台湾コーラの香りは「あの匂い」だった。
土曜日。ある目的のためにJRの渋谷駅で降りた。ただし目的地は別の場所である。今回の外出で、渋谷はあくまでも乗り換え地点にすぎない。降り立ったのは12時過ぎ、というか13時に近い。軽く昼食を済ませておこう、と地下街へ向かった。
銘店街へ入ると、そこにはズラリと並んだお惣菜やスイーツetc…いずれの値段もそこそこ。後で分かったが東急フードショー・しぶちかデリゾーンの一角だった。食事できる場所は無いか? と思いながら歩を進めると一件のお店が。
ご飯物やおかゆもあるけど、もうちょっと手軽なのが良いなぁ……と目に留まったのがコチラ。
肝心なメニューの名前をど忘れしたが、つまりは「台湾割包」。ピリ辛パウダーをまぶした唐揚げはほのかに甘い生地と相性バッチリだった。
しかし個人的には、セットで頼んだドリンクが気になった。
台湾コーラ?!
つい最近、三ツ矢サイダーが作ったクラフトコーラを飲んだばかりです。ドリンクメニューでそんなのがあったら頼むしかないでしょう。さてそのお味は如何に?
……うーん、以前のクラフトコーラのような尖った感覚はないが、ちゃんとコーラ風味はある。しかしこの独特のスーッとする香りはなんだろう? どこかで嗅いだような香りがする。薬品臭だが決して身体に悪いものではない。飲むものよりは塗る方に近いような……
と、ここでハッとした。
ヴィックスヴェポラップ! あれにそっくりだ!
あのスーッとして、なおかつ不快感が無い程度の刺激。こんなところで子供の頃に塗った薬を思い出すとは。
韓国のメッコールみたいな「???」と思える味ではない。何か身体に良さそうな香りのするドリンク、それが台湾コーラだった。
ヴィックスヴェポラップ臭のドリンクを飲み干し、会計を済ませると足早に地下鉄の駅へと向かった。