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「光る君へ」 第33回 式部誕生

物語はまひろ中心に。
ここが多くなると何も感想が浮かばない(といいつつ四千字)。

宮仕えの様子は面白かった。
華やかな衣装や日常の描写や、夜の局の上からショット。
呉座先生LIVEチャットコメント「ドリフのセットみたい」は言い得て妙。
でもこんな“個室”じゃなく複数人が雑魚寝(着物のままうつ伏せ寝)のイメージだったんだよな。ちゃんとしとねに寝てた?
朝、格子を上げたりまひろたちに付いてた年若の女子は女蔵人にょくろうど女孺にょじゅ

まひろは初めから専任の「物語担当」として出仕開始、その時点では肝心の「物語」は道長と主上にしか知られてない。
それじゃ先輩女房からの風当たりが強くもなる。
倫子の顔見知りとはいえ「どこの馬の骨」レベルなのに中納言は訪ねてくるわ道長直盧に呼び出されるわ。
そういえば宰相の君とパパ道綱のシーンはないのかな。


【今日の行成】
敦康親王家別当業務のため道長に対する行成。
道長の「彰子に子ができなければ伊周の力は大きくなるかも」というのは裏を返せば「子ができれば伊周なぞ取るに足りない」つまり敦康も取るに足りない存在になると言ってるも同然。
行成、わかってんの?
その後のこの物言いは、何サマなの?

『親王様を伊周殿の手に渡すようなことはいたしませぬ。
この身を賭してお守りいたします。』

あ、もしかして行成の発言も「(中宮様に皇子が生まれるまでは)」って注釈付きなのかな。当然、彰子が皇子を生んだ時の道長の出方は想定してるだろうし、実際行成は主上を説得するわけだし…。
そうだよな、このドラマでは⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎行成は完全に道長寄り。
彰子産皇子を推すのも織り込み済み。
「今のところは」敦康を守ってるだけってことになるのか。。

ともかく、百歩譲って発言内容に目をつぶるとしても、本当ならこれを言う相手は道長にではなく主上にでしょうが。
敦康親王家別当としてのキミの使命は「主上のために」敦康を道長から守ることであって道長のために伊周から守ることじゃないんだよ…。


さて例によって雑な感想を。

  • 始まりは寛弘2(1005)年。

  • 年明けの中宮大饗、って斉信が言ってたけど、準備シーンからあまりにシームレスに本番場面へ。いつの間にか寛弘3年夜!
    被け物の女装束を収めた長手盆の上に「中納言」と書いた紙が載ってたけど、名前ないとわからんぞ。
    中納言は正月時点でごん入れたら5人いたはず。
    あの場面で渡してたのは年齢的に時光か。

  • まひろだけが彰子と敦康のほっこりシーンを目撃するし、好きな色や季節、物語の本音を聞く!まひろは特別!!
    それにしても中宮様とあろう方が透渡殿すきわたどの?にお姿を晒して…まひろや女房たちも寒さよりそっちを気にしなよ。

  • 実家に戻ったまひろと惟規。なんでこう惟規は軽いの。
    またうつけうつけ連発で、いろいろ不快。

  • 正月の除目。
    道長は平維衡の任官に反対する。「武力で争う世にしてはならない」
    確かにそういう時代は迫ってるけど、ここでの道長の本音は違うところにあった。
    今日の描き方だと無能な顕光の推挙を主上がOKした(=主上も無能)のをしごでき道長が諫めた、みたいになってたけど違う

…正月二十八日に行なわれた除目において、右大臣顕光が推挙した平維衡たいらのこれひらを一条が伊勢守に任じようとしたところから、道長との意見の相違が表面化した(「御堂関白記」)。
~中略~
道長が維衡の任官に反対したのは、 一条が維衡を伊勢守に任じるということが、それだけ元子を重く見ている証左であったからである。道長は、「之を任じらるるは甚だあやしき事なり。御門の御意、未だ知らず。 奇しく思うこと極まり無し」と烈しい憤りを露わにし、「此の事有る後、闕官けっかんいえども任じ申さず、大間の清書を奉る。立ちて他の仰せ有るも、左右とこうを申さず。是れ心神相違するなり」と、機嫌が悪くなったので除目を打ち切るという挙に出た(「 御堂関白記」 )。
~中略~
なお、維衡は三月十九日に早くも伊勢守を解任げにんされている(『日本紀略』)。道長が巻き返しを行ない、一条に圧力を加えて翻意を勝ち取ったものとされる(高橋昌明『清盛以前』)。

倉本一宏『一条天皇』
  • 「機嫌が悪くなったので除目を打ち切った」これこそリアル道長!
    維衡はかつて下野守なのに伊勢国で平致頼むねよりと合戦した罪を問われて淡路に移郷してたので道長はそこを問題にした…というのは実は表向きの理由で実際はかなり私情絡み。先見の明とかじゃない。
    彰子が懐妊しないことに焦ってたから元子絡みで顕光の影響力が強まることを全力で阻止しようとしてた。
    こういう裏事情を踏まえて道長が主上に言ったセリフを見てみよう。

    『恐れながらお身内にも厳しく接してこられた主上とも思えぬこたびのご判断。政に傷がつかぬうちに取り消さなければなりませぬ。』

    『主上の御ため、この国のためを思えばこそあえて申し上げております。』

    どの口がいうやら!
    愛人を利用して自分の娘の元に主上を誘き寄せようと画策するわ、愛人の父親を任官するわ公私混同しまくってるのは誰?

