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「ヒプステ」という夢


前書き

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage
俗にいう2.5次元舞台シリーズで、2019年11月15日から始まり19作品、全299公演を走り抜け2023年9月12日に多くのファンに惜しまれながら幕を閉じました。
これはそんなヒプステの、一オタクの振り返りと気持ちの備忘録です。
track.1から振り返ってるのでかなり長いです。

※あくまで原作ファンであり、観劇オタクでも俳優ファンでもなく、全身全霊でステを追いかけていた濃いファンなわけではない+シブヤへの気持ちに偏っているので、その点はご了承ください。

track.1

ヒプステの始まりは苦難の幕開けといっても過言ではなかったと思う。
そもそもの原作が”声優×ラップコンテンツ”という鳴物入りで始まった作品であり、チケット代も全席18,000円という高額帯だったこともあり原作ファンからの拒否感がものすごく強かった。
その上、先行の当落日にされたアカバネ・ディビジョン代表 「North Bastard」という”オリジナルディビジョン”と「Division Dance Battle​​」という謎の存在の告知により、より一層原作ファンの拒絶感は激しくなり、かなりの罵詈雑言お気持ち表明が飛び交っていた。
(「アカバネ」というチョイスも嘲笑の的になっていた)
実際にチケットの売れ行きは芳しくなかったようで、重複当選がかなり出ていた模様。

それでも迎えた初日。
タイムラインは一転して、観に行った人たちの興奮のレポが大量に流れてくるように!!
観に行った人の感想が呼び水となり、チケットも続々と捌けていったようだった。そして観に行った人の殆どが絶賛をしている。
私自身も評判が気になって、配信だったかライブビューイングだったかを観に行った。楽曲もダンスも演出もかっこいいし何より「North Bastard」がめちゃくちゃに良い。
原作を改変せずに上手くやるには「North Bastard」というか堂庵和聖​​の存在は必要不可欠だったと思うし、何より物語に説得力(厚み)を持たせてくれたように思う。
何より一郎とのデュエットがよかった。
時を経て、それぞれ失ったものがあって変わってしまったかつての幼馴染の”いっちゃん”と”カズ”の歌
”山田一郎”という弟たちを背負うために大人になるしかなかった、まだ19歳の青年の等身大の姿がそこにはあって、初めて”山田一郎”が物語の中で生きてると思った。
ステージの始まりに、立ち絵の向こうから各キャラクターと同じポーズで飛び出してくるという演出もすごくよかったし、オリジナル楽曲が基本的に本家の楽曲の一部を織り込んでいるのも原作への最大限のリスペクトを感じた。

私自身はシブヤの女なので、track2が俄然楽しみになってチケットもちゃんと取りました……

track.2~襲いかかるコロナ~

そして襲いかかるコロナ
track.2の開催は2020年5月。
世はもうひっちゃかめっちゃかな状況真っ只中。
当然舞台は中止、その後8月に開催&完全な状態でのリベンジを目指してtrack.4後の2021年3月​​に再演。ちなみにシブヤはMixTapeも中止になっているので、一番コロナに振り回されたチームだったと思う。
track.2は最高だった。推しであるシブヤの三次元の理想系がそこにあった。
少女人形のような無機質な可愛らしさと裡に暗い闇を抱えているせこりょの乱数
雪解けの雫のような顔面と芝居がかっていて底が見えない前ちゃんの幻太郎
動きも顔も野生みが溢れつつどこか気品がある脱走した血統書付きの野良猫のようなたきりょの帝統。
オタク心を理解して帝&幻営業の猛攻を仕掛けてくる前ちゃんに何度気を失いかけたかわからない。

鬼瓦ボンバーズもシリアスになりすぎてしまいそうなシブヤVSシンジュクの中で太陽のような明るさで本当、あの三人大好き……しかもその明るい人間性の塊のような鬼瓦に乱数と寂雷が絡んで、「人間」という乱数と寂雷にとって大きな禍根と傷になっている部分を強調していくっていう。
これも、アカバネの時と同じく原作の本筋を曲げずに上手く世界(人物像)に説得力が増すようになってて脚本がうめ〜〜〜〜となるなど。
(甚八に悪気はないのはわかってるけど、人間味がない/寂雷と大違い。って言われた乱数にこっちが傷ついてめちゃくちゃ泣きそうになった)
(せこりょの闇堕ち乱数は最高だった)

そして、寂雷先生の白衣〜〜〜長い手足から繰り出されるダンスに翻る白衣がめちゃくちゃに美しかった。何度も観てしまう。
衣装で言うと先生のが一番好きかもしれないレベル。着ている鮎川くんの動きが美しいのもあるんだろうけど。
あとステの寂雷先生は本家よりも人間味があって個人的に好き。本家のhymさんによる超越者のような神宮寺寂雷も良いけど、ステの鮎川寂雷は己の罪に苦悩しながら足掻く等身大の34歳の男って感じがする。
乱数のモンペなので、原作のあの全能神のような雰囲気でステ乱数のあの扱いをされたらキレてたかもだけど、ステ寂雷は人間味があるので許せたなと思う。


