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最新戦法の事情 【居飛車編】(2021年6・7月合併号 豪華版)

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載している通り、相居飛車の将棋から最新戦法の事情を分析したいと思います。

なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。


最新戦法の事情 居飛車編
(2021.5/1~6/30)


調査対象局は171局。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。


◆角換わり◆
~銀矢倉を作って戦う~


32局出現。この内の半分以上が腰掛け銀の将棋になっています。先手は早繰り銀や素早く桂を跳ぶ速攻策もありますが、やはり腰掛け銀が不動の一番人気ですね。

現環境の角換わりは、先手が如何にしてX図を回避するかが一つの焦点となっています。近頃は、基本形から一手ズラした将棋に誘導する指し方が流行っていますね。その具体案の一つが、▲2七飛と浮く手法です。(参考図)

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これは△4二玉なら、▲2八飛△5二玉▲2九飛△4二玉▲8八玉と進める狙いです。先手は飛車が不可解な動きをしているようですが、これは手番を調整している意味があります。(第1図)

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この応酬で先手は一手損になっているのですが、前述のように基本形から手番をズラすことが目的なので、これで問題ないと見ています。確かに、こうすればX図とは状況が変わりますね。

今回は、この基本形から一手ズレた将棋(以降は「スライド形」と表記)をテーマに解説を進めたいと思います。

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なお、少し話が脇道に逸れますが、こういったスライド形の将棋は、他の形からも合流しやすい性質があります。例えば、以下の局面を見てみましょう。

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ここで後手は基本形を目指すなら△7三桂と跳ねるでしょう。しかし、そう指すと▲3五歩△同歩▲4五桂と動かれて不本意な将棋になってしまいます。詳しくは、以下の記事をご覧くださいませ。

【桂ポン作戦の成功例】
2020年10月号 豪華版

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ゆえに、後手としては△5二金と上がる方が無難ですね。これなら中央が堅いので動かれることはありません。

ただ、△5二金を優先すると[△6二金・△8一飛型]に組むときに一手損することになるので、結果としてスライド形に合流することになります。そんな訳で、先手はスライド形の将棋に持ち込む手段は複数あると言えます。

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さて、そろそろ本題に入りましょう。

ここで後手は待機に徹するなら△5二玉⇔△4二玉と往復するのですが、その姿勢では消極的であり、不都合な結果を招きます。詳しい理由は、以下の記事をご参照くださいませ。

【待機策がダメな理由】
2021年4・5月合併号 豪華版


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そういった背景があるので、後手は△5四銀と上がって攻め味を見せる方が勝ります。これに対して先手は複数の選択肢があるのですが、現環境では▲6七銀と引く手がホットな形の一つですね。(第2図)

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これの狙いは、「自分だけ銀矢倉に組むことで堅さの差を主張すること」です。ただし、この銀矢倉は仮の姿であり、必ずしも「金銀三枚の囲いを作ることに拘っているわけではない」ということを念頭に置いてください。

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ちなみに、銀矢倉はこの戦型における理想形の一つです。ゆえに、後手は易々とこれを許したくはありません。

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