最新戦法の事情【振り飛車編】(2020年10月号 豪華版)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋を見ていきましょう。
なお、今回から図面制作や記事執筆の効率化のため、それらの表示内容が今までと少し変わります。詳細は、当記事の注意事項をご覧くださいませ。
最新戦法の事情 振り飛車編
(2020.9/1~9/30)
調査対象局は76局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。
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◆先手中飛車◆
〜今は凪模様〜
6局出現。ただし、初手に▲5六歩を指して相振り飛車に移行したケースも含めると、9局にまで数字が増えます。
出現率は高くありませんが、先手中飛車が冴えないと見られている印象は感じません。王座戦第2局(2020.9.9)でも出現していますし、先手振り飛車の主力戦法の一角だと言えるでしょう。
居飛車は後手超速が以前のように突き刺さらなくなってきている(理由は、こちらの記事を参照してください)ので、この作戦の採用率が下がり、今は対策が分散している傾向があります。9月は目立った動きがあまりなく、凪模様といったところでした。
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◆四間飛車◆
〜理想形を許さない〜
13局出現。先手番で4局。後手番で9局指されました。
居飛車は持久戦を選ぶケースが多く、(10局)中でも穴熊が一番人気。特に、居飛車が先手番の場合は端歩突き穴熊が強力です。後手四間飛車は、これを何としても打ち破らなければいけません。
端歩突き穴熊の対抗策としては、四間ミレニアムが最有力ですね。(参考図)
参考図の局面に誘導できれば、振り飛車は互角以上に戦える将棋となります。なお、四間ミレニアムの基礎となる狙いは、以下の記事を参照してください。
こういった前提があるので、居飛車も参考図に至る前に工夫を凝らしてきます。具体的には、早い段階で▲8六角と上がる手が、このところ有力視されている対策ですね。(第1図)
振り飛車は6四の歩を取らせる訳にはいかないので、あの歩を守る必要があります。候補としては△6三銀か△6三金が自然ですが、△6三銀は攻撃力が落ちてしまうので、率先して指したい手ではありません。よって、△6三金が妥当な選択となります。
居飛車は6三に金を上がらせたことに満足して、このあとは淡々と駒組みを進めます。(第2図)
さて。第2図はお互いに駒組みが飽和しつつあるので、そろそろ仕掛けを見据えた手を考えたいところでしょう。
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