あの大量のレンタルビデオは今どこに? いくら配信とて万能ではない、という話
本当ですな。昔は大手チェーン店だけじゃなく、そこかしこに個人経営のレンタルビデオ店がありました。レアなビデオを探しに隣町まで足を延ばし、見つけたら即会員になることもしばしば。ちなみに高校とか大学くらいの話で、まだ自動車免許とかも持ってません。自転車です。電動アシスト車も無かったような……そんな状況でよくそんなこと出来たな。
まあ住んでるのが本当に車社会なトコなもんで、バス路線なんぞもろくに無く、鉄道以外の移動手段で自由が利くものといったら自転車しか無いんですよ(※なお高校は校則でバイク禁止)。「地方は車がないと生活できないというのは9割甘え」だというなら、例え真夏でも真冬でも、炎天下だろうが空っ風の中だろうが、休日に自転車で駆け回ってた高校生活を送ってみんかい! お前はその1割だけの甘えてない人間になれるんかい! はい、例の炎上ポストに関しては終了。
それはさておき、レンタルといえばCDもそうですね。90年代に入ると大手や地元の書籍チェーン店が、それまでの本屋と併設してレンタルビデオとCDのブースを設けてました。一度そこでバイトしてた経験がありますけど、それが仕事とはいえあのシステムは実に面倒臭かった記憶が。
当時はレンタルしたい作品があった場合、そのケースに付けられた「レンタル可能」の札を抜き取って店員さんに渡します(抜くと下に書かれた『貸出中』の表示が出てくる)。札には番号が書かれてて、店の奥からそれと同じのが記されたビデオテープを探してきて、レンタル用のケースに入れて渡す。これはCDも同じで、陳列してある空ケースに書かれた番号を元に、奥にある倉庫から……と。これが何本も、何枚も借りてくる人だとまあ探すのが厄介でしたよ。返却作業が済んだら今度は札とケースをもとの場所に陳列しないといけません。これもやはり面倒でしたね。チェーン店でこれなら、個人のお店だとそりゃ大変でしょうな。
それゆえ、某チェーン店が導入した「レンタルビデオ専用ケース」を初めて見たときは目から鱗というか、そういう手があったのか、でした。レンタルの際は施錠、というかロックされてる箇所を店員さんがガシャリ、と外すだけ。これをうちのバイト先でもやればいいのに、と思ったのですが、自分がそこを辞めてから数年後、そのシステムを導入することなく潰れてしまいました。導入する余裕も無かったのか、あるいは導入しなかったせいで不便だと思われたのか、今となっては分かりません。
しかし気が付けば、映像作品やCDを店で借りる機会も減り、それどころか本屋さんも減ってしまう状況。店舗跡は居抜きにもならず、更地どころかまるまる別の建物が出来てしまい、当時の面影は全くありません。
そりゃあ、今の方が断然便利ですよ。もっと楽に借りられないかなぁ、とは考えてましたから。その一方で、もっと都会みたく品揃えの多いお店があるといいなぁ、とは思ってました。でもまさか、ネットを介して配信でだなんて。そもそも大学入学前までは、ネットどころかパソコンなんて俺には訳が分からん! とかいう人間でしたよ。今の状況に馴染んでこそいますが、改めてその話題を振られると「やっぱり、信じられないなぁ」と考えさせられます。
ただ、いくら配信が進んでも、あのビデオ全盛期だった頃にリリースされた数あまたの作品がまだ再リリースされてるかというと、違うんですよね。とりわけアダルト関係なんかはそうで、中小の製作元なんぞはとっくの昔に潰れてて、ビデオの原盤もどこへ行ったか分からん、てのは多いでしょう。あ、今となってはアウト!とかではないですよ。あのメーカー(ブランド)が出してた、あの超マニアックなビデオはどこへ? てのがあるんです。
それらは自分が20代になって以降、各店がテープからDVDへと鞍替えされていくのに伴い、レンタル落ちしたモノがあったのでいくつかは救済出来ました。しかしそれも極一部。中古を扱ってるサイトも覗いてみますが、滅多に出回ってきません。配信どころかDVDにもならずに消えたモノを見つけ出すのは容易じゃないんですよ。だから配信も、便利だけど全てをプレイバック出来るシステムじゃないんですよね。
おまけに「ビデオテープの2025年問題」でしたっけ? 個人的にデジタルアーカイブ化を進めたいところですが、こんなマニアックなものを何としてでも保存したい物好きはどれだけいるのか。少なくとも、ここに一人いますけどね。幸い、我が家にはまだ稼働出来るビデオデッキとビデオキャプチャーが残っているという……本当にこれだけが頼りです。
でも、昭和&平成レトロでカセットテープが注目されるなら、ビデオテープが再注目されたっていいと思うんですけどね。レコードとか音楽だけじゃない、ビデオを忘れるな!