、道綱は人物造形を俳優さんによせ過ぎた感があった。
    主役二人には最後まで好印象を持てないまま(設定のせい?)。

  • 制作陣の「平安時代」軽視設定、発言が目立つ。

  • セットなどの素晴らしさが返って中身の薄い「ガワ」(表面)だけのドラマの印象を強調する結果に。

  • これだけの時間と人員を動員して出来上がったのは「たまたま舞台を平安時代にしただけの架空の恋愛ドラマ」。

  • にしてはそのメインストーリーさえ整合性・必然性に乏しく、納得のいく展開には程遠かった。

  • 前半で道長が道隆の政を批判(「身贔屓」「公金の私的利用」)するが後年の道長がそれ以上の独裁をすることへの辻褄合わせなし。

  • さすがに賢子を「道長の子」とするのは創作の域を逸脱しすぎ。やるならフィクションだと明記すべき。

  • 過剰な漂白により全く魅力のない薄っぺらな道長像になった。

  • 敵対側とした人物のサゲ描写(義懐、伊周)。
    実子でも彰子との対比を意図してか妍子をサゲ描写(酒、浪費)。

  • とりあえず登場はさせるもののそれぞれの家族、生活についてほとんど描かず。ほとんどが血縁・婚姻同士という複雑な人間関係を省略することで政争の駆け引き、面白さが全く描かれず。
    主役である道長の子供の描き方すら雑。ナレ死多い。

  • 登場人物数だけは多いが、群像劇ドラマになってない。なので主人公と周辺の友好、敵対などの人間関係が好き、嫌いの幼稚な二極でしか描かれてない。道長賛美の応援団とそれ以外という描き方。

  • 歴史的に重要な出来事のスルー&未消化が目立つ。
    スルーしないまでも史実で十分面白い出来事が改変・漂白によりつまらないものに。

  • ストーリー上その存在意義、必然性が感じられない(そして後の回収もとくにない)オリキャラパートに尺を使う意味。

  • 求む「このドラマは歴史を舞台にしたフィクションです」テロップ。

  • 「まひろの望む世」は結局?


【インタビュー記事について】

◆放送前のインタビュー

最終回以降、雨後の筍のごとくいろんな記事が出てる。
提灯記事は見出しだけでお腹いっぱい、脚本家センセイのインタビューは強火(業火?)すぎてこちらのダメージ大。
なので、もうほとんど読んでいない。
また、最近のインタビュー記事はSNSでの批判意見に対する後付けの強弁にも聞こえてしまう(表立っては好反応にしか触れないけど)。
そこでエクスキューズのない放映前はどう語っていたのか。

NHKラジオ【もっと、光る君へ】(放送日:2023/12/30より)から内田P氏が平安大河に決まった経緯を語っているところ。

『光る君へ』の主人公・紫式部は、『おんな城主 直虎』から7年ぶりの女性主役となります。女性を主役にしたいという時に、私とチーフ演出の中島由貴との間で、自分で物事を成した女性を描けないかということになりまして、いろいろ候補はあったんですが、そのなかで1000年を超えるベストセラーを書いた紫式部という人を描いていきたいなと。これ以上に何かを成した人はなかなかいないわけですから、そこに挑戦していきたいなということになりました。

確かに史実の紫式部の行ったことは偉業だけど、そこの部分にフォーカスしてましたっけ?
「自分で物事を成した」?
執筆のきっかけは道長からの依頼という非常にビジネスライクなものだったし、その物語にしても土台となる知識が積み上がっていく過程はほどんど描かれず(代書や漢籍ぐらい?)突然「降ってきた」もの。
“まひろ”に自力で何かを成し遂げた感はあまりない。
この記事は彼女が制作統括になって以降の話だけど、複数いるであろう同職から内田Pが選ばれた時点で「女性主役」が決まっていたのかな(もしくは逆?)。
主役が女性。テーマは恋愛。
つまり制作統括・チーフ演出ー主役ー脚本家がオール女性。
「恋愛モノ=女性中心スタッフで」だとしたら今時ちょっと感覚が古臭い。

脚本家の魅力について。

紫式部も今から宮仕えをしていきますし、道長はそういった権力闘争の中に生きていますし、彼らがどういう世界の中に自分をおいて生きているかというのを、個人を超えた社会っていうのがちゃんと描かれていることが1つ。

「個人を超えた社会がちゃんと描かれている」
御簾のない世界、主上が中宮の女房の局をわざわざ訪ね意見を求める。
貴族の娘が裸足で外出しまくる、摂関家の御曹司と幼馴染になる、どこの馬の骨ともわからぬ直秀やら双寿丸やらが家に出入りする…。
むしろ身分の垣根がめちゃくちゃ低かったと思うけど。言葉遣いなども。

