もし、会社のメンバー全員にコーチング的スキルがあったら何が起きるのか?
こんにちは、さいです。
株式会社コーチェットでデザイナー兼コーチとして働いてます。
また、業務委託で複数の企業に所属し、プレゼン資料の作成や講師業、デザイン学校の運営サポートなどをしていたり、個人でも図解の制作や講師業、コーチングを提供していたりします。
このnoteでは日々複数の企業と関わりながら働いている僕の目線から、「メンバー全員にコーチング的スキルがある株式会社コーチェットという組織が、他の組織とどう違うのか?」を紹介してみたいと思います。
僕個人の独断と偏見で、全部で6つの特徴をお伝えします。コーチング的スキルを組織全体が持つと何が起きるのか。一つの事例としてご覧ください。
また、「コーチングとはそもそも何か?」については、下の記事がわかりやすいと思います。👇
特徴1:Zoomは基本全員画面オン
コーチェットではオンライン会議ツールにZoomを使っているのですが、社員全員が参加する全体ミーティングから1on1のミーティングまで、何か理由がない限り画面オフの人がいません。全員の顔が見えている状態がデフォルトです。
逆に画面オフの時は、名前を「さい(最初耳のみ)」としたり、チャットで「体調優れず画面オフとさせてください」と伝えるなど、何かしら理由を書いています。
しかし、「画面オフにせず顔を見せましょう」というルールはどこにもありませんし、"暗黙の了解"もありません。コーチングが相手の表情や仕草からも情報を読み取ることをするからか、コーチェットでは画面オンの状態が"自然"になっているのです。
特徴2:毎週、対話にはじまり対話におわる
コーチェットでは毎週月曜の朝にチェックイン、毎週金曜の夕方にチェックアウト、というミーティングがあります。チェックインとチェックアウトでは毎回"テーマ"が設定されていて、そのテーマに沿って一人ひとりが順番に話す、他の参加者はそれを聞く、という時間です。
テーマは例えば「週末にあった嬉しいできごと」「今週レベルアップを感じたこと」などで、回答も仕事と関係あってもなくても構いません。
メンバー一人ひとりがやったことや感じたことをみんなで聞き、スタンプやチャットでリアクションをしたり、純粋に気になったこと聞いてみたいことを質問する。
そんなメンバー同士の承認と対話を通して一週間が始まり、一週間が終わります。これも聞くこと、対話することがコミュニケーションのベースにある組織ならではの仕組み・文化かもしれません。
特徴3:お互いのWillを大事にしている
「今どんなことを感じてる?」「●●さんはどうしていきたい?」「どうするとテンション上がりそう?」「何か話しておきたいこと、場に出しておきたいことはある?」
チェックインやチェックアウト以外の普段のミーティングでも、このような個人の感情や意志を扱う質問が自然と起こっています。
もちろん仕事である以上、目的を達成するためにやるべきことはやるのですが、その中でも当事者がどうしたいのか、どう進めたいのかを大切にしている姿勢が随所に感じられるのがコーチェットの特徴です。
トップダウンで決まる戦略や方針についても、丁寧に決定事項の背景を伝えられた後に、自分たちがどう感じるか、どうしていきたいか、もっと知りたいことは何かなど、"個人"に焦点を当てて話し合うワークショップの時間が必ずと言っていいほど組み込まれています。
個人の意志をないがしろにせず尊重する姿勢が、普段の仕事の中に溶け込んでいるなと感じることが多々あります。
特徴4:創業以来、正社員の離職者ゼロ
コーチェットのプロダクトは今、絶賛過渡期の真っ只中にあります。文字通りの"スクラップ・アンド・ビルド"で、2022年は新しい形のプロダクトの試作品を作っては壊し、作っては壊しの1年間でした。(来年お披露目できそうです🙌)
チーム編成も毎クォーター、3ヶ月ごとに変わっていました。
そんな変化が激しく、また作ったものが「世の中に出る」というわかりやすい結果に結び付けられない状態のある意味苦しい1年だったのですが、正社員の離職率は0%でした。
