わざわざカタカナにした訳
こんにちは、きゃわです。
私の名前は、
漢字に意味を込めたわけでも、
女の子らしくひらがなでもなく、
カタカナで「ユミ」と付けられました。
小学生の頃、”行けば遊び相手が誰かしら居る”という単純な理由で、近所の児童館へ通っていました。
学童保育に入っていた訳でもなく、一般参加として遊びに行っていました。
児童館に入るためには受付で名前を書きます。
A4の紙が行で区切られ、名前と住所を書くだけの簡単な受付です。
どんなに毎日のように顔を出す常連でも、顔パス制度なんてものは無く、毎回書きます。
ある時ふと、皆の名前が漢字なことに気付きました。
それまでにも小学校で張り出される掲示物や、名札等でずっと目にしていたはずなのに、そのとき何故か自分がカタカナであることが気になったのです。
それ以降、「ゆみ」と書いてみたり、「由美」と書いてみたり色々やりました。
そういえば、なんで私はカタカナなんだろう?
同じ学年に「ゆみちゃん」はいっぱい居る。
「裕美」「優美」「佑視」「由実」「有未」
カタカナなの私だけだ。
「あゆみ」「さやか」「まゆみ」
ひらがなの子は他にも居るのに、どうして私はそのどちらでもないんだろう??
疑問に思ってしまったら止められず、母に聞きました。
すると母は『お父さんに聞いて』と回答を投げました。
おとなしく父の帰宅を待ち、同じ質問をします。
父の回答もまた、『お母さんに聞いて』と投げたのです。
そんなことで諦められない私。
しつこくなんでなんでと繰り返します。
父から出た回答は簡単なものでした。
『ゆみっていう名前は多いから、
カタカナなら目立つと思ったんだ』
はぁ??
ならそもそもゆみにしなければよかったじゃん。
キラキラネームなんて無かった時代ですが、
それでも珍しい名前は多くありました。
「ゆみ」が埋もれるなら、埋もれないような名前を付ければいいだけの話です。
それ以降父はこの件に一切回答してくれなくなりました。
それもその筈、後に私は理解することになります。
どっちに聞いても納得のいく回答が得られないことにイライラした私は、改めて母に聞きに行きました。
「お父さんに聞いたけど、お母さんに聞けって言われた。
どうして2人ともちゃんと教えてくれないの!?」
母は編み物の手を止めることなく、私に一瞥もくれないままつまんなそうに話を始めました。
『あなたのユミっていう名前はね、
お父さんの昔の女の名前なのよ』
えっ…。昔の女って何?
私の名前は他人の名前なの?
小学生の頭は大混乱です。
母曰く、
・父には昔、将来を約束した女性が居た。
・その人の名前が「ゆみ」だか「ゆみこ」
・母はずっと娘が欲しかった。
・なんて名前にしようか考えていたが、産後入院中
父が勝手に名前を決めて出してきた。
当時の私にはその話の大きさが判りませんでした。
今考えれば、親父なんてむごい事しやがる!!
と思います。
私が母の立場なら発狂するかもしれない。
兄を出産後、翌年母は流産します。
でもどうしても娘が欲しくて、ようやく念願叶って生まれたのがその12年後。(兄と私は14歳差です)
そんなドラマを乗り越えてようやく生まれた娘。
それを自分の身動きが取れない間に勝手に、
しかも自分と関係ない過去の女の名前を付けた父。
お母さん…よく刺し殺さなかったね…。
とても残念な理由により、私が「ゆみ」と名付けられた経緯、それ故にカタカナが選択されたこと。
本当、うちの小学校で
”自分の名前の由来を調べましょう”
なんて作文課題がなくてよかった。
この話がいかにむごいかを理解したのは、高校受験の時に、ゲシュタルト崩壊を起こす程自分の名前を書かされた時です。
何度も何度も「ユミ」と書く間にふと記憶がよみがえり、母がつまらなそうに話す顔を思い出しました。
お母さん…そんな名前つけられたのに、可愛がってくれてありがとう。
本当に感謝しています。
因みに兄は漢字ですが、画数が多いです。
祖父からもらった一文字が難しく、子供に覚えさせるのが大変だったそうで、次は簡単な名前にしようと思ったのも理由にあるとか。
カタカナで便利なこともありましたし、不便なこともありました。
大人になった今は、この話もネタのひとつだなと思えます。
「横着せずにちゃんと名前書いてください」
と言われたこともありますし、本名??と聞かれたこともあります。
エピソード込みでインパクトは十分。
総画5画! ”F7"一発変換!!
こんにちは、ユミです。
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