「地域包括支援センター相談員として考える「信頼関係」」 夕暮れの包括から 第17回
地域包括支援センター相談員として普段から心がけていることをまとめました。考えていくといくつかテーマがありましたので、それぞれまとめたいと思います。今回は「信頼関係」についてです。
【信頼関係】
よい支援をするためには、本人との信頼関係が大切です。当たり前のことですが、信頼できない相手に相談する気にはならないと思います。
信頼関係と言っても、初回相談にて気を付けることと、継続して支援していく中で気を付けることは違います。今回はその中でも初回~数回の相談の間にて気を付けていることをまとめました。
【信頼関係を築くポイント】
「バイステックの7原則」を知っている方も多いと思います。私はこれを学んだ際、先生から7原則のうち5つが信頼関係構築のため、2つが支援技術のポイントとして学びました。信頼関係を築く5つのポイントは「個別化」「自己決定」「受容」「秘密保持」「非審判的態度」です。
①個別化
その方個人の特性を見て、その方自身のニーズを確認し、その方に必要なサービスを提案します。あくまで主体は「その方」個人と意識します。
②自己決定
サービス利用など、決定権は本人自身にあります。家族でも関係者でもありません。ただ、自己決定が難しい方には情報提供の仕方などを工夫し、本人自身で決定できるよう配慮が必要です。
③受容
その方自身のありのままを受け入れます。いいところも悪いところもあるのがその方自身であり、それを否定しないようにします。
④秘密保持
その方の個人情報は漏らしません。場合によっては家族に情報提供する際でも慎重に対応する必要があります。あくまで情報は「その方自身のもの」であることに留意します。
⑤非審判的態度
善悪を決めるのは本人です。家族はもちろん、医療関係を中心として関係機関が決めるものではありません。
これらのことに留意すると、本人との信頼関係が構築しやすくなります。
【個人ではなく組織と】
ただ、支援者が生理的に本人と相性が悪いことなどもあります。支援員個人が異動・退職にて不在になった際に、信頼関係をつなぐことができなくなることもあります。そのため、信頼関係を築くためには組織的な関与も必要です。
最終的にはその方と支援員個人ではなく、組織の信頼関係につながることを念頭に置く必要があります。
【初回相談でのポイント】
初回相談で信頼関係を築くポイントは「無理をしない」です。話を聞いていく中で、制度やサービスにつながりそうなこと、こうしたらもっとよくなることなど、アイデアが浮かぶと思います。ただ、焦ってはいけません。
初回相談では、「マイナスにならない」ことが重要です。焦ってサービスなどを提案しようとした結果、本人が本当に話をしたいことにたどりつかないこともあります。焦った結果、「マイナス」の評価になってしまいます。
まずは話を聞くことに集中し、話のポイントをまとめます。一通り話し終えた段階で、困っていること・解決したいポイントを明確にし、そのために〇〇の制度、✕✕のサービスがあり、それを利用するためには△△の手順が必要ですといったように説明することで、本人が本当に困っていることを解決に結びつけることができます。
もちろん、話を遮るだけではなく、しっかりと話を聞いているという姿勢を本人に見せることも大切です。
万が一、初回相談にてマイナスの評価になってしまった場合は、次回の相談時に対応する人を変更するなどを考えています。
次回は「動機付け」についてまとめます。