40代後半でよかったと思うこと<音楽編>
誕生日になると友人たちからおめでとうメールやLINEが送られてくる。
嬉しいことだけど、いつからか(30過ぎてずっとかもしれない)
「うちらももう30超えちゃったよ」とか「もう四捨五入して40だよ」とか、歳を重ねることのネガティブさが一言添えられるようになった。
それを見るとちょっと忌々しい気持ちになりますね。
40も6を過ぎると50へのカウントダウンがすぐ始まる。
「50も近いよ!」とか。
なんのあおりだっつの。
自分の内側だけで焦ってほしい、こっち煽らないでよと思うものの、未婚40女としては誕生日メッセージはなんであれ嬉しいけどさ。
ネットを見てても40代の価値というのは低めで、美しければ奇跡、健康なら偉人みたいにネットで書かれるような物悲しさが一気につきまとってくるもので。
そりゃ若い人が年取るの恐れますよね。
でも40代後半でよかったと思うことはたくさんある。
その一つが音楽です。
小室・桑田サウンド
多くの40代にとって小室哲哉といえばTM NETWORKで、あのサウンド聴けば体がついノってしまうと思う。
40代後半にとっての小室サウンドといえば、まず「My Revolution」じゃないでしょうか。
渡辺美里の名曲。この作曲者が小室さん。
「セーラー服通り」というドラマの主題歌で、ちょっとエッチなドラマだけど私は楽しみに見てましたね。
フーウゥー…というあのイントロを風のようにリアルで受け取っていた体験というのは、なんとも貴重だったなと。
やがてTM NETWORKの「Get Wild」も音楽として認識するようになり、1988年の夏、映画「ぼくらの七日間戦争」主題歌「SEVEN DAYS WAR」が、中学生だった私の胸を撃ち抜く。
宇都宮隆の「レボリューション…」という歌い出しは、当時初めて聴いたときと何ら変わらない刺激で今もこめかみに鳥肌を立てる。
映画の主人公は同世代の宮沢りえ。
革命なんて思いもしなかった従順な心にガツンと響いた体感が思い出されます。
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私が物心ついたとき、サザンオールスターズは活動休止中で、桑田さんがソロで精力的に音楽活動をしていた記憶。
ラジオから流れてきた「ONE DAY」には幼いながらも色気を感じたりしてましたっけ。
そして1986年にリリースされた「BAN BAN BAN 」
バブルの始まりの年だったのかなぁ。
あのイントロに、どうしようもなく人をノせる高揚感がビシバシと感じられ、明るい時代の切り替わりを感じた不思議な記憶が残ってます。
「聴いてるだけで楽しい!」とワクワクしてました。
藤井郁弥
チェッカーズ・藤井郁弥の登場は、まだ10歳にもなってなかった私の恋心をいくらか刺激しましたね。
大体「郁弥」という、あのころにしちゃキラキラチックな名前がまぶしかった。
あと前髪ね。
「涙のリクエスト」でまだ軽薄さが漂っていた郁弥は、「星屑のステージ」でほんまもんの歌唱力を見せつけ、「ジュリアに傷心」では郁弥に寄り添う気持ちがまんまと芽生え、「あの娘とスキャンダル」ではTV前で郁弥とともに歌唱する照れなど消え失せていた。
危険な恋を ウォウ ウォウ ウォ
しちゃいけないぜ スキャンダル・・・
この歌詞のどうしようもなさ。
いや、どうしようもない切なさね。
この歌詞が切なさとして胸に沁みついたまま生きてきた幸せ。
「しちゃいけないぜ」とかって言わないじゃないですか。聞かないし。
しちゃいけないぜ スキャンダル
郁弥がこれを大真面目に言うわけもなく、じゃあどんな表情で言うかって、ちょっといたずらっぽいタレ目でね。
郁弥はあの時代の少年少女の恋愛感度をぐっと引き上げた1人と思うのです。
感謝。
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音楽に関しては、「これリアルで感じてた世代!」と感動するものはまだたくさんあるわけです。
例えばユニコーンがベストテンに出た瞬間とか、プリンセス プリンセスが「LET'S GET CRAZY」からどわーっとのし上がっていく流れ。
「イカすバンド天国」が始まって盛り上がって終わっていったリアルな経過とか、本田美奈子がセクシー路線から健康的で明るいスターになっていったまぶしさなどなど。
あと時代はちょっと後だけど、小林武史の活躍も個人的に自分の音楽観の形成につながってると感じてます。
My Little Loverって私は今でもすごく好きなんだけど、あんまり人と共有できないんですよね。
10くらい年下世代でもスピッツや椎名林檎に心酔する人は多いのに、マイラバはあまり名前が出てこない。
でも、それこそBSの音楽番組で「今週の新作MV」としてakkoが真っ赤なドレスで「Man&Woman」を歌ってたのを初めて見た感慨もふわっと立ち上ってくる。
歌詞とか「なんだかな」って感じなんだけど、あの時代は「それもあり!」という勢いがありましたよね。
どの世代にも「これをリアルで感じてた楽しさ」、その記憶があることと思う。
「年を取る」ことのネガティブさがやたら言われるけど、それだけ生きてきたんだから、豊かに積もっていった体感がたくさんあるはずじゃないですか。
それを下の世代にドヤ顔で話すと嫌われちゃうのかもしれないけど、でもどんなに独特な感慨を抱いてもそれすら共通項になるという特殊な時代を楽しく生きてきたとつくづく思います。
音楽以外にドラマやバラエティーなどもそうですね。
それらをまたここに書けるかはちょっとわかんないけど、今回は音楽編としてごく一部の楽しい記憶を振り返ってみました。