キャプテンウルトラ第17話「合成怪獣バクトンあらわる!」
怪獣図鑑で存在は知っていた。丸っこくユニークさすらある姿だが、設定には結構なSF要素が詰まってて侮れない。
人工的に細胞を生み出せるなら、あらゆる食料だって「作れる」のでは? というアイデアが面白い。食物も工業製品のようにオートメーション化されれば、家事全般が今までとは全く違うものになるだろう……そんな空想未来があったわけだ。「女性を台所から開放した」の台詞からもそれを感じる。
そんな「食糧生産の機械化」を表現するのが、卵がベルトコンベアー式に進んだかと思えばニワトリになり、最後はローストチキンへと変化するマシン。随分と工程が飛んでるが、まあそれだけ凄い機械だというのは分かった。本編では肉どころか果物まで作り出している。こんな未来だったら、をぎっしり詰まったマシンといえる。
しかしマシンは「怪獣化」という形で暴走してしまう。電子頭脳を含めてコンピューターが制御不能の怪物と化すのもSFでは王道の展開だが、建物全体が怪獣になるパターンはどれほどあるのだろう?
その原因は明確に描かれていない。人工電子細胞から生命が誕生したのか、はたまたコンピューターに異変が生じたか。キャプテンは前者とみていたが、自分はバクトンをこの複合体ではないかとみた。機械がケーブルを触手のごとく操り人々を襲うあたりはそれっぽい。ベタな表現だが俺は好き。
物語中盤で出現したバクトンは、そこから後半までとにかく暴れる。キャナルシティで大暴れする。それだけなく、原料の第七重水を求めて生産工場を襲おうとしている。姿はユーモラスだがやっていることはエグい。原因が分からずとも「全て私の責任だ」と悔いる博士。演ずるは室田日出男さん。ディスコグラフィーだと科学者役はほとんど無いものの、結構なハマり具合。こんな室田さんをもっと観てみたかった。
最後のサスペンス描写にやや間延び感があったものの、決死の作戦でバクトンは倒された。なかなかの強敵。今度こそ完璧な人工電子細胞を産み出して見せる、という博士の決意で締め。「二度とこのような研究は~」でなく希望を持たせる結末。やはり宇宙の青さの前にすると、前向きな表現の方が似合うのかな。
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