見出し画像

今日も怒られた51歳なのに

今日も娘に怒られた。
高校2年生ともなると、もはや娘ではなく、女人。
私は今日もまた女の人をひとり、怒らせてしまった。

まったくもって、娘が正しい。
正論なんてもんじゃない、なんていうか、もはや彼女の心の叫び。
叫ばせてしまい、ほんとにごめん。

「今日のゴハンは?」
娘が一言、当たり前のような日常会話をしただけ。
しかし私は、ん”-!ん”-!となってしまった。

わかってる。正解はわかってる。
いかにもお母さんらしく
「今日は今から買い物に行くよ。何が食べたい?」って言えばいいだけ。
その一言が、言葉にならない。

私の頭は、ひとつのことしか動かない。
たぶんふつうの母親は、仕事をしながら、家事をしながら、PTAをしながら、ママ友と電信柱の下でゴシップしているときでも、
いーーーっつも、頭の片隅で
「今日のごはん、どうしよう」と考えている。

何かをしながら別のことを考える
私にはコレができない。
できないというか、あ”-あ”-と脳がバグる。

娘は怒った。
「どうしてお母さんはん”-ん”-ってなるの!?」
「なんで困ったときに自分の頭をぐしゃぐしゃにかき回すの?」
「お母さんがまったく理解できない」

たしかに。たしかに、そうだ。娘の言うとおり。
娘に説明をする。自分なりに謙虚に、そしてわかりやすく。
それが地雷だってことも気づかずに。

お母さんはさっきまで仕事をしていました。
今、書いている本の原稿に集中していました。
今日も過集中でトイレもいかずに仕事にロックオン。
時間経過の感覚はまるでありません。
朝9時からはじめ気づいたら夕方5時でした。びっくりしました。
夕食のことを考えてなかったので、どうしようと思いました。
でもしかし、お母さんの頭の中のコンピューターは高速回転を続けています。
お母さんの頭の中のコンピューターはすぐにはとまりません。
今も高速回転をしています。とまらないのです。
ごはんのことを考える脳の準備がまだできていません。
私の頭の中のコンピューターが高速回転をしているとき「ごはんは?」と聞かれると、コンピューターはバチン!と強制終了されます。
この強制終了が、すごくきつい。あ”ーあ”-ってバグる。

ほぼ毎日、コンピューターは強制終了されます。
夕方時計を見ると5時
コンピューターが高速回転のまま、スーパーマーケットにいきます。
私はスーパーの入り口でカゴをもつ、そのとき、苦しい。
野菜の前を通っても、お魚のところを通っても、お肉のところを通っても、
私の頭の中は、まだ仕事をしている。したがっている。
なにも思いつかない。
脳をクールダウンさせるために、まずはマーケットを一周。
アイスやヨーグルトのあたりで、コンピューターは速度をおとしはじめ、そのタスクを仕事→夕食つくりに変更していく。
だから私は、スーパーマーケットに行くのがほんとうにイヤだ。
私の頭の中で調子よく高速回転しているコンピューターを、
もっともっと仕事ができるコンピューターの回転を、強制終了しなくてはならない。
パソコンだって毎日強制終了したら、壊れる。
私も同じ。
だから、ん”-ん”-ってなる。

って、説明が終わるやいなや
娘の心の叫びふたたび。
「お母さんが何を言っているのか、まったくわからない!」
「頭の中のコンピューターって、なに!?高速回転とか、まじムカつく!」
「私はただ、ごはん何ってきいただけじゃん!なんでそうなるの!?」
「それもアスペルガーだからそうなるの!?意味わかんない!」
って、
今度は娘が、自分の頭をぐしゃぐしゃとかきむしった。

そして最後に
「お母さんは、人を怒らせる天才だ」って。

あーそれ、子どものとき、実母にも言われたなーって。

そんなことを思い出す、2024夏休みのおわり。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?