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最新戦法の事情【振り飛車編】(2021年1月号 豪華版)

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋の最新型を解説したいと思います。

なお、当記事の注意事項は、こちらをご覧くださいませ。

前回の内容は、こちらをどうぞ。


最新戦法の事情 振り飛車編
(2020.12/1~12/31)


調査対象局は90局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。


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◆先手中飛車◆
~エースには成り切れてない~


10局出現。その内の8局が初手▲5六歩のオープニングでした。この数字から読み取れるように、この頃の先手中飛車は、どうしてもこれを指したいと考えているプレイヤーが選んでいる作戦のようですね。(他の振り飛車でも良いというプレイヤーは、初手▲7六歩を選ぶはずだから)


居飛車は、やはり後手超速が一番人気(6局)です。これに対して振り飛車は、2020年台では▲6六銀型に組んで対抗するケースが多数派でした。特に、下半期はその傾向が顕著でしたね。(参考図)

00最新 振り飛車!

振り飛車はこの局面を目指すのが一つの指針であり、こうなれば不満無しという見解がなされていました。

00最新 振り飛車!

ところが、2020年の11月に居飛車は新機軸を編み出します。その作戦は非常に有力であり、振り飛車にとってはかなりの強敵と言えます。詳しい内容は、こちらをご覧くださいませ。

よって、現環境の先手中飛車は、後手超速に対して▲6六銀型ではない形で対抗するようになりつつあります。(第1図)

00最新 振り飛車!

図のように、[▲6八銀・▲7八金型]という配置で戦うのが最近の傾向です。

ちなみに、この指し方は2019年5月の時点で、既に指されていた手法ではあります。ただ、先述したように今までは▲6六銀型のほうが有力と見られていたので、見送られていたところがありました。現環境は▲6六銀型が冴えないので、こちらに戻ってきたといったという訳ですね。

なお、期間内で最も新しい公式戦の実例としては、第79期順位戦C級2組7回戦 ▲今泉健司五段VS△渡辺和史四段戦が挙げられます。(棋譜はこちら


00最新 振り飛車!

この▲7八金は、次に▲5四歩から歩交換することが狙いです。いきなり▲5四歩△同歩▲同飛を実行すると△8六歩▲同歩△8八歩が気になるので、金を上がって8筋をケアしておこうという意味ですね。

00最新 振り飛車!

相手が「▲5四歩を突きますよ」と宣言しているので、居飛車としては△5二金右で中央を固めるのが自然でしょう。先手はもちろん▲5四歩と突きます。以下、△4四歩▲5三歩成△同銀上▲6六歩△4三金までは妥当な進行ですね。(第2図)

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