Netflix「イカゲーム」の世界的大ヒットと「成長と分配」の新しい資本主義
韓国制作のドラマ、Netflix「イカゲーム」が配信開始から4週間で世界1億4200万世帯に視聴され、第3四半期の業績報告で売上げ、利益ともに前年より大幅にアップに貢献したとのこと。
日本では、自民・岸田総裁が、「成長と分配の好循環」で新しい日本を切り開くという。「新しい資本主義」を実現するための会議も開く。
この二つのトピックスから、これから起こりうる混乱と方向性、そして次に来る「主流"X"」を考えてみたい。
「競争と独占の悪循環」と「成長と分配の好循環」
「イカゲームの暗い物語の中心には、就職と結婚、そして階層を上がるために孤軍奮闘する、韓国の平凡な老若男女が感じる挫折感が描かれている。これは暗鬱な経済展望が韓国社会の悩みの中心にあるということを立証している」
「イカゲーム」はある意味「競争と独占の悪循環」の"資本主義的"世界観を余すことなく描いた作品である。世界中でヒットしているということは、各国で"資本主義的"世界観が、リアリティあるストーリーとして浸透しているということだろう。
『だるまさんが転んだ』『カタヌキ』『綱引き』『ビー玉遊び』といった子供の遊び=ゲームにより、競わされ=競争、お金を奪っていく=独占。そしてそのゲームを行うプレイヤーをガラス越しに見る資本家たち。思わず"ブルシット・ジョプ"という言葉が思い浮かんだ。
そんな「競争と独占の悪循環」の資本主義ではない、「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」。いったいそれはどういうものなのだろうか?
東京・兜町で「論語と算盤」を読む
東証のほど近く、日本橋兜町に10月1日にオープンした複合ビル「カブトワン」。
4Fのブックラウンジ「Kable Book Lounge」には「渋沢栄一」コーナーがある。そこで見つけた本にヒントがある。
道徳と経営は合一すべきである。日本実業界の父、渋沢栄一が、後進の企業家を育成するために、経営哲学を語った談話録。論語の精神に基づいた道義に則った商売をし、儲けた利益は、みなの幸せのために使う。
今年のNHKの大河ドラマの主人公、そう日本資本主義の父「渋沢栄一」。
資本主義ど真ん中の、証券取引所に最も近いブックラウンジで、道徳を説く。
持たない生き方は資本主義にマッチするのか?
「本来無一物」(物事は本来すべて空であり、執着すべきものはない)。
これがどう資本主義社会で両立するのか。これができるのが「新しい資本主義」なのか。
持たないで成長する、まるで禅問答のような。
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