撃攘の盾… 拾陸
表紙画
出典:防衛省ホームページhttps://www.mod.go.jp/j/policy/defense/nextfighter/index.html
次期戦闘機の開発についてより引用
大東亜戦争の理由
ウルオロシアナ軍は北海道領土奪還という名目で軍事侵攻のため制空権を取るべく大量の航空機を投入した。
しかし、鉄壁とも言える海上自衛隊、航空自衛隊の盾に阻まれていた。
ウルオロシアナは、日本の自衛隊が専守防衛だけの張りぼて軍隊と楽観していたことが間違いだったことだと思い知らされていた。
他国に類を見ないほどの国土防衛のための装備、練度に特化していた自衛隊が強固な盾に合わせて矛を露にしていた。
かつて、日本は過去の大戦(大東亜戦争)で亜細亜各国を侵略、植民地化を続けていた欧米列強を、亜細亜から追い出し日本の目的であった亜細亜各国の独立と母国日本を護り家族を護るという目的を達成した。
当時の米大統領ルーズベルトは、大東亜共栄圏に基づき東亜細亜、東南亜細亜を植民地化していた欧米各国を亜細亜から追い出し、亜細亜諸国を植民地から解放し、独立を促す目的のための日本軍との戦争の切っ掛けを模索していた。
ルーズベルトは大統領になる公約として、「米国は戦争はしない。従って国民を戦争へと誘(いざな)うことは決して無い」と国民に公言していた。
当時、日本主導で行われていた大東亜戦争で、旧日本軍によりイギリス、ソビエト連邦は植民地を追われ大打撃を受けていた。
そのような状況下で、イギリスの同盟国であった米国は、イギリスに参戦を強く求められていた。
しかし、ルーズベルト大統領は、アメリカは戦争はしない、国民を戦争へと誘う(いざなう)ことは決して無い、と公約で宣言していたため参戦したくとも切っ掛けをつかめずにいた。
次第にイギリス、ソビエト連邦が強力な旧日本軍の進撃により劣勢に追い込まれていくことに、米国は参戦の切っ掛けを作るべく日本へ罠を仕掛けた。
日本の亜細亜進撃を鈍らせるため、という建前で日本を煽り怒らせるため、鉄、石油、ゴム等の輸出を停止したのだった。
だが、日本は怒りを抑えつつ、米に対して粘り強く話し合いを求めた。
鉄も石油も絶たれれば、日本の目的である欧米による亜細亜各国の植民地解放と独立の道を絶たれてしまい自国防衛もままならない。
しかし、米国は話し合いを押し退け日本への輸出の禁止を確たるものとする「ハルノート」を日本へ通達した。
話し合いも儘ならないことと、もしもの米参戦に憂慮して日本は先手必勝の策として真珠湾奇襲攻撃に踏み切った。
しかし、これは米の罠であったことが後に分かった。
当時、奇襲攻撃は各国で当然のように行われたいたが、米はここぞとばかりに正義を唱え、日本軍の奇襲による多大な軍人の犠牲を公表し、奇襲は卑怯なことと、日本は悪と国民に訴え、国民を扇動し大東亜戦争への参戦を国民から了承を得たのである。
この旧日本軍の真珠湾奇襲を、米政府は把握していたにも拘らず真珠湾の軍隊に知らせることは無かった。
大東亜戦争米参戦の大義名分が欲しいために、真珠湾の軍隊は日本の奇襲攻撃の餌食とされたのである。
奇襲こそ優勢に立てた旧日本軍だったが、大東亜戦争へ参戦した米軍は物量にものをいわせ形勢逆転。
日本軍は徐々に衰退していった。
欧米は、日本軍の大義である大東亜戦争という言葉を禁止して太平洋戦争と唱え、日本をとことん悪者に仕立てあげたのだ。
そして日本が弱りきって終戦の気配が見えた頃、終戦後には出来なくなってしまう核実験を米政府は終戦前に広島と長崎に原爆を投下、実験を終えたのだった。
軍隊ではない、何十万という日本人一般市民を犠牲にして…。
そして敗北した日本軍幹部は、でっち上げられた東京裁判の後、不本意ながら戦争犯罪の汚名を着せられ有罪となり処刑された。
後に…
東京裁判は日本に対する拷問そのものである、日本人を罰せられる人がいるとしたら、それは日本人のみである。という著名人の言葉が残っている。
更に米政府は、日本に対して憲法九条を押し付け、日本は二度と戦争をしないことを米により定められてしまった。
しかし、戦後間もなく米国海軍大将で大の日本嫌いだった駆逐艦艦長アーレイバークにより自衛隊発足と軍艦、航空機等が無償で日本に供与された。
米国海軍大将駆逐艦艦長アーレイバーク