すみません、3は長すぎるので飛ばします……6人ともクオリティ高いしここで2.5そんなに知らない私でも知ってる荒牧さん持ってくるの気合い入ってるなと思った。オリジナルの道頓堀も可愛いし弾襄様は美しすぎた。

track.4

脚本が、うまい〜〜〜〜!!!
ドラマパートのあれをこの尺でまとめた上に、全員があの場に会してあの状況になるまでの構成が上手い。偶然で片付けるんじゃなくて追い詰められた乱数の暗躍にすることで一気にストーリーが良くなった。ガバガバ構成のmmsは見習ってほしい。本当に。
ヒプマイにはストーリーはないものと思えとはよく言うけど、パワープレイじゃなくてこれくらいの説得力は持たせてくれ〜〜〜〜
そしてどうしようもなくすれ違う人たち。会話!会話しよう!特に一郎と左馬刻!!!

乱数のこの暴走と暗躍は、せこりょが乱数を演ってたから生まれたのかなとも思ったり。なんか、こういう闇がある感じが似合うよね彼……

track.5

せこりょの卒業により、安井くんに変わって開幕したtrack.5
アイドル!!せこりょの裡に暗い闇を抱えている感じとはうってかわって、等身大かつ無垢なアイドル感がある。
寂雷と決裂して深い傷を負う前なのでちょうどよかったかもしれない。
絆や人間性、友情、人の心を学んでいる真っ最中の人間一年生。
学んで成長して「仲間」を獲得したのに、人間になれたと思ったのに。
その「仲間」が強くなりすぎたせいで
「中王区」に牙を剥こうとしたせいで
自分で壊さざるを得なくなって、自分に人間性を与えてくれた寂雷に「人間じゃない」と斬りつけられる。
燐童の「仲間なんて存在しない」「信用しないほうがいい」「固い絆なんていつか解ける」「人は孤独と生きるしかない」という言葉を「僕は君みたいにはならない!!!」って跳ね返した直後にこれだもんな……それは闇堕ちするし次のチーム名は “Fling posse≒刹那の友”にしちゃうし、反転して神宮寺寂雷への憎しみを強く抱くよ……脚本がうめ〜〜〜〜〜(N回目)

オリジナルディビジョン D4
まさかの脱獄犯罪者集団。TDDの各キャラクターと対をなすように作られていてこれがめちゃくちゃいい。全員悪役だけどビジュアルも超良く憎めないし、上手くTDDのメンバーの人間性を引き出す役割を担っていて、それもよかった。何より曲がとパフォーマンスが超〜〜〜良い。

よつつじくん
わたし、かつて(今も)黒バスの赤司征十郎という少年に狂っておりまして……数少ない名前と顔が一致している俳優さん、糸ようじくん。ここで出会うとは思ってなかったよ。相変わらずキリッとしつつ可愛いね

BOP2023

長くなりすぎたので2021年のは割愛で2023年のを。
BOP2023と一緒に発表されたキャスト全員卒業の衝撃。
正直な話、BOP2021&track.5より後のヒプステを……観れておらず……(これに関しては後述。気を害する方もいると思うのでここでは割愛します)
でもヒプステのことは本当に大好きだったし最後と言われると、行きたくなるのが人間の性ということで千秋楽も含め2公演だけ行きました。
行ってよかった。
感謝しかないし素晴らしいステージを作ってくれた全ての人に、全力で愛を伝える事しかできない。
楽曲も、チーム曲や全体曲とかは特に本家のものを本当に上手く織り込んでいて、本家のリスペクトを強く感じてた。
ヒプステのおかげでダンスパフォーマンスの素晴らしさを知ることができたり、衣装に目が行くようになったり、世界が広がった。
私はあんまり泣かなかったけど、二箇所だけ号泣してしまって
植木豪さんが出てきたところと
エンドロールが流れた後に最後にみんなが出てきたところ。
「ずいぶん遠いところまできてしまった」
「ここまで来れたのはみんなのおかげ」
「これで終わりじゃない」
ときて一郎が一人暗い舞台に残って
最後に原作の立ち絵と同じポーズをした時点で震える会場
少しずつ閉まっていく扉に映し出される、高野洸と同じポーズの山田一郎が
最後に光に溶けていくかのように消えていく。
「ああ本当に終わりなんだ」っていう悲しみと、演出の良さにもはや呆然とする会場……

あの日立ち絵の向こうから高野くんによって三次元に飛び出してきた”山田一郎”はあっというまに二次元へと還ってしまった。
「二次元でも三次元でも俺は俺だから」で締めるのはこれ以上にないヒプノシスマイク -Division Rap Battle- へのリスペクトであり「愛」だった。
そんなの泣かないでいる方が無理。
本当に、本当に良いカンパニーに恵まれた作品だった。
この座ぐみを作ってくれたプロデューサーに感謝しかない。

ありがとう、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage




以下どうしようもない感情の吐き出し
具体的にはシブヤのキャス変について。人を選ぶ内容なので読む人は自己責任でお願いします。
 https://privatter.net/p/10396891

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