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「地域包括支援センターでの虐待ケース」 夕暮れの包括から 第5回

 今回は「虐待ケース」です。色々な情報があり、中にはとても深刻かつ辛い業務だと認識している方も多いと思います。地域包括支援センターの業務の中でも深刻度はかなり高いケースばかり。だからこそ支援技術が問われる業務の一つだと思います。
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【通報窓口】

 地域包括支援センターの業務の一つに「虐待の通報窓口」があります。私が勤める地域包括支援センターでは1年間に約20件程度の通報があります。年度内に終結しない場合は翌年に持ち越されるため、対応が必要なケースが累積され、年々増えていく傾向があります。

【虐待通報があったら】

 65歳以上の方に対して虐待が疑われる際、発見者は行政または地域包括支援センターに通報します。通報があった場合、基本的に48時間以内に訪問などで状況を確認します。その結果、虐待が確認された場合、虐待認定が行われます。
 虐待が確認されなかった場合でも、通報事実と異なり虐待ではないということは少ないため、「虐待疑い」として対応することとなります。

【養護者】

 近年多いのは「養護者ではない」通報です。虐待をしている人と受けている人の関係について、本人の何らかの養護(金銭管理なども含む)をしている人を「養護者」と言い、養護者から虐待を受けていることが「養護者による虐待」となります。ただ、例えば別居の家族からの言動については基本的に対象外になります。この場合は「困難事例」として対応します。

【虐待の種類】

 虐待には「身体的虐待」「心理的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」「放棄・放任」の5種類があります。虐待認定を行う際には、これらのどれに該当するかも同時に確認します。分類する際は、一つに限定されることは稀であり、多くは「心理的虐待は認定、身体的虐待は疑い」といったように、複数の分類を確認してます。

【緊急性】

 状況確認と同時に、緊急性を判断します。緊急性が高い場合は早急な対応が必要とされ、必要に応じて本人と養護者を分離する措置が取られます。この際、どこかしらの生活場所を確保し、そこまでの移動手段も確認する必要があります。
 しかし、経済面が大きなネックとなります。行政処分として対応する場合は費用負担がありませんが、自治体の財政状況によっては、行政処分に至らないことも多くあります。その場合、サービスの利用料などは本人負担となります。通常、養護者を分離することはかなりハードルが高いため、本人を分離することが多いですが、本人に責任がないのに費用が発生してしまうというジレンマが生じます。正直、小規模自治体は予算が少ないため、行政措置すること自体にハードルが高いことが多く、本人に何らかの費用負担が生じるケースが多々見られるという課題があります。

【支援計画】

 緊急性が低い場合は、関係者によるケース会議を開催し、今後の対応計画を策定します。基本的には定期的に状況を確認し、その都度緊急性などを判断します。また、行政や地域包括支援センター間で定期的に情報共有を行います。
 生活状況が安定し、継続的な虐待が確認されなければ、虐待ケースは終結し、通常の支援体制に戻ります。

【養護者支援】

 虐待は痛ましいことですが、当然そこには原因があります。本人に課題がある場合もありますが、養護者に課題があることも多いです。養護者の介護負担が強いことも当然あります。そういうことも考慮し、必要に応じて、養護者支援としてさまざまな対応を行います。
 例えば、養護者に精神疾患の疑いがある場合には、関連機関と連携して適切な治療に繋げます。しかし、本人が治療を希望しないことが多く、対応が進まないのが現状です。
 複数の要因が絡むケースも多いため、中期・長期的な視点でどのような支援計画を立てるかが、相談員の腕の見せどころです。

 次回は「予防プラン」についてまとめます。


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