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仁と義 18章 仁侠短編小説抗争編 13(シリアスコメディ)
弱きを助け強きを挫く、昔ながらの仁義を重んじる関東頭鬼組。
その分家である、ダークヒーローなパブスナックレインボー5人組。
顔も容姿も見た目はキュートな二十歳のホステス。
見た目は可愛いホステスだが、根っこはヤクザなダークヒーローレインボー組、抗争編。
『入ります‥‥』
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前回のあらすじ
パブスナックレインボーにトラックが突っ込み、巻き添えになったラン(一之江将一(20)(いちのえまさかず))は病院に運ばれた。
幸い検査では特に異常は無く、頭皮の裂傷のみ、のはずだった。
それは組長‥‥いや、社長の氷菓子ガ◯ガ◯君 の成分、異性化液糖を使った、冗談で始めた組員異性化計画が成功を収めたかのようなものだった。
ランの身体の男性ホルモンが減少して、女性ホルモンが急激に増えだしたのである。
それに伴い、ランの「ふたなり」疑惑が浮上したのであった。
ランの異性化
舎弟頭 新島浩二を先頭に、ランの有料個室病棟へと向かった。
ドアをノックする舎弟頭 新島。
『ラン、入るぞ』
『はーい』
新島が部屋に入ると、ランは乱れた寝間着の襟元を、いそいそと直した。
頭に包帯を巻いているが、背筋を伸ばしてベッドに座る姿は、見るからに女性を現していた。
『浩二、家に帰れなくてごめんね。ご飯ちゃんと食べてる?』
『あ、あぁ。食べてるよ』
『ならよかった‥‥』
ランはそう言って、ハグをしてほしくて新島浩二に両手を伸ばした。
戸惑う新島。
ランがミオ達の視線に気が付き、ウインクをしてベッドを囲むカーテンを引いた。
『あらあら‥‥みんな外出よ‥‥』
『そだね』
『お幸せに〜』
『ラン色っぺー』
4人はそれぞれ呟き部屋を出た。
パブスナックレインボーへ第二の刺客
その2時間後、パブスナックレインボー周辺では、ギャング達が電線にスニーカーを引っ掛けて、自分達の縄張りを主張し始めた。
若い奴等のはしゃぐ声に、やかましいな、と思いながら、膝織一家によるパブスナックレインボー襲撃に備え、パブスナックレインボーの隣にあるアパートで待機している三澤謙二。(ケン)は窓を開けて外を見ると、いかにもチャラい感じの男達が左右のスニーカーの紐を繋げ、上に放り投げ電線に引っ掛けようとしていた。
そして5回目にしてようやく電線にスニーカーが絡み付いた。
男達の歓声が湧き上がった。
『何やってんだ、あいつらうるせぇな。電線にスニーカーなんか引っ掛けて』
ケンの言葉に、『ぬあぁ〜にぃ〜!?』と言いながら、ガバっと起き上がるカズ。
『どした?カズ‥‥』
『ケンちゃん、奴等が電線にスニーカー引っ掛けるのは、自分達の縄張り主張なんだよ。あいつらここが頭鬼組のシマだって知らねぇのかな‥。ケンちゃん、奴等懲らしめてやろうよ』
『ほぉ、そういう意味のスニーカーなら、奴等に取らせないとな!カズ、虐めてやろうぜ‥‥』
『いいねー、ケンちゃん!』
『俺も混ぜてくれ〜』
『よっしゃ!俺もいくぜー!』
ヒロとユキも楽しそうに参戦。
ヤクザ VS ギャング
カズ、ケン、ヒロ、ユキの4人は外に出て、わーわー騒いでいるギャングの集団に近付いた。
『君たちさ〜、あんな所に靴引っ掛けたらダメだよ。断線の元だからね。今すぐ取りなさい。撤去しなさい。俺達が大人しいうちに』
カズがやんわりと若者達に注意した。
『うるせぇよ!アンタには関係ねぇだろーが!』
『口のきき方知らねぇ野郎だな』
そう呟いてカズが一歩前に出た。
『今すぐあの靴取れ。目障りなんだよ‥‥取れ』
『うるせぇな!なんでテメーの指図受けなきゃなんねーんだよ!引っ込んでろ!』
カズは舌打ちをしながら、反発する男の首を右手で掴んで絞め上げて、左手で男の髪を掴み、後ろへ仰け反らせた。
『片付けろって言ってるんだよ!聞こえねぇのか?あぁ?』
カズの右手が男の頸動脈を絞め上げた。
男は首を絞められながらも、ポケットからジャックナイフを取り出した。
それを見逃さなかったカズは、膝で男の股間を突き上げた。
男はナイフを落とし、股間を押さえ膝を突いた。
それが合図かのように、ギャングの集団はカズ、ケン、ヒロ、ユキに襲いかかった。
喧嘩上等なカズたち4人だが、ギャング集団は十五人ほどいて、一部はパブスナックレインボーの応急修理されたドアを壊し、店内に侵入。
高そうな酒を持ち出そうとしていた。
カズたち4人は、それを阻止しようとしたが、ギャング集団の人数が多く、パブスナックレインボー店内に入る男たちを阻止できなかった。
一方、病院からタクシーで、パブスナックレインボーに向かっていたナッチ、メッチ、ティップ、ミオの4人。
だが店に着く手前のタクシーの中で、助手席に座っていたミオが店の前の異変に気付いた。
そこに、カズたちの顔を見留めたミオ。
後部座席の三人にも前方を指さし異変を知らせた。
『運転手さん、止めて。ここで降りる』
ミオがタクシーを止め、料金三千円を支払い、レインボー4人組はタクシーを降りた。
そして、店から酒を持ち出している男数人も目にしたレインボー4人は、ウ◯娘の如く一斉に走り出した。
続く
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関東頭鬼組
組長 頭鬼洋次郎(48)
若頭 阿久津龍一(38)
若頭補佐 石垣正樹(36)
舎弟頭 新島浩二(37)
相談役 相田真二(38)
構成員
荒巻和幸 通称カズ(23)
三澤謙二 通称ケン(25)
須藤弘道 通称ヒロ(23)
小林幸弘 通称ユキ(23)
他 30名
パブスナック レインボー組メンバー💕
メッチ
木ノ内健(20)(きのうちたけし)
(めんちきることが多い。何でも武器にする)
ナッチ
中沢義男(20)(なかざわよしお)
(よくナイフをちらつかせる)
ティップ
榊枝真二(20)(さかきえだしんじ)
(ダーツの矢を数本いつも太股に隠している)
ミオ
安桜芙美乃(20)(あさくらふみお)
(アイスピックを両足太股に6本常時備えている)
ラン
一之江将一(20)(いちのえまさかず)
(通販で買った伸縮警棒とスタンガンを持つ)
タクシードライバー
坂下一雄(さかしたかずお)
石頭一家
代表 石頭博 (49)(いしずひろし)
舎弟頭 水谷雄一(38) (みずたにゆういち)
若頭 三浦翔吾(37)(みうらしょうご)
若頭補佐 小澤誠 (36)(おざわまこと)
相談役 立石尚樹(35)(たていしなおき) (ミオの恋人)
組員40名
膝織一家
代表 膝織忠義(ひざおりただよし)
膝織一家舎弟頭 八木亮一(やぎりょういち)
若頭 安曇孝信(あずみたかのぶ)