最新戦法の事情 【居飛車編】(2021年11・12月合併号 豪華版)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載している通り、相居飛車の将棋から最新戦法の事情を分析したいと思います。
なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。
前回の内容は、こちらからどうぞ。
最新戦法の事情 居飛車編
(2021.10/1~11/30)
調査対象局は182局。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。
◆角換わり◆
~位を取ったら持久戦~
39局出現。先手は腰掛け銀や桂ポンを志向するケースが多く、早繰り銀は少数派。この傾向は、半年ほどずっと変わらないですね。
現環境の角換わり腰掛け銀は先手がスライド形に誘導したいという思惑に沿って駒組みを展開します。なお、スライド形とは以下の局面のことを意味します。
これはこれで一局の将棋ではありますが、先手は打開に苦しむことなく仕掛けが実行でき、かつ確実に互角以上の局面を作れるので不満がありません。詳しい解説は、以下の記事をご覧くださいませ。
【スライド形が先手満足の理由】
よって、現環境の後手はそれを避ける駒組みを選びます。一案として、△9三歩型の将棋が挙げられます。(第1図)
■△9三歩型 VS ▲4八金型
後手は9筋の位を取られていますが、その代償に陣形整備が早く整うことが主張です。そうすることで先攻を狙うことがこの作戦の目的ですね。
さて、ここで先手は▲5六銀△3一玉▲3八金と進めるのが最有力と見られています。なぜ、これが良いのかという理由については、以下の記事をご参照くださると幸いです。
【▲3八金が最適な手待ちの理由】
ここで後手には複数の選択肢がありますが、最もアグレッシブなのは△6五桂ですね。仕掛けに踏み切るこの手は、「先攻を目指す」というこの作戦の趣旨に沿っています。
これには▲6六銀△8六歩▲同歩△同飛▲9七角△8一飛▲6四角△6三金▲8二歩と進むのが定跡化された手順。ここで後手がどこへ飛車を逃がすかですね。(第2図)
従来は、△7一飛と逃げるのが自然と考えられていました。後手は将来、7筋の歩を突き捨てる可能性が高く、そのとき飛車の応援がある方が攻めに迫力が出ます。ゆえに△7一飛が自然と見られていた訳ですね。
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