有料ゴミ袋と 市長と とばっちり
私の住む地域では、一般ごみを出すとき、有料のゴミ袋を購入してその袋で捨てなくてはいけない。って、今時はそういう地域の方が多いような気もするけど。まぁ、それはとりあえず横に置いといて。
で、最近。新しいゴミ袋をセットしようとするときに、新品のゴミ袋が裂けるという不可解な現象にたびたび見舞われている。
10枚入りの袋から1枚取り出し、口をふんぬと開け、いつも通りにゴミ箱にセットしたにもかかわらず、なんだかゴミ箱とゴミ袋の口の大きさがマッチしていない。
ゴミ箱とゴミ袋がマッチしていないということは、何気なく放り込んだゴミがゴミ箱とゴミ袋の隙間に落ちて行くことであり、隙間に落ちていくということは袋の中に納まらないということでもあり、ゴミ捨ての時に袋を出した後、底に溜まっているゴミを救い取らなくてはいけないということでもあり、ゴミ捨てのめんどくささが2段階くらいアップするということでもある。
と長々と書いてみたけれど、まぁ、何が言いたいかと言うと、
『ゴミ袋の強度が弱ってきているのではないか?』
ということ。
思い返してみると、ゴミ袋が有料化した当初の有料ゴミ袋はもうちょっと分厚かったような気がする。そして、もう少し硬かった。
今のゴミ袋のように、ちょっと引っ張るだけでびよ~んと伸びてはいかなかったし、伸びてさらに弱くなった部分からぴーっと裂けていくなんていうこともほとんど無かった。むしろ、そうなった記憶がない。
ということは、やっぱり有料ゴミ袋の製造過程で、ゴミ袋の原料を省エネしているのではないかということになるわけで…。
そんなことを考えているとき、タイミングよく市長からメールが来た。
ピロリロリン。
思わずワタシは
「最近、ゴミ袋に関して何かお聞きになられてませんか?」
と、そのメールに返信しようかと思ってしまった。
(もちろんそんなことはしていない)
こんなことを書くと、市長と仲がよいような印象を持たれるかもしれないけど、もちろんそんなことはなく、ワタシと市長の関係は一言でいうならば
『ワタシは市長を知っているが市長はワタシをこれっぽっちも知らない』
そんな関係である。
なので、さっき言った「市長から来たメール」というのは、市役所が発信している市長メールのことで、登録している市民全員に届くメールだ。
ちなみに、このメールは市長の近況がかなり詳しく綴られていて「○○へ行ってきました!」みたいな報告がてんこ盛りなので、うちの市長はかなりフレンドリーな人なのだと思う。
対面したことないから知らんけど。
とまぁ、そんなある日。
私は汗だくになりながら布団の解体作業に精を出していた。
カッターナイフとハサミ、そしてノコギリを駆使しながら敷布団を解体していくワタシ。
どうして布団を解体しているかというと、布団を解体して45リットルの袋に無理やりでもなんでも詰め込んでしまえば、我が市では「可燃ごみ」としてこの布団を回収してくれるからである。
電話が大嫌いなワタシは、粗大ごみを申し込む電話ももちろん嫌い。なので、電話をしなくて済むのなら、いくらでもマンパワーをじゃんじゃん使う。それはもう、呆れられるくらいには。
そんなワタシを見て、我が母は「あほちゃうか」と、いつも冷たい目をしながら言い放つ。ちなみに、この「あほちゃうか」に含まれる優しさ成分は、ほぼゼロに近いと思っていただけるといいかもしれない。
情け容赦のない「あほちゃうか」である。
そんな我が母はワタシとは正反対で、なんでもかんでもすぐに電話する。
「電話したらええやん」「聞いたらええやん」
挙句の果てには電話をしないワタシに対して「私がまた電話するんかい!」と半ギレになりながら電話をかけ始める。
ひとことも「電話かけて」なんて言ってないし、ましてや、電話をして欲しそうな素振りなんて一切していないし、「なんとかなるやろ」と自分の中で決着がついているにもかかわらずキレられるこの理不尽さは、何度味わっても慣れないものである。
と、話を戻して。
首筋を流れる汗に、解体した布団の中身や舞い上がった埃がペタリと張り付き、不快度MAXな中、ついに解体作業の終わりが見えてきた。
後は袋に詰めるだけ
汗とホコリでそこら中が痒い中、ワタシは袋の口を縛り「おわったー!」と達成感に包まれている自分の姿をやや現実逃避気味に想像しながら、布団の残骸を袋の中に押しこんだ。
”ぎゅっ。ぎゅっ”
“スカー“
いきなり、異様なくらいに手ごたえが無くなった。
これはもしや……
手の先にある摩擦係数ゼロのビニール袋に目をやると、想像通り端っこからピーっと盛大に裂けていた。
…
…
…
なんともやり切れない気持ちになったワタシはスマホのメールアプリを起動すると、市長からのメールをそっと開き返信ボタンを押した。(嘘)
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