最後に見どころについて。

まず、平安のきらびやかさを存分に楽しんでいただきたいということ。
そして、主人公の紫式部や藤原道長をはじめとする登場人物が「今と変わらないように幸せを追い求めて、人生のいろんな岐路で悩んで生きていた」ということを描けていると思っているので、ぜひその辺を見て楽しんでいただけたらなと思っております。

どの時代でも幸せを追い求めるのは当然のこと。
そしてその「幸せ」の定義は時代によって変わる。
でもこの大河では「今と変わらないよう⚫︎幸せを追い求め」てじゃなく「今と変わらないよう⚫︎幸せを追い求め」てるようにしか見えなかった。
舞台は平安時代でもそこに展開する感情は現代の価値観だったと思う。
それに「~をはじめとする登場人物が」とあるけど、主人公のそんな姿すらあまり記憶にないのに周辺の人々の悩みなんて描かれてました…?

◆「育つ」とは…?

初めてSNS実況に参加して驚いたのは、作中の登場人物の感情やストーリーについて描かれている以上のモノを複雑に深く「考察」してる層がいること。それはドラマ熱狂層と重なる。
「どこをどう読んだらそこまで??」と驚くことが多かった。
それこそ制作陣すら意図していないような“考察”。
P氏が言ってたこれ。

うまくいくドラマでは、制作陣が狙ったり、期待している以上に、観てくださっている方のなかで「育つ」ものなのだと考えています。
(Lmaga 10/11『光る君へ制作統括・内田氏、視聴者の反応「予想を超えた喜び」より)

「育つ」…。
二次創作的に作品が広がっていくなら確かに「育つ」イメージだけど、ファンがドラマの言葉足らずの部分を想像力たくましく補ってるのも「育つ」と言うのかな。
例えばラストシーンのまひろと乙丸は「すでに死んでる」(亡霊?)説とか、自分には「逆ゴースト」にしか見えなかったあのシーンを「ピエタ像を思い浮かべた」と書いてたポストなんかのことを言うんだろうか。
「育ってる!ドラマは成功だ」と思うのか。

視聴者が何をどう楽しもうが自由だけど(「育ち過ぎ」の感はあるが)、歴史ドラマの作り手の目線が「そこ」なのには脱力する。
大河ドラマに「そういう捉え方もある」的余地はいらないと思ってる。
「水戸黄門」レベルのわかりやすさは無理としても。
「大河ドラマ」である以上、歴史の描き方を支持されることが「うまくいってる」状態のはずだけど、歴史面を絶賛している一般人ポスト、あまり見た記憶がない。
歴史ドラマだったらSNSでああいう方向には「育たない」。
これも今作が恋愛ドラマだったことの証左。
1年間に亘る全48話の恋愛ドラマ、我ながらよく完走できたものだと思う。

【終わりに】

箇条書きまとめ>「ありえないあれこれ」が出るわ出るわ。
永遠に終わらないかと思った。
それが自分のこの大河への一番シンプルな感想。

前に2chの大河板か何かで「篤姫」「江」の脚本家が「二度と大河に関わらせるな」「篤姫の再放送は再登板の布石?何としても阻止!」などかなり批判されてるのを見た。
「篤姫」は歴史に興味ない友人が篤姫と家定のセリフを再現して大絶賛してて自分は1ミリも共感できなかったのを覚えてる。
自分は両作品とも見てないので「ふ~ん」程度だったんだけど、今なら批判の意味がよくわかる
二度と関わってほしくない人(たち)、確かにいる
でもどこかで見たけどセンセイは3回目もやる気満々らしい(平安時代じゃなきゃOK!)

それにしても「篤姫」「江」でググると出てくる批判が今作の事か錯覚するほど酷似してる。
このpixivの解説もそう。

時代や脚本家が違うのにスイーツポイントは共通してるんだよな。
(一応今作は「評価が分かれる」位置づけ)
ただ、ほかの作品はともかく自分の好きな時代の大河を(いかに期待外れとしても)「スイーツ大河」と呼ぶのには抵抗があるんだよな。
2ch的蔑称だし、出演者まで貶めることになる。それは本意ではない。
でも「スイーツ制作陣● ● ●大河」と呼ぶなら、確かにそこに堂々ランクインする作品だったかと思う。

いつか今作とは全く違うスタッフで正統派の平安時代ドラマが実現することを期待したい。
みなさん、1年間お疲れさまでした!

<おわり>


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