花粉症でもパイロットになれる?
こんにちは、あらいぐま機長です。
今日は花粉症でもパイロットになれるのか、実際に花粉症でも飛んでいるパイロットがいるのか説明します!
実はかく言う僕も花粉症で、春や秋はいつも辛いんですよ。鼻水がじゅるじゅるするし、目が重たくなります。さらに気圧の変化で耳が詰まっちゃうと大変だから、降下中の耳抜きも欠かせません。
昔からコックピット内でもマスクがつけられたらいいのになーって思ってたんですけど、ついこの間までコロナのせいでコックピットでもマスクが強制になっちゃいました。
でも実際マスクをつけてフライトしてみると、喋りにくいし、管制官もマスクをして話すもんだからATCも聞き取りにくいし、サングラスやメガネが曇っちゃうしでいいことが一つもありませんでした。
ここまで言っといてあれなんですけど、みなさん、花粉症でもパイロットになれると思います?
僕が飛んでるくらいだから実際にはなれるんですけど、僕も大学時代には不安だったんですよ。
ほら、パイロットって航空身体検査が厳しいって言うから、ちょっとのことでも気になっちゃうんですよね。
でもその辺ってちゃんと決まってて、花粉症の程度とか、飲んでいい薬とかも決められてるんですよ。
また僕が花粉症でフライトをしていて困ったことはない?みたいなことも話していこうと思います。
花粉症
早速ですけど、花粉症について簡単におさらいしておこうと思います。
花粉症っていうのは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状のことです。医学用語では「季節性アレルギー性鼻炎」っていうみたいです。
この中で鼻の三大症状と言われるのが、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです!日本人の4人に1人が花粉症だと言われているくらいなので、もう国民病ですよね。
航空身体検査マニュアル
それで花粉症でもパイロットになることができるのかどうか、どうやって調べるのかっていうと、これは航空身体検査マニュアルに書いてあります。
航空身体検査マニュアルから花粉症について引用していきます。まず鼻について見ていきましょう。
まず航空身体検査では『高度な鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎』は不適合、ダメですということになっているんですよ。『高度な鼻閉』ってどれくらい?というのが疑問として出てきますね。さらに読み進めると、4 評価上の注意のところにアレルギー性鼻炎について1-7 アレルギー疾患を参照と書いています。飛んでみましょう。
ここでもまず『航空業務に支障を来すおそれのあるアレルギー性疾患がないこと。』と書いています。
この『航空業務に支障をきたす』って言葉は航空身体検査マニュアルにはよく書いてあるんですけど、つまりは『鼻水とかがじゅるじゅるすぎて操縦なんかしてられないよ!』っていう状態のことですね。
さらに読み進めてみましょう。
ここでも不適合状態のところに『高度な鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎』と書いているじゃないですか!
え、やっぱダメなの?って感じですよね。さらに読み進めましょう。
4ー1、評価上の注意のところに『鼻汁等の症状が軽微であり、航空業務に支障を来すおそれのない場合は適合とする』と書いてあります。
つまり症状が軽くて操縦に問題ないならOKですよってことですね。
さらに4−2を読むと、『アレルギー性の諸症状が外用薬、内服薬または減感作療法により抑制されている場合は適合とする』とあります。
さらに使用できる薬や航空会社の産業医による副作用の確認があれば使用できる薬のことが書いていますね。
つまり薬が使えるんですよ。花粉症の薬ってたくさんありますけど、パイロットが使っていい薬って決まってます。
アレグラとか、ビラノアとか色々あるんですけど、ちゃんと会社の許可を取って、フライトのない日に3日間とか試しに使って、眠気とかの副作用がないことを会社のお医者さんと確認すれば、薬を飲みながらでもフライトを行うことができます。
僕も最近はこの制度を利用していて、春はアレグラを飲んでいます。
つまり結論としては花粉症でも程度が軽ければOK、また重度であっても許可されている薬で症状が抑えられていればOK、ということになります!
あとさっきちょっと触れましたが、パイロットって飲んでいい薬が決まっていて、これが結構厄介です。
ちょっと風邪気味かなーって時に勝手に風邪薬とか飲めないんですよ。
風邪薬とかって眠気とかの副作用があったりするから、その状態でお客さんを乗せてフライトをするわけにはいきませんよね。だから飲んでいい薬も決まっているし、基本的には会社の産業医に相談してどうするか決めなければいけません。
またこの前どれくらいのレベルなら大丈夫?という質問を頂きました。
どれくらいの程度かってちょっと難しいんですけど、僕の場合は薬を使わないと体調の悪い日にはダラダラと鼻水が流れ続けてしまいます。しかし上空では花粉は飛んでいないし、機内の空気は循環されているのでフライト中はとっても快適です。そして着陸をした瞬間に『クシュん!』ってこともあります。
航空身体検査のQ&Aにも記述がありますが、アレルギーの程度を表すIgE値っていうのも特に決まりはないんですよね。
これはつまり元々の症状はあんまり問題ではなくて、規定内の薬や対処療法によって症状が緩和されていればOKです、ということなのかなと思います。
他のパイロットを見てみても、薬や減感療法を行っているという人はよく聞きますが、仕事中ずっと鼻をかんでいる…という人は見たことがありません。
他にも鼻の粘膜のレーザー治療はやっていいの?とかもこのマニュアルのQ&Aに書いているので花粉症の人は読んでみてください。
しかしパイロットを目指している人は自分で判断せずに、まずは航空身体検査の資格を持っている医師に相談することをおすすめします!
医学のことって一般の人と医者じゃ持ってる知識が全然違うし、自分の大事な体のことですからね。
最後に僕が花粉症で困ったことなんですけど、実はあんまりないんですよ。
昔は薬も飲まずにフライトしていたんですけど、飛行機って換気がしっかりしているし、高い高度では花粉がないので、多分機内に花粉ってそんなにないんですよ。
通勤中とかはマスクにメガネと完全防御してますけどね。
ただこれは程度にもよると思うので、気になる人は血液検査でどの花粉にアレルギーを持っているのかとか、どれくらい重度なのかとかも調べることができるので、耳鼻科に行ってみてください。
今日はここまで。パイロットと花粉症について説明しました。
読んでいただきありがとうございました!
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