海軍大将のアーレイバークはGHQ高官として日本を訪れ、日本のホテルの清掃員である一人の女性の真心と話に心を打たれて日本嫌いから一転、日本贔屓の親日となって本国へ日本の自衛隊設立を嘆願し、装備の無償提供が行われたのである。
屈指の日本嫌いであったアーレイバークは、終戦後の日本へGHQ 高官として訪れていた。
戦後間もないため、帝国ホテルの部屋は飾り気のない部屋だったことに、アーレイバークはせめてもの心の和みとして、部屋に備えてあるコップに水を入れて自分が買ってきた花を花瓶がわりに使い窓辺に飾っていた。
翌日、仕事から戻りホテルの自室に入ると綺麗な花瓶に花が生けられていた。
勝手なことをするなとホテル側に文句を言うアーレイバーク。
しかし、宿泊していた帝国ホテルの自室に違う花が頻繁に入れ換えられ飾られるようになった。
頼みもしていない事に、アーレイバークはその行為に再び腹立たしさを感じた。
頼みもしていない事で、頻繁に入れ換えられ違う花を飾られることに誰がこういうことをしているのかとホテル側に問い詰めた。
ホテル側は指示していないと言った。
苛立たしさを感じていたアーレイバークの部屋の花を飾っていた人物が、アーレイバークの部屋を担当する清掃係りの女性だと言うことが分かった。
アーレイバークは文句の一つでも言わないと気が済まないと、清掃員の女性を部屋に呼びつけた。
『君は何故こんな余計なことをするのだ』
アーレイバークは強い口調で女性に問い詰めた。
『提督がお花を飾られていたので、お花がお好きな方だと思いまして…』
『花は君が用意したものか?』
アーレイバークは俯く女性に問いかけた。
『はい』
女性の返事が返ってきた。
『ならば、これは花の対価とチップを渡さねばならない。もう余計なことはしないでくれ』
チップを含んだお金を女性に渡そうとするが、女性は拒否した。
『私はお客様に気持ちよくお部屋に居ていただくために自分で勝手なことをしてしまいました』
彼女はそう言ってチップを丁寧に拒否。
ホテル等ではチップを渡すことが習慣となっている米国なので、アーレイバークはチップを断る女性が不思議に思えた。
よくよく話をすると、彼女の夫も駆逐艦乗りの艦長で戦死した事を彼女の口から聞いたアーレイバーク。
『そうだったのか…。その戦いには私も参戦していた。
私も駆逐艦艦長だった。
もしかしたら貴女のご主人の船を沈めたのは私かもしれない。
貴女には気の毒なことをしてしまったようだ』
アーレイバークは女性に頭を下げた。
『提督がなにもしなかったら、夫があなたの船を沈めていたかもしれません。
誰が悪いのでもありません』
自分が心の底から日本人を憎んでいるのに、彼女も私を憎いであろう思いを伏せて、その立場を超えて自分をもてなしている。
この違いは、一体何か?
アーレイバークは彼女の言葉に深く考えさせられた。
彼女の行動から、日本人の心意気と礼儀というものを知ったアーレイバーク。
日本は今後けっして戦争はしない、という憲法九条を日本に押し付け武器を持たせまいと、日本の矛と盾を奪ったGHQ 。
そのGHQ 高官のアーレイバークにより、今後自国防衛のみに徹することを約束を交わし自衛隊が発足、設立され、軍艦や航空機の無償提供が行われた自衛隊。
憲法九条に縛られながらも、旧日本軍の気質と信念を受け継いでいる自衛隊。
戦争はしない専守防衛だけの自衛隊ではあるのだが、過去の大戦後初めて侵略を受けた日本自衛隊はかつての旧日本軍気質が目覚めつつあり積極防衛へと移っていった。
実際の有事において、専守防衛だけではどうにもならないことは自衛隊員が一番よくわかっていた。
稚内基地司令、神田一成は国民の命と財産、最前線の自衛隊員の命を重んじ、隊員達に攻撃による敵機撃墜、艦船撃沈の積極防衛も已む無し、と告げていた。
オホーツク海上では何波にも分かれてウルオロシアナ戦闘機が休みなく自衛隊戦闘機や艦船に攻撃を仕掛けていた。
そんな中で、ウルオロシアナ本土サリハンスーク飛行場から四機の爆撃機が滑走路で離陸を始めた。
爆撃機、1番、2番機が稚内自衛隊基地を攻撃目標として戦闘機20機に守られながら夕暮れ近づく空へ飛び立った。
三番、4番機の爆撃機は、北海道千歳基地を攻撃目標として戦闘機20機を従えて爆撃機一番、二番機の後に飛び立った。
ウルオロシアナ爆撃機と群がる戦闘機
『早期警戒機より稚内及び千歳基地へ。
