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メタバースはメディアの誇大広告か、それともチャンスになるか?

メタバースという言葉は、1982年にNeil Stevensonの小説『Snow Crash』の中で初めて使われた言葉というのはよく知られた話ですが、ここ1年ほどでその知名度は急激に高まっています。

Stevensonのメタバースは、登場人物が全体主義の退屈な現実から逃れるために行くことができる、仮想の場所でした。今日では、メタバースはインターネットの未来の始まりで、今後10数年間のデジタル・イノベーションを形成する主要なテクノロジーのひとつとなる可能性を持っていると言われています。ビジネスへのインパクトはまだ初期段階であり、メタバースの広がりについては、アイデアが無数にある段階です。

メタバースは次世代のインターネット

インターネットの第一世代であるWeb 1.0は、主にデスクトップと消費者の適用が中心でした。インフラに焦点を当て、"Internet of Data "と名づけられました。

Web2.0は、モバイルやスマートフォンでの体験が中心で、シェアリングエコノミーの代名詞であり、"Internet of Social "と考えられています。

私たちは今、Web3.0(略してWeb3)の黎明期にいます。これは、単なる人のつながりにとどまらず、物理的な世界の体験を高めるものです。所有することに重点を置き、"Internet of Place "として形を整えつつあるのです。これらの体験を実現するために、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、ブロックチェーン、クリプトなどの技術に大きく依存しています。

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現状のメタバース活用例

現在多数あるバーチャル世界のうち、世界的に使われている主要なプラットフォームはDecentraland、Sandbox、Robloxなどがあります。メタバースに進出する企業は、ブランドマーケティングや利用者拡大に力を入れ、事実上のゴールドラッシュを迎えているようです。
ここでは、私が特に興味深いと感じた事例を紹介します。

  • Nike:ファンがつながり、創造し、競い合う場として、RobloxにNIKELANDを作った

  • Coca-Cola:メタバースから生まれた全く新しいフレーバー、「Coca-Cola Zero Sugar Byte」を生み出した

  • JPMorgan Chase:デジタル肖像画、来客用ラウンジ、虎が散歩しているロビーなどを含む、メタバースにおける最初の銀行支店を開設

  • Pokémon:ポケモンは2021年の25周年を記念してSelfridgesと提携し、ファンがバーチャルとリアルの限定ポケモングッズを購入できるバーチャル都市「Electric/City」を建設

  • Samsung and Hyundai:バーチャル採用説明会を開催。またSiemensはバーチャル会議を開催し、この会議形式がデータや情報の交換に高い効率をもたらすことを提唱

先日、トロントのCollision Conference 2022で開催されたCorporate Innovation Summitに参加し、シニア・テクノロジー・リーダーたちのラウンドテーブル・ディスカッションのモデレーターを務める機会がありました。メタバースとその関連技術をめぐるトレンドと、企業や企業ブランドにとってのビジネスチャンスについてのディスカッションをしました。

そこで、メタバースの「キラーアプリ」はまだ一つもないことが明らかになりました。メタバースはデジタル体験の次の進化である、というのがイノベーションリーダーの一致した意見ではありましたが、メタバース関連の投資はすぐに回収できるものではないため、ビジネスケースを作成し、ROIを明確にすることは困難であることも認識しています。

企業ブランドの中には、真っ先に飛びつく企業もあれば、傍観者として戦略を練っている企業もあり、導入のスピードは様々だったようです。数あるユースケースの中でも、特に注目されているのは、このようなものです:

  • 新入社員や企業パートナーへの教育・指導

  • バーチャルウォータークーラー(井戸端会議)やラウンジを利用し、ゲーミフィケーションやトークン化されたインセンティブと組み合わせて、従業員の積極的なエンゲージメントを促進

  • ホワイトボードを含む、チームコラボレーションとブレインストーミング

  • ARを利用した没入型顧客体験の提供

  • 産業機器のトラブルシューティングやVRを使ったリモートアセスメントで、稼働率を最大化

一方、皆さんが悩んでいて、活発なディスカッションが交わされた課題はこんなものでした:

  • コーポレートメタバースはビジネスにどのような関連性と影響を与えるのか?

  • ブランドはいかに早くメタバースの導入に適応し、消費者との関係を深めることができるか?

  • アーリーアダプターが抱えている課題とは?

  • ファスト・フォロワー(他人にリードを任せ、自分はすぐ後ろをついていく人)にデメリットはあるか?

メタバースは未来なのか?

2022年後半に入り、多くの人が、トレンドのまま廃れるのか、それともメタバースが本当に今後数10年のデジタル体験を作るインターネットの新しいビジョンとして出現するのか、と考えているようです。私は、この新しいデジタル技術が主流になるには、ギャップを埋め、摩擦を減らすことが必要だと考えています。私はメタバースの将来についてポジティブで、実質、相互運用性、長期的なビジョンに焦点を移す時がきていると考えています。


12/3(土) メタバース x クリエイター イベント開催!

エイクエント ジャパンでは、メタバース空間で活躍するクリエイターと、その空間を生み出すプラットフォーマー(企業)の両面から、今後メタバースで求められるクリエイター像を読み解いていくイベントを開催します🎤⁠

日時:2022/12/03 (土) 13:30 - 16:30
場所:LIFORK AKIHABARA Ⅱ(東京 秋葉原)&オンライン
参加費:無料
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元の記事(Aquent Studios)👇

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