【映画】Eイーサン・ホーク
アメリカの俳優さんです
あらゆるジャンルの作品に馴染む人ですが、私にとってのイーサン・ホークはビフォアシリーズのこの3作です。
最初の1作めが撮られてから9年後に2作め、そのまた9年後に3作め
長いスパンで取り組める制作スタッフと俳優さんたちのこのシリーズに対する愛情に感謝したくなるぐらいに大好きな作品です。
監督はリチャード・リンクレイターというアメリカの人です。ほんとはこの人のページで語るべきだと思いますがイーサン・ホークと言えば私にとってはこのシリーズなのでここで紹介いたします。
1
「恋人までの距離」
まずは1作め
恋人までの「距離」と書いてディスタンスと読ませます
後々からすると要らなかった副題ですね(´ω`)
イーサン・ホーク演じるアメリカ人のジェシーとジュリー・デルピー演じるフランス人のセリーヌの出会いが描かれます。
パリ行きの列車の中でふたりは出会います。お互い一人旅。ジェシーがセリーヌを食堂車に誘います。そしてこれからずっとずっと続く、ふたりの会話が始まります。
基本的にこの作品では主人公のふたりしか出てきません。離れて続いていた2本の線が近づき寄り添い交わるまで。20代のふたり、宿賃もなく朝になるまでウィーンの街を歩きます。
出会いを描く本作は瑞々しくて知り合っていくドキドキとか胸が温まるような気持ちが伝わってきます。
2
「ビフォア・サンセット」
前作で半年後の再会を約束したふたりですが、出会えるのは9年後。本作は実際に9年後に撮影されました。
歳を重ねたふたりはそれぞれに家族がいて違う人生を歩んでいました。再び引き合うようにパリの本屋で再会を果たします。そしてまた会話がよみがえります。それぞれが歩んできた人生。埋め合わせるように、9年の空白を。
なぜ半年後の約束の日にふたりは会えなかったのか。9年前の記憶は曖昧で、1日限りを共に過ごした日のことでさえも。ただなぜか想いは強く残っていてふたりの会話は続きます。なにがふたりをそうされるのか。説明できないような思いや気持ちがふたりにはあるようです。
そしてまた別れが来ます。仕事でパリに訪れていたジェシーの、帰りの飛行機の時間までわずかな時をふたりは過ごします。それもふたりに思い出を残すラストシーンとなるのです。
3
「ビフォア・ミッドナイト」
そしてまた9年が経ちます。
その間になにが起こっていたのか。
一緒にいるふたりの様子と会話で私たちは知ることになります。
舞台はギリシャ。南ペルポネソスにある友人の別荘にバカンスに来ていたふたり。
そこでもまた絶えることのなく会話が続きます。1作めの初々しさも2作めの距離のある切なさもありません。本作にあるのは日常。ひたすら現実の日常にある夫婦の諸問題です。
このシリーズに通じているのは会話が主役、ということなのですが、その会話は常に甘いだけのものではなく現実的な問題意識や悩みも含めたふたりがそれぞれ抱いているもののぶつけ合いとも言えるような会話です。
本作はさらにそれが濃くて大人の悩みや違う人間同士の衝突ってこういうものだよな現実的に、と納得してしまうようなふたりの姿を歯に衣着せずに描きます。それはもう、観ているこちら側もいやそれやばいんじゃないの?とハラハラしてしまう程です。それでもぶつけ合ってもがく姿。なんといいますか、勉強になるといいますか、観ていて結構しんどくなります。
ギリシャの美しい風景がなんとか中和してくれようとしますが追いつかないほど人間の姿というのはリアルです笑。
でもここまで描き切ってしまう、18年をかけたシリーズの骨太さ。ぜひ体験していただきたいです。
1作めはさわやか
2作めはしっとり
3作めは圧巻。
俳優の変わり具合も現実的で
可愛らしい若さ弾ける1作め、
大人の憂いが渋い2作め、
中年さがリアルな3作め。
1作が100分程度なのでさらっと観れるのも魅力だし、それくらい端的にまとめられるのも監督の力量だと思います。
大好きなシリーズです。
ちなみにイーサン・ホークは本シリーズ2作目以降の脚本も手掛け、自身も監督作を持つようになります。俳優も映画人として育てた珠玉のシリーズです。
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