女性職場の窮屈なとこ
私は女性9割の職場で働いてます。
もう1つ、男性9割のところでバイトもしている。
女性だから、男性だからとくくるのはあんまよくないだろうけど、性差ならではと思うあれこれはあります。
例えば空調問題。
「さっきすごく暑かったね〜!汗が止まらなくて」と、女性9割職場の同僚が話しかけてきた。
確かにちょっとムシッとしてたけど、汗が止まらないほど暑かったんだ〜と驚いた。
「空調つければよかったのに!言ってくれれば私、近いからつけたよ!」と言うと、同僚は、(^_^;) ←こんな苦笑いをするのみ。
私もわりと暑がりだけど、冷えがすぐおなかに来るタイプなのでブランケットを巻いて仕事をする。
ただ、その私の様子は「寒がりな人」に見えてるらしい。
私は防寒態勢モードで、空調ドンと来い!と思ってるのに、「敷根さんは寒がりっぽいし(だから空調を下げられない)」と思われてるような。
「だって…寒いでしょ?」
と言われたこともある。
だからって!
私だったら暑いとき、「下げたいけど、いいかな?」とみんなに聞く。
おなかは冷えに弱いけど、熱中症にもなりやすい私。
のぼせは厳禁なのです。倒れたくないし。
そうやって「室温不快だったら調整してこ」みたいな運動を私は1人で繰り広げてたんだけど、ただの図々しい人になってしまってるのか?
それくらいみんな、空調に触れない。
なのに「暑かったねー」とは言い合う。
時々、「おなかがっ…」とトイレに駆け込む人がいる。
言ってくれよ!寒かったと。
これって、なんだろうか。
男性9割の職場では「ちょっと下げるわ」と、各々が自分の不快モードに忠実。
丁寧な人だと「寒かったら(暑かったら)テキトーに調節してね」と言ってくれたり、あと私が縮こまってる様子を察して温度を上げてくれたりする。
それは至極普通の光景に見えるけど、女性9割職場では何がブレーキになってるんだろう。
でもなんとなくわかる。
女性9割の職場は「怖い」「怒られる」という恐れを抱く人がとても多い。
さすがに正社員の人はもっとあれこれ率直だけど、非正規のメンバーは「下ならもっと下らしく」という振る舞いを自分に課しすぎているように見えるんですよね。
「あの人はずっと上の立場:自分はずっと下(だから主張なんてできない)」
私は元正社員なので、両方の景色がわかる。
非正規になると、やけに遠慮がちな振る舞いになっちゃいますよね。
でも労働者の権利というものがあるだろう。
私はわりと「言えるタイプ」でもあるから。
さすがにイラつくのは、「怒られるから従っておきましょう」というムード。
一見被害者っぽく見えるけど、そのポーズは自然と誰かを加害者っぽくする。
すんごい怖い人は確かにいますよ。
でもその人の前で必要以上にビクビクすれば、その人はただ存在するだけで鬼みたいになるじゃないですか。
まんまと鬼は鬼らしく振る舞い、ビクビクする人はますます縮み上がる。
一体、鬼が悪いのかビクビクするほうが悪いのかよくわからない。
そりゃ鬼が悪いだろうと思いきや、堂々と主張する私もビクビクされることがたまにある。
嫌われたくない私は「下は下らしく」という振る舞いを身につけるようになり、へりくだった非正規の出来上がりです。
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男性9割の職場に入った頃、私は仕事を覚えるのが遅くて肩身の狭い思いをしていました。
「そんなビクビクされても…」と男性社員は私に言う。
私から被害者感が漂ってたのでしょう。
できない…つらい…嫌われそう…みたいな。
「どうしたら上達できますかね?」と、別の社員に相談したときは、「堂々としてればミスしても指摘しにくくなるから。結局そういうことだから」と言われた。
ーーミスをなくすことはできない。自分ら社員もミスするし。
でも我々社員がいちいち指摘されないのは、堂々としてるからーー
ほぉ・・・
そのときは「いやいやいやいや」「まだ堂々とはできない!」と思ったけど、少しだけ態度を拡大させたら確かにダメ出しは減りました。
結局そういうことなのか。
女性9割職場で堂々とするってのは別に不可能じゃない。
どっちかといや私は「堂々部類」に入ってると思う。
ただ、そうすると「あなたと私たちは違うから」みたいに距離を空けられて、鬼は免れるとしても孤独感は増す。
あの学生時代の「テスト勉強してきた〜?」「ぜんぜーん」というノリは令和になっても絶賛存在しているんだ。
私は「そりゃ、してきたよ」と言うタイプだった。
そんなシーンで同調して一体何になる?とツッパることもできたけど、されど同調。
同調してもし足りない世界というのがあるんだ。
「横並びという仲間」から外されてしまう怖さ。
女だけの社会で「上へ上へ」と担がれても大して嬉しくない。
「あの人は自分たちとは違う」
そういう結束のボリュームは思う以上に巨大。
それに呑み込まれるか抜け出すかという選択は、大袈裟に言えば死ぬか生きるか?を突きつけられることにも匹敵する。
横並びから抜け出せば、とかく責任を押し付けられる。
「あの人が言ったから」「従わないと怖いから」「これ決めたの誰?」「うちらのことなんも考えてない」と言われる側(しかも陰で)
女性社会というのは、ただ率直ではいられない複雑な構造が敷かれやすいのです。
もし女性職場でミスして堂々と振る舞ったら「図々しい」「ずるい人」とすぐ見なされるでしょう。
そう思われるのを何より恐れるムードが学生時代からあった気もする。
なぜそんなに同調が利きすぎてるんだろうか。
教育とか育てられ方の問題なのか。
それにしても真面目でいい人が多い女性9割職場。
極力目立たないように振る舞ったり、「怒ってないですよー」とほうぼうにアピールするような。
クラスなどで目立ったことによる痛みを各々体験してきたのだろうと思わざるを得ない。
男子がのびのびするだけで笑いを取れちゃう世界とは全然違う。
「標準形」から外れると、すぐ「変わった人」と見なされて無視されたり笑われたり。
小5のとき、「男子と普通にしゃべれる女子」と仲良くしてたことで、クラスで孤立していた。
そのうち、その女子が転校。
私は一気に孤独になる。私1人じゃ男子としゃべれなかった。
卒業式も1人。
グループにいっとき入れてもらっても、その中の誰かと夢中でおしゃべりするとすぐ退会通告を受ける。
「横並び精神」があのときから重要で、うまく身につけられないままここまで来てしまったらしい。
かといってね、職場が殺伐としてた時期は確かにありましたけど、今ほとんどが中年になり、過去に鬼だった人も丸くなりました。
あとハラスメントを訴える流れが徐々に形成されたのも大きい。
怖かった人が怒りや意地悪さを抑えてくれたことで、ずいぶん穏やかな環境に変わりました。
「暑い寒い、どんどん言ってこ」という運動は細々続けたいと思います。
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