  • 陣定の後、行成が「顕光の家人だったから推挙⚫︎ ⚫︎」と言ってたけどじゃあ主上が了承⚫︎ ⚫︎した理由は?
    なぜ顕光の家人だから⚫︎ ⚫︎ ⚫︎優遇されるのかが問題なんだが。普段から主上が顕光に目をかけてる描写でもあれば「あ〜道理で」になるけど。

  • 上のセリフ『お身内にも厳しく接してこられた主上とも思えぬ』に違和感。
    これ「身内にも厳しかったのに」=「(今回は身内でもない者に甘かった)」ってことだよね。
    道長は維衡どうこうより、顕光の推挙に従ったことの方を問題にしてるように聞こえる。
    誰かさんあきみつにはずいぶん甘いようで…」と。
    元子ゆえに顕光に甘くなったことはお見通しですよという嫌味。
    武力の時代が迫っているという世情を知らず任官にGOを出した主上の判断ミスを批判するだけならわざわざ「身内にも厳しく〜」なんて言う?
    道長に指摘された後の主上の「さほどのゆゆしき過ちを犯したとは思えぬが…」という表情も政治判断を指摘された顔というより「痛いとこ突かれた(バレたか)」みたいに見える。
    元子絡みのシーンかセリフがあったけどカットされた?

  • この除目の直後の2/25、主上は東三条殿内裏(内裏火災のため里内裏としてた)に元子を参入させてる。道長への腹いせ?

  • 隆家のあの事件を予見させる発言。自分はそもそも伏線だの伏線回収だのそういう仕込みが見えるのが好きじゃないんだよな。「うまい!」とかいう見方もしない。

  • 今回は実資が道長誉めbotだったな。輪番制なの?

  • うわ。主上自らまひろに会いに…。
    主上に「自分の政に考えを述べるのは詮子以外お前だけ」と言わせる。。
    ▶︎主上、まひろ褒めbotメンバー加入🆕
    「敦康か」と聞かれて「内緒にございます」って返答どうなの?
    主上の「自分を難じてるかと思い腹が立った」になぜ反応(否定)しない?
    主上自ら「皆に読ませたい」拡散宣言来ました…。

  • まひろ「物語は女子供だけのものではない」??
    今の唯一の読者は男の主上なんだけど。
    まひろは主上の言う「皆」を「男性貴族」と思ったから?
    でもそう言った直後に「女子供」である彰子に勧める…??
    主上と彰子の距離感を自分の物語で縮めてあげる!的なまひろの得意顔がなんか腹立つ(邪推)。

  • 興福寺の僧定澄じょうちょう慶理きょうり
    ドラマでは初めて会ったみたいになってたけど、道長は自分と関係の深い(長徳の変にも関係)源頼親の肩を持って定澄の面会要請も無視してたので、僧兵が押し寄せるまでに事が大きくなって…ってことらしい(『源頼親と大和源氏の生成』森公章 P.4~)。
    かなり任官など私物化してんだよな。平維衡の任官拒否と根は同じ。
    まひろの望む世どころか自分の望む世のことしか考えてない。
    詳しくは次回。また道長のしごできエピとして描かれそう。。


【今日のソウルメイト】
このパートの割合は虚無感と比例する。
まひろ出仕によりもはやパート分け不能なほどの登場場面増。キツいわー。

  • まひろ、里下がりを申し出るも、道長に引き留められる。特定の女房と直蘆で二人っきり…余裕で“足を揉める”状態だわな。

  • 今の自分には「物語」しかない!?この道長って漂白し過ぎてただの無能じゃん。土下座までして。無策過ぎるでしょ。
    晴明いないし、頼るはまひろのみ?
    そうかと思えば主上に強く出てデキる男風になってみたり、相変わらず道長像がブレブレ。

  • 主上の気を引くためにズル休みや上表しまくって相手の譲歩を引き出すリアル道長の手口を描いた方が必死さが伝わるし、金峯山詣にもつながるのに。
    面白くなる要素がたくさんあったのに過剰漂白のせいで薄っぺらな人物になってしまったな。

  • 親(道長)も気づかない彰子の本当の姿に出仕間もないまひろが気づく!

  • 道長って書け書け頼む頼むばかりで、それを撒き餌にして主上を藤壺におびき寄せることしか頭になくて「もしダメだったら」と不安がるまひろの立場を全然考えてない。あの扇で誤魔化されるな、まひろ。

  • 今になって扇を抱きしめて初恋相手を思い続けてるように描いても「??」でしかないんだよなぁ。これまた今になって30年前のあんな絵の扇を贈り、驚いたかな〜とフッと笑う道長もキモい。そもそもこのシーンを思いつく脚本家がキモい。


第34回予告 「目覚め」 まひろによって彰子覚醒の巻?
・興福寺僧兵強訴本編
・ついに金峯山詣 成体頼通?
・3/3土御門殿で曲水の宴(予告の声は久々俊賢?)
・ゲ!まひろ「殿御は皆かわいいものでございます」!?(荒れる予感w)
・次回相関図には大江匡衡、敦康次形態、そして道雅!

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