最新戦法の事情 【居飛車編】(2020年7・8月合併号 豪華版)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載している通り、居飛車の将棋から最新戦法の事情を分析したいと思います。
当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。
最新戦法の事情 居飛車編
(2020.6/1~7/31)
調査対象局は213局。順位戦が始まったことで、かなり対局数が多いですね。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。
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◆角換わり◆
~待機策にスポットが当たる~
63局出現。出現率は3割に迫る勢いであり、相居飛車の中では最もホットな戦型です。
先手は、腰掛け銀を志向するのが圧倒的多数派ですね。後手の対策は先後同型から右玉まで多岐に亘りますが、ここ三ヶ月ほどの傾向としては、先手に負けじと先攻を目指す作戦を選ぶケースが多かった傾向がありました。
ところが、今回の期間では、基本形から△6三銀と引く待機策の作戦にスポットが当たっています。今回は、この将棋を掘り下げて行きましょう。(第1図)
2020.7.9 第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局 ▲藤井聡太七段VS△渡辺明棋聖戦から抜粋。(棋譜はこちら)
図が示すように、後手は銀を引いているので先攻する意思はありません。守備力を高めることで自陣の隙を消し、先手の無理攻めを誘発することがこの作戦の趣旨になります。
このように銀を引っ込められると、先手は直ちに▲4五桂と跳ねても上手くいきません。よって、まずは自玉を矢倉に入城させます。対する後手は、淡々とパスをして相手の攻めを待ちます。(途中図)
第1図から▲7九玉△5二玉▲8八玉△4二玉と進んだ局面です。
先手は玉が囲いの中に入ったので、攻める条件としては第1図よりも良くなっています。なので、本譜は▲4五桂と動いていきました。
以下、△2二銀▲3五歩△同歩▲6五歩△同歩▲5五銀△3三桂▲1八角と進みます。まだ多数の前例がある局面ですね。(第2図)
後手は△4五桂▲同角と進めてしまうと、次に▲3四桂と▲6三角成→▲7二銀という二つの狙いが残ってしまい、思わしくありません。つまり、自分から4五の桂は取れないのです。
後手は間接的と言えども、1八の角が8一の飛に当たっていることがネックですね。したがって、△8二飛で角道を避ける手は考えられます。これには▲2四歩△同歩▲同飛と進めておきましょう。(第3図)
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