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花言葉のように…

「あらすじ」

健二は、彼女である瞳の誕生日に、花好きである瞳に花を贈るため「小さな想い出」という生花店名に惹かれて店内に入るが、花の知識皆無な健二は、笑顔の素敵な女性店主に助けを乞う。

花言葉のように、何気ない小さな幸せを振り撒く、笑顔の素敵な女性店主と健二と彼女「瞳」のハートウォーミングストーリー❤(ӦvӦ。)


生花店


秋も晩秋を過ぎて、暦は12月に入り季節は冬へと移り変わっていた。

健二は、小さな思い出という花屋で、花が好きな恋人の瞳へのプレゼントを探していた。

しかし、花に関して知識の乏しい健二。

アレンジメントされている花や、色が鮮やかな花を見ては腕を組み考えていた、というよりどれが良いのか分からず悩んでいた。

そんな健二を、店内の花を見映えするように整えていた女性店員が健二の側に来た。

『いらっしゃいませ。どのような花をお探しですか?』

『あ、どうも…いやぁ~、自分の彼女なんですが…花が大好きなんですよ。誕生日も近いし…プレゼントの花を探してたんですけど…綺麗な花ばかりで正直どれが良いのか分からないです』

健二は照れるような仕草で、頭を掻きながら店員に助けを求めた。

誕生花


『そうですか。あの、差し支えなければ彼女さんのお誕生日教えていただけると、ある程度お花選びを絞れますが…』

『えっと…12月11日です』

『明後日ですね♪その日の誕生花がありますが…見てみますか?』

『へぇー、誕生花ってあるんですか。是非見せてください』

それほど広くはない店内に、ひしめき合う花の中で小さく赤い花に混ざって黄色い花が所々に散りばめられてアレンジメントされている花を女性店員が手に取り、健二に見せた。

『こちらが、彼女さんの誕生花になります』

『小さい花が寄り添ってて可愛い花ですね』

小さく赤い花が集まっていて、健二にはそれが一つの花のように見えた。

店員がバスケットにアレンジメントされたその花を、健二の両手に乗せた。

健二は、その花をよくよくみると小さなベルの形をしていることに気が付いた。

『なんか小さいベルみたいな形もあるんですね』

『そうなんですよ♪釣鐘状のかたちをしているものは「ウェンディ」とも呼ばれています。その花の特徴から幸せを告げるという花言葉があるんですよ。それから、この花は長い期間咲き続けるので長く続く愛という花言葉もありますから、お花の好きな彼女さんならこの花の花言葉もご存知かと思います。もし知らなくてもお花の好きな彼女さんなら、花言葉も調べると思いますよ♪彼氏さんからご自分の誕生花を贈られれば絶対喜ばれると思います』

手に持っている花の花言葉を店員から聞いた健二は、瞳の誕生花であるこの花をプレゼントに決めた。

小さな命


『さすが花屋さんですね。そういう花言葉がスラスラと出てくるなんて素敵だと思います。決めました。この花を彼女にプレゼントします』

『ありがとうございます♪彼女さんのお誕生日は明後日ということですが、当日までこちらで預かっておきましょうか?』

『あ、そうしていただけると自分も助かります。花の知識はほとんど無いので…。花といえども小さな命ですからね。当日までこちらに居るほうが花にも良いと思うので…。彼女が何時も言ってるんですよ。花にも寂しさや嬉しさの感情があるって…。自分の部屋には花のはの字も無いので、この花も寂しくなって元気なくなっちゃうかもしれないから。いま、お会計だけして当日の夕方に取りに来ます』

『ありがとうございます♪花を一つの小さな命と言っていただいて私も嬉しいです。この花はまだまだ蕾もいっぱい持ってますので暫くは綺麗な花を咲かせてくれると思います。ましてや花を大切にしていただける彼女さんの所に行くなら、この花の花言葉のように、長く続く愛を叶えてくれると思います♪それから、たくさんの小さな想い出をお二人で育んで幸せをつくるのも良いですね♪たくさんの小さな思い出と幸せをつくる、というのもこの花の花言葉ですのでいつまでもお幸せに…』

女性店主と健二の気持ち

瞳の誕生日当日の夕方に花屋へ花を受け取りに来た健二。

『こんにちは。花を受け取りに来ました』

健二の声で先日の女性店員が、店内の花の間から顔を出した。

『いらっしゃいませ♪お花できてますよ』

そう言って女性店員はレジカウンターの奥に入り綺麗にラッピングされた花を丁寧に抱いてカウンターに置いた。

『あれ?この前よりバスケット大きくないですか?それにこの小さなペアのクマのぬいぐるみも無かったですよね?』

健二が一目でバスケットの大きさとペアのクマのぬいぐるみを見て店員の顔を見た。

『こちらはサービスです。改めてアレンジして私の気持ちでクマのぬいぐるみも置きたかったので…。お気に召さなければクマのぬいぐるみは外しましょうか?』

『いやいや!とんでもない!こんな可愛くしてもらって大歓迎です。ありがとうございます』

『喜んでいただいて良かったです。このペアのクマのぬいぐるみは新婚さんなんですよ。これから二人は小さな思い出をたくさんつくっていく、という意味が込められています。いつまでもお幸せに…。それから誕生カードがありますので一言書いていただいてこのラッピングの中に入れておいてください』