もっというと、2020年1月の創業以来、正社員は離職者がいません。ゼロです。(離職ではなく、働き方・関わり方を変更された方は1名いらっしゃいました)
あまり詳しい内情はお伝えできないのですが、これだけのカオスの中でメンバー全員がまだ見えない未来に向かって行動し続けられるのは、それぞれが未来を見据えたり、お互いを信じる力があってこそだと思います。
特徴5:居心地が半端ない
離職率0%というデータに対してこちらは完全な主観ですが、とにかく居心地が良いです。この居心地の良さというのは「オフィスが綺麗」とか「社食が美味しくて無料」とかの物理的な環境ではなくて、ひとえに人、人間関係の心地よさのことです。
お互いがいつでも顔を見てリアクションしあって対話ができる。人の話をまず聞くことができる。仕事を積極的に手伝おうとしてくれる。個人の意志や感情を大切にしてくれる。温かい言葉をかけてくれる。
「相談したい」と伝えて断られたこともありませんし、そもそも相談しづらいなと感じたこともなく、どんな小さなもやもやも傾聴し向き合ってくれる安心感があります。
あとは愚痴がないのもすごい。「あの人はああだから困るよね」ではなく、「あの人がああなのはこういう良い所の裏返しでもある。あの人がもっと動きやすくなるにはどうしてくのが良いだろうか」という姿勢で、個人の特徴を活かし育て合う方向に会話が向かっていきます。
このような文化は一朝一夕ではなく、コーチングのスキルだけを身に着けただけで作られるものではないとは思う一方で、コーチングの"姿勢・あり方"が一人ひとりに染み付いている組織だからこその特徴だなとも思っています。
特徴6:”作業ではなく仕事をする"意識がある
「コーチェットの人たちは作業ではなく仕事をする意識が高いな」と、この記事を読んでいて感じました。
この記事では"作業ではなく仕事をする"ための仕事術や考えかたが紹介されているのですが、その中に「立ってなかろうが、上司も使え」という考え方があります。
これを読んで僕は「全員にコーチング的スキルがあると、上司部下という役割を超えて問題解決のための行動をしやすくなるのかもしれない」と思いました。
コーチングはコーチングをする側の"コーチ"と、コーチングを受ける側の"クライアント"という役割があります。コーチェットではこの2つの役割を、役職問わずおたがいに担いあっているのです。
たとえば僕の場合は、CHROと毎週15分ずつ、お互いにコーチングをしあいます。僕がコーチでCHROがクライアントのコーチングが15分、僕がクライアントでCHROがコーチのコーチングが15分、といった具合です。
このように日常的な相互のコーチングで役割を入れ替えていると、「職種 = 役割」という感覚が強くなります。僕はデザイナーという役割で、CHROはCHROという役割で、会社に貢献するという感覚。そこに"上下関係"という意識はありません。
すると、「上司を上司としてだけ捉えるのではなく、仲間であり、あるいは問題解決の依頼先として意識する」という複数の役割があること、それを切り替えることが当たり前になり、作業ではなく仕事をしやすくなるのです。
これも全員がコーチング的スキルを身につけている組織ならではの特徴なのかなと思います。
ここまで僕個人の独断と偏見で、メンバー全員にコーチング的スキルがある組織の特徴6つをお伝えしました。
Zoomは基本全員画面オン
毎週、対話にはじまり対話におわる
お互いのWillを大事にしている
創業以来、正社員の離職者ゼロ
居心地が半端ない
”作業ではなく仕事をする"意識がある
これだけみるとどれも良いことばかりに見えるかもしれません。しかし、たとえば「離職者ゼロ」という特徴は裏を返せば、「メンバーが固定化され視点が固まっている(≒組織に新しい風が吹きづらい)」という見方もできます。
「コーチング的スキルをメンバー全員が持っている」という言い方を選ばなければ"異常"な特徴は、捉えかた、使いかた次第で良くも悪くもなります。
しかし、そういったリスクも、対話し認め合い尊重しながら仕事を進めていける力があれば、きっと乗り越えていけると思うのです。