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カメムシを見ると、アヤツのせいで緊急事態に陥りかけた時のことが蘇る。

昼に窓掃除をしている時、カメムシに騙された。

隅っこにじっとしているから、「もうお亡くなりになっているんだろう」と何も考えずに箒でべしっと払いのけた。

払いのけたつもりだったけど、チカラがうまく伝わっていなかったようだ。思っていたより飛距離が出ていない。見えないところまで吹っ飛んでいく予定だったのに、30㎝も移動していなかった。

えー、もっとコロコロ飛んで行ってくれよ~

と思っていると、カメやんはもぞもぞ動いているようだ。

あー、騙されたーー。こんちくしょうめー(棒


カメやんと言えば、子がお腹にまだ滞在していた時のことを思い出す。臨月まではもうちょっとある時期だったと思う。いつでもカモン!とはまだ言えなかったあの頃。

当時、洗濯物は外に干していた。そして、夕方取り込んだ洗濯物は夜にまとめて畳むことに。すぐに畳まないのは、なんとなくだ。それ以上でもそれ以下でもない。

で、ばっさばっさと洗濯物を畳んでいると、裏返しのTシャツの番がやってきた。日焼けするのを防ぐために、きちんと裏返しで干していたあの頃。ちゃんとしてたね。

え?今?

今は洗濯物を尊重することにしたので、洗濯機から現れた状態をキープして干すことにしてる。もちろん、靴下でもなんでもだ。あらゆるものの尊厳を守りたい(←

畳む時にちゃんと表向けてるのでヨシとする。


と、それは置いといて、裏返しのTシャツに戻ろう。

裏返しのシャツを畳むために、まず表にひっくり返す。その後、おりゃっと床に広げたところ、ど真ん中にカメやんがいらっしゃった。

「うひぃぃぃぃぃぃぃいっぃ」

何とも情けない声が出る。

そう、ワタシは虫が大嫌いである。今は大分強くなったけど、当時はもう、これでもかっていうくらい虫が嫌いだった。ジャポニカのノートにはシールを貼るくらい嫌い。高校時代は理系に進み、生物をほとんどしなくて済んだのは本当にラッキーだった。


で、話を戻して。

その瞬間、ピキーン!とお腹が張った。
驚きと緊張のコンボは、思っている以上の攻撃力だ。

うおっ、コイツはヤバイ。ヤバイヤバイ。今出てこられたらヤバイ。
とりあえず落ち着けワタシ。深呼吸だ。

すーはーすーはー

バクバクする心臓。張るお腹。緊迫したこの状況。


カメやんのせいで。


しばらく横になり、深呼吸を繰り返す。そして、なんとか落ち着くことが出来た。

よかったよかった。本当によかった。

非常事態を脱して、ふとカメやんに目を向ける。カメやんはパニックになっていた間、微動だにせず待っていてくれていたようだ。

ありがとう。カメやん。



いや、全然ありがたくない。


それ以来、カメやんを見ると思い出す。

カメやんのせいで危険な状況になりかけた、あの夜のことを。


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ふくりと
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