最新戦法の事情 【居飛車編】(2021年10月号 豪華版)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載している通り、相居飛車の将棋から最新戦法の事情を分析したいと思います。
なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。
前回の内容は、こちらからどうぞ。
最新戦法の事情 居飛車編
(2021.9/1~9/30)
調査対象局は105局。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。
◆角換わり◆
~舞台はスライド形ではない場所へ~
21局出現。出現率は20%で、前月よりも5%落ちました。後述しますが現環境では相掛かりや雁木が増加しており、その影響によって減少したと考えられます。
さて、ここ最近の角換わりで先手は、腰掛け銀からスライド形の将棋に誘導するケースが多いですね。この作戦が優秀と見られています。
現環境において、この局面になれば先手は満足に戦える情勢になっています。なお、詳しい理由につきましては、以下の記事をご覧くださると何よりです。
なので、後手はスライド形にならない駒組みを選ぶ傾向が強まっています。具体案として、△9三歩型の将棋が挙げられますね。(第1図)
この駒組みは、2年半ほど前からちょくちょく指されている形です。
端の位を取らせるのはマイナスですが、先手が▲9六歩→▲9五歩と2手費やしてくれるので、その間に陣形を整えられることが後手の言い分です。それゆえ、この戦型は後手から先攻するケースも多いことが特徴ですね。
さて、ここからは▲5六銀△3一玉と進むのが自然でしょう。そこで先手には複数の候補手がありますが、最も有力なのは▲3八金です。(第2図)
傍目にはまるで狙いが見えませんが、これは仕掛けるタイミングを図っている意味があります。
仮にここで後手が△2二玉と指すと、先手は待ってましたと言わんばかりに▲4五歩と動きます。そうなると、先手は単に▲4五歩と突くよりも得をすることになるのです。詳しい理屈は、以下の記事をご参照してくださいませ。
したがって、後手は駒組みを進めるのではなく、さっさと動いてしまう方が面白いですね。すなわち、△6五桂と跳ねるのです。これには▲6六銀が無難な対応ですが、後手は△8六歩▲同歩△同飛で歩を交換しておきましょう。
先手は▲8七歩と打てば穏やかですが、それでは無条件に歩交換を許しているので主張が乏しい将棋になります。
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