一杯目「森、土の匂い」
深い森を抜けると、木々は細くなり、その形がわかるようになった。
光が差し、空が垣間見えてきたのだ。
天を衝く針葉樹の影を飛び出す。
二十メートルほど向こうに川が見えた。
「このまま下流へと向かおう」
そっと胸をなで下ろし、日の当たる場所に腰を下ろす。
土の匂いがした。
新緑が——名を知らぬ小さな苔の庭が——そこにあった。
毎週末の朝、珈琲を飲んで浮かんだ散文をお届けします。
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(四月一)
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君は友の、澄み切った空気であり、孤独であり、パンであり、薬であるか。みずからを縛る鎖を解くことができなくても、友を解き放つことができる者は少なくない