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ADSLサービス終了と、その黎明期の話

 高速回線の先駆者でもあり立役者でしたが、とうとう終了ですか。

 サービス開始の2000年から5年間の伸びが凄いですね。我が家でも契約したのは2004年頃だったはず。この時期になると大都市圏に限らず地方都市でも引けるようになってて、高速回線の恩恵をほぼ全国で受けられるようになりました。
 何より既存の電話回線をそのまま応用出来たのは大きかったかと。メタル線で使用可能な帯域の中でも、通常の電話では使われない部分をネット回線として割り当てる。結果、ユーザー側はADSL対応モデムを買うくらいで済んでしまい。あとは電話会社が切り替えてくれればいいだけ。この手軽さが良かった。
 おまけに「月額料金で常時接続可」というのも大きい。従来のISDNでは接続のたびに通話料金が発生したせいで、ネットユーザーはそろって「テレホーダイ(※23時から翌朝8時まで接続料金が一定になるサービス)」の時間帯を狙っていました。自分もそのくちです。それゆえ23時頃は回線が激混みし、日付が変わる頃になってようやく落ち着いてネット出来たのも今となっては懐かしい話。

 それでもADSLには弱点がありました。従来のメタル線で電話のために使っていた帯域は「常時安定して通話ができる部分」でもあって、それ以外の部分は他の電磁波や距離による減衰といった影響を受けやすかったのです。それゆえ「通話」には使われていなかったのですが、そこをネット回線に割り当てると当然先に挙げた影響が出てきてしまう。
 例えば「下り回線・最大16Mbps」を謳っているADSLサービスがあった場合、確かに理論上だと16Mは出ますが、基地局から遠ければ遠いほど速度は減衰していきます。我が家もそれに該当し、16Mで契約したもののせいぜい1~2M程度。調べてみるとウチは基地局からも遠かったため、地方都市は損だなぁとつくづく思ったものです。

 しかし例え1Mbps程度でも、当時のオンラインゲームはその回線速度でも十分遊べる作りでしたのであまり問題は起きませんでした。何よりネットの高速回線化が進み始めた頃、時を同じくして今までにないサービスの店舗が登場しました。
 いわゆる「マンガ喫茶(漫喫)」です。
 初期は漫画読み放題がメインでネット端末サービスはおまけのような感じでしたが、ブロードバンド可が進むとPCの台数が一気に増え、さらには有名オンラインゲーム導入を進めた店も続々登場。オンラインゲームはアカウントさえ持っていればどの端末からもプレイできたため、一度入ったら時間潰しどころか一日中入り浸ることも珍しくなくなりました。
 いつしか「マンガ喫茶」は「ネットカフェ」と呼ばれるように。これもブロードバンドが生んだ新たな業務形態といえるでしょう。

 しかし気が付けば光回線サービスが始まり、モバイル回線も高速化が進みました。我が家の周辺もADSL導入から10年と経たずに光回線のサービス開始エリアとなり、またいつからか回線自体がしばしば切断されることもあったため(おそらく外部の影響)、初期投資や工事代こそかかるけど自分がお金も出して設定もやるからウチも光を導入した方がいい、と家族を説得。そうしてくれるなら、とあっさり決定しました。かくして我が家のADSLは終わりを告げたのです。

 今や普通に300Mbpsでネットを楽しめる時代。この世界に入り込んだ20年以上前には想像も付かなかった速度ですが、ADSLを始めた頃は1Mbpsであっという間に画像のダウンロードが完了しただけでも嬉しかったですね。どんな画像かは聞かないてくれ、想像つくだろうから。

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