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時の試練


未来へ向かおう。

僕と一緒に。

遠くへ行こう。どこまでも遠くへ。

命尽きるまで。


逢いたい逢えない。

そんな事ばかりの刹那的な間柄で未来に行けるのだろうか?

本当にその相手と未来に向かいたいのだろうか?

その人は本当に特別な存在なんだろうか?

一行、二行のメールを寄越すだけで殆どお互いに話題すら無い。

ただ逢う事、一緒に居る事だけを望む関係にどんな未来があるのか?

俺にはもうそういうのはわからなくなった。

誰かを特別に想う。

だからその誰かを理解したい。

出来る事ならそのすべてを無条件に受け容れたい。

片想いだってかまわない。

いやむしろそれは片想いだ。

しかし自分が強く想う事で相手にも伝わるかもしれない。

同じように特別に想われ理解され受け容れられたとしたら。

愛されたとしたら。

その時はこの世界の中で唯一、特別な二人になっているんじゃないか。

この世界で誰よりも自分を理解してくれている人がいたとしたら、それが特別でなくてなにが特別なんだろう?

そうして年月が過ぎ、過去を振り返った時、二人が時の試練を乗り越えて存在する事に気付く。

健やかな時も病める時も辛い時も悲しい時も、お互いを理解し受け容れあう事で乗り越えて来た時の試練。

絆はより強くなって、気持ちはより深くなっている。

ごくあたりまえの積み重ねかもしれない。

些細な事でも共有したいという想いで交わす言の葉。

記憶に深く刻み込まれた瞬間の幸せ。

それは時の試練に打ち勝って永遠の記憶になる。

不安など無い。

これからも君といる。

刹那的脊髄反射的な「恋」などではなく、これからも変わり続ける君を受け容れ続ける。

たとえ君が背中を向けても、誰よりも君の幸せを願う。

たとえ独りでも時の試練を超えて行く。

君が灯してくれた心の中の灯火を消さぬように。 



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