『わかりました。本当にありがとうございます。俺、この花を渡して彼女にそれとなく結婚の事を言おうと思います。付き合い始めて2年半ですからね…そろそろ結婚の事も二人で考えていこうと今思いましたよ♪小さな思い出か~…あれ?こちらのお店の名前…』

『はい。この花の花言葉からもらいました。私の誕生花でもありますので…』

『そうだったんですか。俺、こちらのお店に入ったのは店名が良いなーって思ったからなんですよ。決してお世辞ではないです!店名に誘われて入ったら素敵な店員さんだし…俺の気持ちも、ちゃんと彼女に伝わりそうな気がしてきました。ありがとうございます』

『こちらこそありがとうございました』

健二は綺麗な花を大事に胸に抱いて店を出ていった。

瞳の依頼


それから1か月後…

新しい年を迎えた1月。

健二は彼女を連れて花屋の『小さな想い出』に顔を出した。

『こんにちは』

『いらっしゃいませ…あら♪先日はありがとうございました。今日は彼女さんとご一緒ですか?』

女性店員は健二と彼女を見て屈託のない笑顔を向けた。

『この人が素敵な花屋さんと素敵な店員さんがいるからって言われて一緒に来ました』

健二の彼女である瞳が口を開き会釈をした。

『お花好きの彼女さんですね』

『はい♪先日この人が、こちらで私の誕生日に花を買ってきてくれて、とても嬉しいことがあったので今日こちらに来ました』

『そうですか。あのお花は元気に咲いてくれていますか?』

『はい、今でも元気に咲いています。ペアのクマさんも幸せそうにしています』

『私が彼氏さんにお花を渡す前に、いっぱい幸せを分けてあげてねって言って送り出したんです』

『そうでしたか…。ありがとうございます。お陰さまでこの人が、やっと結婚の事を話してくれました』

『あらぁ♪それはおめでとうございます』

『ありがとうございます。それで、ちょっとお聞きしたいことがありまして…』

『はい♪なんでしょう?』

『あの…こちらで結婚式に使うブーケをお願いしようと思いまして…まだもう少し先なのですが…二人の絆を深めてくれたあの花をメインに作っていただけないでしょうか』

『そういうことでしたら喜んでお引き受けさせていただきます。ただ、開花時期が10月から5月くらいですのでその期間なら心を込めてアレンジさせていただきます』

『ほんとですか♪ありがとうございます。私の方は結婚の準備はできてるから何時でもいいのですが…あとは、この人次第なんですよ…』

少し不満げに健二を見る瞳。

『俺…結婚式するには、まだ貯金が足りないんだよな…』

ボソボソと呟く健二。

『今ある貯金だけでいいから来年5月前には結婚式挙げようよ♪あの花が元気に咲いている時期に…』

瞳は健二の腕を掴みながら懇願するように言った。

『そうだな…あの花は10月から5月の間だけ咲くなら4月くらいが良いのかな』

『4月で決まりかな♪3ヶ月あれば、式も会場もなんとかなるよ。コネならあるから心配しないで♪』

健二は頭を掻きながら照れ臭そうに女性店員を見てすぐに目を反らした。

女性店員は幸せそうな二人を見てから、外にある店の看板をみて心から溢れてくる笑顔になっていた。



おしまい…

【Because I Love You】 Stivie. B


どもです(*^_^*)ノヤッホイ♪
ご訪問いただいている皆様。
作品に目を通して下さる方、スキやコメントを下さる方々。
いつも本当にありがとうございます💕
文中の「小さな想い出」という、素敵な女性店主がいる花屋さんは、私の別の作品でも幸せを分け与えてくれています。
今回の作品とは対照的な私のリアルな失恋のお話しですが、店名は違うけど「実在」していた素敵な花屋さんでした。

今はもう無くなってしまいましたが‥‥(¯―¯٥)
↓↓↓

今回、花の名前は敢えて書きませんでした。
花言葉は文中に散りばめてあります(*^^*)

皆様にも小さな幸せがたくさん届きますように❣️(ӦvӦ。)

今回も最後までお付き合いありがとうございました☺️

また来てね(@^^)/~~~♪

photo AC

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