四十九杯目「悴んだ手」
手袋を落とした。
多分、街のどこかで。
左手の鼠色の手袋。
僕はそれを探そうと思う。
どうにもバランスが取れないのだ。
悴んだ手をポケットに仕舞う。
僕はそれを探そうと思う。
僕は、それを……
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(四月一)
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君は友の、澄み切った空気であり、孤独であり、パンであり、薬であるか。みずからを縛る鎖を解くことができなくても、友を解き放つことができる者は少なくない