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最新戦法の事情【振り飛車編】(2021年11・12月合併号 豪華版)

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋の最新型を解説したいと思います。

なお、当記事の注意事項は、こちらをご覧くださいませ。

前回の内容は、こちらからどうぞ。


最新戦法の事情 振り飛車編
(2021.10/1~11/30)


調査対象局は128局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。


◆先手中飛車◆
~金の働きに差を着ける~


14局出現。9月と比較すると出現率は16.9%→10.4%と推移しており、ガクンと落ち込んでいることが窺えます。

これほど下火になった要因としては、後手超速の影響が強いですね。後手超速にはいろいろなパターンがありますが、振り飛車を悩ましているのは以下のテーマ図です。

後手超速 定跡

図が示すように、△6一金型のまま、かつ8筋の歩を捨てずに桂を跳ぶのが居飛車の有力策です。この組み方は後手超速の中で最も突っ張った指し方であり、先手の駒組みに強い制約を掛けている指し方になります。

なお、この作戦の実例としては、第80期順位戦C級2組7回戦 ▲今泉健司五段VS△梶浦宏孝七段戦(2021.11.18)が挙げられます。(棋譜はこちら

後手超速 定跡

さて、こういった二枚銀急戦に対しては、▲4七銀→▲5六銀と力業で受け止めるのが常套手段ですね。けれども、現局面から▲4七銀は、△6五桂と仕掛けられて痺れます。

居飛車は桂の出足が早いので、直ちに先手陣を攻撃することが出来るのですね。これが振り飛車の駒組みに強い制約を掛けている所以です。

後手超速 定跡

また、隙を作らない手待ちは▲5九飛ですが、△5二金右との交換は明らかに損。囲いを完成させるこの金上がりは、非常に大きな一着になります。振り飛車は△5二金右以上に価値ある手待ちが無いので、陣形整備を進めるのは得策ではありません。

後手超速 定跡

したがって、ここは▲5四歩△同歩▲同飛と動くのが定跡化された手順ですね。対して、後手は△6五桂と応戦します。振り飛車は角をどこへ逃がすべきでしょう?(途中図)

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