サリハンスークより中規模航空機2編隊確認。
爆撃機編隊の模様、護衛戦闘機らしき航空機二〇機前後、警戒厳となせ!』
稚内基地司令、神田一成は基地内へ防空警戒体制、総員戦闘配を基地内全域に告げた。
千歳基地でも同じように防空厳戒態勢に入った。
爆撃機2編隊は高い高度を維持して、稚内基地、千歳基地の同時攻撃を行い、自衛隊戦闘機を分散させて再びサロマ湖からの上陸作戦を遂行しようとしていた。
北鮮共国の弾道核ミサイル落下に伴う放射能を含んだ雲から逃れた米第7艦隊空母打撃群は北海道小樽沖から稚内へ向かっていた。
米国空母打撃軍旗艦「エイブラハム・リンカーン」
米空母打撃軍の旗艦「エイブラハム・リンカーン」のCICにウルオロシアナの爆撃機編隊が接近中、と日本の早期警戒機より報告が入った。
『各艦、防空警戒体制に入れ ! スクランブル警戒4機発艦急げ !』
旗艦エイブラハム・リンカーン艦長より空母打撃群に指示が出た。
千歳基地攻撃爆撃機編隊は海上を大きく迂回して小樽沖から爆撃ルートをとった。
ウルオロシアナ戦闘機は、爆撃機援護2編隊、自衛隊戦闘機と対峙する編隊、イージス艦隊攻撃編隊、サロマ湖地上攻撃編隊のウルオロシアナ戦闘機5編隊に航空自衛隊戦闘機は分散せざるを得なかった。
東日本の航空自衛隊各基地からも応援機である合計三〇機が北海道へ向かう準備をしていた。
北日本各地からは既にイージス艦「まや」「しらぬい」の援護機としてウルオロシアナ戦闘機と対峙していた。
米国空母艦載機参戦
ウルオロシアナの千歳基地攻撃編隊が間もなく小樽沖へ入ろうとしていたとき、エイブラハムリンカーンから飛び立ったF35 四機の内の二機の機影を目視確認した。
自衛隊のF35戦闘機と勘違いしたウルオロシアナ戦闘機から米海軍のF35に向けてパッシブレーダーでミサイルを放った。
ウルオロシアナ戦闘機から放たれたパッシブ誘導ミサイルはF35のジェット排気の熱によりアクティブ・レーダー・ホーミングに切り替わり自動追尾を始めた。
『米F35へ向けて後方よりミサイル4機接近、ウルオロシアナ航空機より発射された』
日本の早期警戒機より空母打撃群旗艦エイブラハムリンカーンに報告が入ると同時に、米戦闘機F35より敵ミサイル攻撃を受け、反撃の許可了承の無線が旗艦エイブラハムリンカーンのCIC へと送られていた。
米国F35からフレアが吐き出され、ミサイル1機が破壊された。
エイブラハムリンカーン艦長からは、即座に反撃の許可を出した。
ミサイルに追いかけられているF35 二機の後方に別のF35l二機が食らいついた。
『2機は合図と共に左右へバンクしろ!ミサイルは我々が撃ち落とす、心配するな!』
『ラジャッ!』
『ミサイルロックGO !』
ミサイルに追いかけられていたF35二機はパイロットに掛かる最大重力ギリギリの急旋回で左右に分かれた。
間髪入れずに後方のF35から赤外線熱探知誘導の短距離ミサイルが2機撃ち出された。
後方についたF35からミサイルに追いかけられる二機に合図が出され、左右に開いた二機のF35を追いかけていたミサイルは破壊された。
『F35 4機、これよりウルオロシアナ戦闘機へ反撃を開始する』
『了解!すぐに応援機を発艦させる!』
空母エイブラハムリンカーンからは更に4機のF35が発艦体制に入った。
この状況は米国防省ペンタゴンに伝えられ第7艦隊空母打撃群がウルオロシアナと戦闘状態に突入したと伝えられた。
米ホワイトハウスから日本総理大臣木嶋へホットラインが入った。
『ウルオロシアナ軍は、我々米空母艦隊艦隊へも攻撃を始めた。
これより米国はウルオロシアナへ反撃を開始すると共にウルオロシアナへ対話の意向を示すつもりでいる』
米国大統領は即座にウルオロシアナへの反撃を木嶋総理に報告したのだった。
奥尻島から稚内へと移動していた米国第七艦隊 空母打撃軍は小樽沖でウルオロシアナ戦闘機から空母直援機F35空母艦載機二機がミサイル攻撃を受けて反撃を開始した米F35四機。
ミサイルから逃れたF35 二機は、四機編隊となり北海道自衛隊千歳基地攻撃編隊のウルオロシアナ戦闘機へミサイルを放った。
攻撃目標を誤ったウルオロシアナ爆撃編隊の戦闘機20機は、既に引き下がれない米国との因縁の戦闘へ突入した。
F35から放たれた空対空ミサイルにロックオンされていない戦闘機がF35へ襲いかかっていった。
続く…