水温を上げるヒーターの仕組み~部品同士の連携作業
育てるを育てる。AQSimです。
外気が寒くなる季節、水温ヒーターの稼働を抑えることが魚の飼育コストを抑えるポイントになります。
先週の記事では
梱包シートを使って簡単にできる方法を1つご紹介しましたが、
そもそもな話、
水温ヒーターはどんな仕組みで動いているのでしょう??
これを知っておけば、知恵を活かして別の節約の仕組みを思いつくかもしれません。
水温ヒーターの3ポイント
一般的に水温ヒーターは、
・ヒーターエレメント
・温度センサー
・サーモスタット
と呼ばれる部品がセットとなっています。それぞれが役割を果たすことにより、水槽内の水温を適切な範囲に保っていくことができているのです。
それぞれの役割とはどんなものでしょうか?
1.ヒーターエレメント
これが水温を温める本体、そして電力消費のメインです。
電気のエネルギーを熱エネルギーに変換することで水を温めます。
ニクロム線などの電気抵抗の大きい材料に電流を流すと発熱します。
これは「ジュール熱」と呼ばれるもので、金属内を電子が動く際に原子や不純物にぶつかることで発せられる熱です。抵抗が大きいほど、あるいは電流が大きいほど熱を発します。
この仕組みは電熱コンロや、部屋を暖める電熱ヒーターとも共通しますね。
2.温度センサー
その名の通り、水槽内の水温を測るものです。
一般的に水温センサーには、周囲の温度によって特性が変化する物質が利用されます。電気で動くものについては、温度の変化に対して電気抵抗の変わる素材が使われるようです。
このセンサーは正しく水槽内の水温を測っている状態になっているかチェックが必要です。なぜならば、センサーが空気中に出ていたり、ヒーターで温めている水ではないところにあったりすると、後述するサーモスタットが機能せず、ずっと加熱を続けることになるからです。
魚への悪影響や設備の故障といった事故を起こさないために注意を忘れないようにしましょう。
3.サーモスタット
水温センサーが測った水温と、私たちが設定した水温を比較し、ヒーターエレメントの稼働をオンオフする部品です。
設定していた水温よりも低ければ、サーモスタットがヒーターエレメントを稼働。設定された水温よりも高くなったらヒーターエレメントをストップ。
これを繰り返しています。
とはいえ、設定水温をドンピシャ厳格に見てオンオフさせているかというと少し違います。
「ヒステリシス」と呼ばれる少し基準の幅に余裕を持たせる機能があります。幅を持たせることで過剰なオンオフを減らし、機械の寿命が延ばされています。
設定水温については、飼育魚の適水温に近い温度を調べ設定することが重要です。
水温をコントロールすることで摂食・産卵・活性など様々な状況を誘導することができます。それぞれの魚について適水温を把握する場合はこちらの記事をご参照ください。
まとめ:合わせ技の水温ヒーター
温める・測る・設定と比べ制御する。それぞれの役割が繋がることで、水温ヒーターとして機能するのです。シンプルな仕組みですね。
もちろん、ヒーターの能力には限界があります。
水槽から熱が逃げて冷えるスピードが速すぎたり、水槽がヒーターのスペック以上に大きいものであったりすると加熱が追い付きません。設定温度にどうやっても届かない場合はヒーターの数を増やしたり、より加熱能力の高いものを導入したりする必要があります。
市販のヒーターは、必要な電力、対応可能な水温範囲、設置に適した水槽のサイズがカタログスペックとして記載されていることがほとんどです。
今回ご紹介した内容を踏まえて改めてスペックを眺め、どの製品が適切かご判断ください。
他にも、水温ヒータ―の中身に関する話は色々とあるかと思います。ぜひコメントにて教えてください。
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