🍁人魚姫とリトルマーメイド🍁映画感想文
映画リトルマーメイドは、アンデルセン童話の人魚姫をベースに、主人公アリエルが信念を貫くことを祝福した物語でした。
最終局面で物語が大胆に展開します。
長女が幼いころに、DVDで観ていました。ソファーでぴたりとよりそって、最後は私の方が高揚していました。
当時、私は、長女とふたりで過ごすことが増えていました。ふたりとも楽しめて、家の中でゆっくりできるものを探していました。
古本屋でリトルマーメイドを見かけて、買ってきました。吹奏楽でよく聴くアンダー・ザ・シーやパート・オブ・ユア・ワールドを映画の中で観てみたいとおもったのでした。
結局、リトルマーメイドには娘より私がはまって、何度も観ることになりました。
特に歌です。繰り返し繰り返し観ました。
物語の序盤に歌われるアンダー・ザ・シーは、『海の中はすばらしいところだよ』とひたすらプレゼンする、付点のリズムで弾む音楽です。
歌うのはカニのセバスチャン。アリエルのお目付け役です。楽しそうに旋律から少し外して「♪Life is the bubbles!」とセリフのように歌う場面があります。
Life is the bubbles.
初めてこの映画を観たときには、気付きませんでした。娘がまだ園児だったので、吹き替えだったのです。
結末まで観てから、歌だけ英語音声日本語字幕で見直していて聴こえてきました。
命は泡。
絵本の人魚姫は、酷い目にあったうえに命を落としてしまうものが多いです。『泡になってしまいました』という結末をみるのがつらくて、あまり好きな物語ではありませんでした。
いっそ華々しく歌われる「♪Life is the bubbles!」が気になって辞書を引きました。
『Life is the bubbles.』には複数の意味を感じます。
日本語では、「のんびりと毎日が楽しいよ」と歌われます。セバスチャンがアリエルに伝えたかったのは、海の底なら心配事がなくて楽しく暮らせるよということ。
絵本の人魚姫の命は泡になって消えてしまいます。
アリエルにとって海の底は、閉じられた狭い世界でした。
セバスチャンの歌が終わる前に、アリエルはそっとその場を離れていきます。
そして、狂おしいほど地上の世界に憧れてしまった人魚の歌、パート・オブ・ユア・ワールドのイントロが流れます。
海の上、太陽、自由。
魔女と契約して、アリエルは16才で自分の人生を始めました。
物語の初めで
up where they walk
up where they run
とアリエルは歌いましたが、最後の場面では歌詞が少し変わります。
now we can walk
now we can run
絵本では見かけたことのない海の王は、可愛い末娘が自ら拓いた生き方を、虹の橋を架けて祝福します。
なんてこと。大団円のフィナーレです。
初回は涙が止まりませんでした。ああ楽しかったという様子の幼い娘が不思議そうに私を見ていました。
(wish I could ……絵本の人魚姫しか知らないあの子に、ハッピーエンドの人魚姫を観せてあげたい)