最新戦法の事情【振り飛車編】(2020年9月号 豪華版)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋を見ていきましょう。
なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。
最新戦法の事情 振り飛車編
(2020.8/1~8/31)
調査対象局は65局。ひと月辺りにおける対局数は、この三ヶ月間あまり変化がないですね。
それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。
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◆先手中飛車◆
〜駒組みの順番が大事〜
12局出現。出現率は約18.5%。7・8月よりも高い数字を出しており、人気が回復してきた印象です。
先手中飛車は後手超速への対応に苦慮しており、一時期は下火になっていた時期もありました。けれども、現環境ではそれに対抗できる駒組みを編み出したので、再び採用率が増加しています。具体的には、参考図の布陣に組むことがクレバーな駒組みですね。
なお、この布陣の優秀性については、以下の記事をご参照ください。
ただ、これに組むには▲3八銀→▲3九玉という手順で玉を囲わなければいけないので、駒組みの順番がすこぶる重要です。今回は、参考図に至るまでに中飛車がどういった順番で駒組みを進めれば良いのかを検討してみましょう。(第1図)
先手中飛車のオープニングでは、よく見られる局面ですね。
さて。現状では相手の作戦がまだ分からないので、こちらも形を決めたくはありません。例えば、ここで▲3八銀と上がると穴熊の含みが消えるので、居飛車に一直線穴熊を選ばれたときに、相穴熊にするという選択肢が消えるので損です。
なので、ここは▲5五歩が無難だと考えられます。対する居飛車も、△3四歩でまだ正体を見せないほうが柔軟性がありますね。(途中図)
振り飛車は、まだ囲いには着手しにくいところです。となると、左辺の形を充実するのが自然ですね。ただ、ここで▲6八銀と上がると△5四歩を心配しなければいけません。
なので、手堅く指すなら▲7七角と上がることになります。こうしてから▲6八銀と上がれば、△5四歩と突っ掛けられる心配はありません。これなら安心して▲6六銀型に組むことが出来ます。
しかしながら、結論から述べると▲7七角は作戦負けを招く損な手なのです。具体的には、このような形に組まれたときに問題が生じます。(第2図)
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